男と老婆

山の中腹にある寺で

男は参拝を終え

いったい何段あるのか

分からないほどの長い

石の階段を降りてゆく


すると足の悪い老婆が

何とか手すりにしがみつくようにして

必死で階段を登ってきた


いったいそこまでして

何を願い

何を祈るのか


男は老婆とすれ違い

その小さな背中を見届けると

最後にこう呟いた

「信じられる何かがある事が大切だ」

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