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no.19 義母らしい出来事

義母は、2回目のショートステイへ行った。
40年もの間、自宅から出ることがなかったことを思えば、
最近は頻繁に外出をしていることになる。

前回のショートステイでは、床ずれができるという、アンビリーバボーな事件があり、今回は別の施設を利用することにした。

今回、お世話になる施設では、洗濯をしてもらえる。
なので、着替えはパジャマと下着(上下)を2~3組でよいとのこと。
普段着は必要ない(実際、必要ないのである)。
あとは、日数分の口腔ケア用スポンジ、不織布のマスク、薬と処方箋を用意。
おお、だいぶん楽ちんである。

こちらから施設の方には、義母の食事の量が落ちていることと、
髪が伸びているので、機会があれば散髪してほしいことを伝えておいた。

振り返ってみると、義母が施設を退所して、帰って来たのは真冬だった。
あれから半年が過ぎ、今は早、汗ばむ季節になっている。そろそろ、義母のパジャマも夏用にしなくてはならない。
何かないかと、義母のタンスの中を探してみたら、あった!
未使用と思われるパジャマが出てきた。
夏用の肌着、靴下も。おお、助かる。
私が買ってきた「しまむら」のパジャマと合わせると3組。
十分である。

早速、名前シールを貼ろうとして、気が付いた。
なんと、義母が買っていたパジャマには「HANAE MORI」のタグが。
上品な柄で、縫製もしっかりとしてる。
いい物好きだったからね。
施設にいたら着ないで終わっていたかもしれないしさ。
そんなことを思いながら、
「HANAE MORI」のとなりに、義母の名前を書いたシールを貼った。

今回お世話になった施設では、床ずれができることはなかった。
食事は、義母の様子をみながら、義母が食べやすいように、工夫をしてくださったと聞いた。とろみを少し増やしたとのこと。

それから、ショートステイ中に、散髪の日があったそうなのだが、
義母は「しなくてよい」と拒絶したそうで、
義母は伸びたままの髪で帰って来た。
もしかしたら、施設に入所している方にありがちな、おしゃれとは言えない(ごめんなさい)ショートヘアになるのは、嫌だったのかもしれぬw

訪問診療のとき、医師から
「最近、お義母さんと話はできますか?」と聞かれたのだが、
不意に、散髪拒否のことを思い出した。
義母はまだ「自分の意思を伝えることができている」ということを知ってもらいたくて、
ショートステイ先で、義母が散髪をキッパリと拒絶した話をしたら、
義母をよく知る医師と、看護師さんと私の三人で、大笑いになった。
いかにも義母らしかったからである。

義母は、聞いていただろうか。
こうやって笑えることが、自分でも不思議で、それが、少し嬉しかった。


在宅介護*観察日記『義母帰る』

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