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こんなに違う産科のお薬:日本と途上国で比較してみた

はじめに

こんにちは、今回は産科関係のお薬について、日本と途上国で比較をしながらご紹介したいと思います。特に妊娠中絶薬、早産予防薬、そして緊急避妊薬に関して深堀りします。


妊娠中絶薬:日本では未承認、途上国では必須医薬品

まず、妊娠中絶薬について皆さんはどれくらいご存知でしょうか?日本では未承認のため、あまり馴染みがないかもしれません。ですが、海外ではWHOの必須医薬品リストにも収載されており、多くの国で使用されています。それもそのはず、妊娠中絶薬は高い成功率と安全性が期待できるからです(1)。特に途上国では危険な中絶が行われているので、妊娠中絶薬は比較的安全な方法として勧められています。


主に使われる薬は以下の2つとなっています:

  • Mifepriston(ミフェプリストン)

  • Misoprostol(ミソプロストール)

どちらも子宮収縮作用があり中絶を起こします。まず、ミフェプリストンから。ミフェプリストンは日本では見ないお薬ですよね。こちらは中絶にのみ使用します。
一方、ミソプロストールってなんか聞いた事ありませんか?実はこのミソプロストール、日本では胃薬として承認されています。
日本の添付文書の適応はこちら:

日本では胃薬なのに、途上国では妊娠中絶薬っていうのは驚きですよね。
細かい使い方に関しては省略しますが、ご興味がある方はMSFのガイドラインを参照して下さい (1)。

早産予防薬:日本と途上国で異なる選択

次に、早産予防薬についてです。日本では子宮収縮抑制薬のリトドリンが一般的ですが、途上国ではリトドリンが手に入らない事があります(WHO必須医薬品リストに収載されていない)。代わりに何を使うと思いますか?
なんと、ニフェジピン(アダラート)を使います。「ん、血圧の薬?」って思いますよね。実はニフェジピンには子宮収縮抑制作用があり、早産予防に使用されます。これまた日本では高血圧に使うのに、途上国では早産予防に使うって驚きですよね。

緊急避妊薬:主に使われる薬とアクセス

最後に、緊急避妊薬についてです。日本ではレボノルゲストレル(ノルレボ)が主に使用されています。性交後72時間以内に投与が必要なお薬です。途上国においてもレボノルゲストレルが主流ではありますが、WHO必須医薬品リストにはなにやら別の薬も収載されていました。その名もウリプリスタル。どうやら性交後120時間以内に服用すればOKな薬との事で、今後はこちらが主流になるかもしれませんね。
また緊急避妊薬へのアクセスに関しても、日本と途上国では違いがあります。
最近日本でも処方箋なしでの販売が一部の薬局で始まりましたよね、東京だと3店舗の薬局が対応してるのだとか(2024/02/08現在)。では途上国はどうでしょうか?実は、途上国では処方箋なしで緊急避妊薬を購入できる国が多くあります。例えば、USAIDによると32ヶ国の途上国のうち19ヶ国で処方箋なしに購入ができると報告されています(2)。
こうゆうのを見ると、必ずしも全ての部分で日本の方が先進的、という訳ではないんですよね。

まとめ

今回は、産科関係のお薬について、日本と途上国の違いをご紹介しました。妊娠中絶薬、早産予防薬、緊急避妊薬それぞれ、国によって使用される薬やアクセスのしやすさが異なることがわかります。また、全ての部分において日本が先進的か、というとそうでもない事を実感させられますよね。
今回の記事がなにかの役に立てば幸いです。

以上です。最後まで読んで頂きありがとうございます。

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参考文献

  1.  https://medicalguidelines.msf.org/sites/default/files/pdf/guideline-449-en.pdf 

  2. USAID. Regulation of Drug Shops and Pharmacies Relevant to Family Planning: A Scan of 32 Developing Countries


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