甘い傷薬
ある日のこと
恋焦がれる人が私に向かって
こう言ったのです
「楽しい事なんて
毎日あるものじゃないけどね。
僕なんて月イチあればいい方」
当時
毎日毎日ご褒美を探していた貪欲な私は
あなたの凪いでいる考え方に
「なるほど」
と深く頷いたのでありました
あれから数ヶ月
私はあなたの教えを胸に生きています
「何なんだ、この生活は」と天を仰ぐ日も
声に覇気がないと同僚に指摘される日も
恵まれてるはずだと
自分に言い聞かせなければいけない日も
楽しいことは毎日なくてもいいいのです
ノートのページをはらりとめくると
あなたがくれた言葉が
何もない閉ざされた世界で
私に生命力を宿します
それは
とてつもない思い込みの強さで生成された
甘い傷薬
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