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仲の良かった先輩をなくした

お久しぶりです。
ヤキソバライターです。

最近は少しずつ暖かくなってきて、桜も満開を通り越し少しずつ葉桜が目立つようになってきました。

4/12(金)の早朝にある出来事が起こりました。
LINEでは追加してある友だちのステータスメッセージが見れます。
朝、なんの気なしにふと見るとそこには、ある人のステータスメッセージが更新されたマークがついていました。
タップすると、こんなメッセージが書かれていました。

○○○○(本名)は
2024年4月10日に
急性心不全により29歳でこ
の世を去りました。
生前仲良くして下さった皆様
ありがとうございました。

原文ママ

その人は、昨年まだ会社に勤めていたときの配属先での同僚でした。
ワタシも彼も2022年の11月からその案件に配属されました。
彼の年齢はいくつか先輩で、ワタシとは違う会社から派遣されてきた人でしたが、同じ時期に配属されたので同期のように接してくれていました。

その配属先のチームでは、喫煙者がワタシと彼の2人しかいなかったため夜勤のときなどよく一緒にタバコ休憩を取っていました。
自社の同僚よりも一緒に過ごしていたかもしれません。

配属されて1か月ほど経ったある日、彼から相談を受けました。
「仕事の内容が難しく、ついていける自信がない」
「この現場を抜けようか悩んでいる」と。

ワタシは引き留めました。
彼はムードメーカー的な存在だったし、業務を必死に覚えようとワタシよりも努力していたからです。
ワタシ自身も初めてのIT企業での勤務だったし、お互いに助け合っていたと思います。

それからしばらくして、2022年の年末にもう一度相談を受けました。
そのときもワタシは引き留めました。
2023年3月までの案件だったので、あと少し一緒に頑張ろうと言いました。

年が明けて夜勤が始まりました。
その案件は、営業終了後の夜間に飲食店向けのPOSレジを入れ替えるものでした。
現地には作業員がいますが、手順の確認やイレギュラー対応で電話がかかってきます。
ワタシたちはその電話対応をするチームでした。
実際に入れ替え作業が始まると予想以上にエラーやイレギュラー対応が多く、電話が鳴りやみません。
また、質問も高度な内容や即答できないと作業が止まってしまう内容など、答えるのにプレッシャーもかなりかかります。

彼はそれに耐えきれず、ある日倒れてしまいました。
幸い体調はすぐに回復したものの、そのトラウマで電話対応ができなくなってしまいました。
そこでチーム内で話し合った結果、機器の入れ替え作業が行われない日の夜勤をすべて彼に任せることにしました。
作業が行われなければ、電話がかかってくることはありません。
日程調整や事務作業、PC入力などをしておいてもらえれば他のメンバーが助かります。
そして残業続きだったワタシたちのシフトも減らせるといった具合です。

彼はまじめにコツコツとその業務をこなしていました。
ワタシとは勤務がかぶらなくなってしまったけれど、引継ぎなどもこまめに作成してくれていたので働きぶりは誰の目にも明らかでした。

ある日の深夜、彼からLINEが届きました。
「本来作業がない日だったが、作業員から手順についての問い合わせが来ている、助けてほしい」というメッセージでした。
ワタシはそんなときのため、彼に連絡先を渡しておき何かあったらいつでも連絡してほしいと彼に伝えていたのです。
それが彼を引き留めたことに対する自分なりの責任の取り方だと考えていました。

ワタシはすぐに彼に電話をかけ、読むべき資料の場所や伝え方などをレクチャーしました。
翌日は非番だったのですが、彼の様子が気になり朝一番で会社まで見に行きました。
すると、必死に対応して疲れて寝ていた彼が起き上がり、「ありがとうございます、おかげで無事乗り切れました」と言ってくれました。
ワタシは「よかったです」と答えました。
そして彼は「タバコ吸いに行きましょう」と言い、2人で早朝の公園に行き朝日を浴びながらタバコをふかしたのでした。

その一件以来、彼も自信を取り戻したようで同じような問合せがあった際には受け答えができるようになりました。
また緊急で作業が決まった日には、1人で電話対応をするなどとても頼もしくもなりました。

そして案件が終了する3/31の夜、彼は最後の夜勤でした。
ワタシや他のチームメンバーは日勤に戻っていて、夜打ち上げに行ったのですが彼だけ参加できなかったのです。
そこで打ち上げが終わった後、ワタシはもう一度会社に戻りました。
コンビニで飲み物を買って。

彼は戻ってきたワタシの顔を見ると、びっくりしていました。
「みんなで打ち上げ行ったんじゃないんですか」
「○○さんと打ち上げしたかったんで、戻ってきちゃいました」
「ありがとうございます。入れ替え作業お疲れ様でした」
「何言ってるんですか。○○さんも一緒にやったじゃないですか。この案件はみんなで完成させたんですよ」

そんな感じの会話をしたことを覚えています。

最後に彼に会ったのは、それから約1か月後のGWのときでした。
彼の新しい配属先は、原宿にありました。
ワタシは彼を誘い、原宿の居酒屋で一緒にお酒を飲みました。
職場の同僚と飲みに行くのは初めてのことでした。
ワタシは彼に愚痴をこぼしました。
自分の新しい配属先が仕事内容も難しく、人間関係もあまりよくないこと。

彼はそれをうんうんと頷きながら聞いてくれ、励ましてくれました。
そして付き合っている彼女がいること、もうすぐ結婚を考えていることを教えてくれました。
ワタシもそれを心から祝い、家路についたのでした。

最後に彼と連絡を取ったのは、2023年8月のことでした。
一緒に海に行かないかと誘いました。
BBQや海水浴をして遊ぼうと。
しかし彼は結婚の準備で忙しいから、またの機会に誘ってほしいと言いました。翌年の夏などはどうかと。

それきり新年の挨拶すらしていなかった中で、急にもたらされた訃報。
ワタシは朝から目の前が真っ白になりました。
信じられなかったのです、彼がもうこの世にいないということを。
自分と3個しか離れていない先輩のあまりにも早すぎる死でした。
見出し画像はその先輩が僕にくれた、田無神社の龍の置物です。

今でも夜道を歩いていると、「タバコ吸いに行きましょうよ」と声をかけてくれる気がして。

以前にも元同僚が急病で亡くなってしまい、落ち込んだことがありましたが、今回は仲の良かった人だったためにそれ以上に落ち込みました。

大人になると「次の機会に」や「また今度」と言ってしまうことが多々あります。
しかし次の機会や今度は来ないかもしれないんです。
だからこの記事を読んでいるみなさんも、日ごろから伝えたい言葉は伝えておいてください。
家族や友人、恋人、同僚、知り合いにも。
誘いたい人はちゃんと誘い、好きな人には好きと伝えてあげてください。

ワタシも双極性障害のうつ状態の中で、希死念慮に負けてしまいそうになるときがあります。
でもワタシの中に生きている先輩が踏みとどまらせてくれると思い、この記事を書きました。
きっと天国にいる彼に、この記事が届くことを願って。

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