幻のような存在の人間
幻のような存在の人間になるんだ
と君は心に決めていたらしい
確かにここにいたはずで
僕を驚かせたかと思えば笑わせて
不覚にも可愛いと感じさせて
自由奔放な振る舞いのようで
それは実際には
献身的な愛を彷彿とさせていた
そう、日々
僕を好きなことが伝わってきていた
ただその反面
後ろ姿でも
微笑んでいることが分かる君の
心の内側には
「いつでも消えてやるんだ」
という
頑なな意志があった
確かにここにいたはずなのにと
思わせる不確かに霞むシルエット
幻のような存在の人間になるんだ
という最後に零れ落ちた呟き
君は僕を一生懸命に愛し尽くして
そして
まるで本当はいなかったかのように
消えた
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