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白玉みたいな恋、欠けて

白玉みたいな恋だった

あなたに話しかけられるたび
一人、反芻しながら

空中に漂う
もらえた言葉の白く輝く粒子が
消えて無くなるその前に、
急いで心の中にかき集め

都度、大切に
小さな白い物体にまるめていったの


そしてまた
あなたに会えた心沸き立つ瞬間に
まるめてあった小さな白い物体を
ひとつずつそこに落としていった

沸き立つ恋心の中で
あなたからもらえた言葉が
白く輝く白玉のようになっていく

つるつるとぴかぴかと、ほら

あぁ、これで
もし元気がなくなっても
ひとつずつ口に入れれば
私はいつでも
生き返ることができる


でもある日
あんなに恋焦がれていたあなたに
彼女ができた

今まで心にたくわえていた白玉に
きな粉と黒蜜みたいな感情が
さらさらととろとろと
容赦なく降り注ぐ

ひとつ口にしてみたら

それは全く
甘さに欠けたものだった

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