途上国で主に使われる3つの解熱鎮痛剤
前回、
「途上国のお薬を学ぶには、WHO必須医薬品が良い」というお話をしました。
今回さっそく学んでいきたいと思います。
記念すべき第1回目は「解熱鎮痛剤」です。
解熱鎮痛剤といえば、日本だとロキソニンやカロナール、そしてボルタレンなどがありますよね。お馴染みのお薬かと思います。
では途上国では、どのような解熱鎮痛剤があるのでしょうか?
そして、それらの使い分けは、どのようなものでしょうか?
途上国で主に使われる解熱鎮痛剤とは
では実際に途上国で主に使われる解熱鎮痛剤をみていきたいと思います。
たとえば日本では、10種類以上の解熱鎮痛剤が処方箋医薬品として収載されています。
次の一覧表をご覧ください。
よく見る名前も多いかと思います。
では早速、途上国で主に使われる解熱鎮痛剤(WHO必須医薬品の解熱鎮痛剤)はどれでしょうか。
答えは以下の3つになります。
• アセトアミノフェン(英名:Acetaminophen、日本での商品名:カロナール)
• アスピリン(英名:Acetylsalicylic acid、日本での商品名:バファリン)
• イブプロフェン(英名:Ibuprofen、日本での商品名:ブルフェン)
※アセトアミノフェンは、海外では一般的にパラセタモール(英名:Paracetamol)という名前で呼ばれます。
どうでしょうか、予想通りのお薬でしたか?
これらはあくまでWHO必須医薬品リストの解熱鎮痛剤なので、これらに加えインドメタシン(indomethacin)やジクロフェナク(diclofenac)を確保している途上国もあるでしょう(EMLs Around The World 参照)。
個人的には、日本でよく使われるロキソニンが全く使われないことに驚きました(実はロキソニンは日本・ブラジル・メキシコくらいでしか使われないのだとか)。
では、次にWHO必須医薬品の解熱鎮痛剤3種類の使い分けをみていきましょう。
それら解熱鎮痛剤の使いわけとは
比較表が以下になります。自作です(暇ではないですよ笑)。
各薬剤の特徴をいくつか挙げてみます。
• アセトアミノフェン(パラセタモール)
○ 小児・妊婦に対し安全に使用できる。
○ 抗炎症作用はないので関節リウマチには使用しない。
• アスピリン
○ 小児・妊婦への使用は慎重に。
○ 少量投与(75-150mg)で抗血小板作用がある。
○ 妊婦12-36週における子癇前症に対する予防効果がある。
※ 子癇前症とは妊娠中に高血圧やたんぱく尿を特徴とする疾患。
• イブプロフェン
○ 生後3ヶ月未満には使用しない(日本では5歳未満には使用しない)
○ 妊婦には使用しない
○ 抗炎症作用があり関節リウマチにも使用できる。
ざっとまとめました。
ちなみに個人的な経験だと、途上国での解熱鎮痛剤の処方は「ほぼパラセタモール」という印象でした。やはり安全性が高いため使いやすいのでしょう。
という事で、いかがでしたでしょうか?
現地で活動されている方の参考になると幸いです。
また、日本での日々の業務の中でも「これは途上国でも使われる薬だな」と意識しながら仕事してもらえると良いかと思います。
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参考文献
・ WHO Model Lists of Essential Medicines
・ MSF Essential Drugs
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