水にうかべたいことば 森賀まり『しみづあたたかをふくむ』(ふらんす堂)

はじめに

ステーキやハンバーグ。油っぽい料理はおいしいけどずっと食べるには飽きてしまう。ときどきは野菜が美味しいランチプレートだったり川魚の料理も食べなくては。

大味な作品ばかり好む傾向のある僕にとって『しみづあたたかをふくむ』は繊細でまさに「水にうかべたいことば」と言ってもいい手触りを感じた。


作品を繰り返し読めば、そのささやかな言葉の味わいが心地よく感じられる。

そんな1冊でした。

微細な着眼点・細やかな描写・取り合わせ。

そのどれもが荒々しさを潜め読み終わったあとの清涼感に包まれています。


各章からそれぞれ気になった句の鑑賞します。

『しみづあたたかをふくむ』はⅠ〜Ⅴの章に分かれていてそれぞれが違う雰囲気を醸し脱しています。まずは、1章の動きの感じられる俳句からいくつか選びました。

この夜を落葉の走る音ならむ

落葉という言葉に「走る音」がつくことで一度落ちた枯葉が風に吹かれて舞っている夜の光景を想像しました。落葉という地上に落ちたものに新たに動きを与えていて落葉がいきいきと感じられます。

よく歩く野分の雲と思ひつつ

ここから先は

1,659字

¥ 100

川嶋ぱんだの、俳句雑誌「つくえの部屋」をはじめとした俳句活動は応援していただいている皆様に支えられています。また資金的な応援は、「気に入ったらサポート」からいただけます。たくさんの応援おまちしています!