ない話をする
今日は私の推しの話をしたい。
率直に言うと、私はドゥマーニ出身の俳優、ルカ・デ・メローニが大好きである。
つまり、推している。
私は、幼い頃から長髪の男性が好きだ。逆に短髪は苦手である。なぜかと問われても好みとはそういうものなのだから仕方ない。
ルカは上記の画像の通り、流れるような金髪と、私好みの長髪の持ち主である。
それに加えて、童話から飛び出してきたのか?と聞きたくなるような美しい容姿もあり、好きにならないわけが、推さない理由がなかった。
しかし、世界には沢山の人間が溢れており、こうしてる間にも今まさにひとつの命が誕生していて、そうして人間で溢れた世界では、こんなに愛してやまないルカも、実のところはマイナーな存在なのであまり知られていない。
知る人ぞ知る俳優なのだけれど、ルカはその派手な容姿から、よく恋愛物の映画に出ている。
王子役は勿論、大抵はお金持ちとか会社の社長とか、とにかく凄い人の役で出る。
ルカの映画出演が決まる度に、ファンの方も「次はこの役だと思う」と仲間内で予想を立てるのが楽しみになっているところがある(その昔mixiにてルカマニアというコミュがあり、そこでは今となっては心底どうでもいい話し合いが夜な夜な行われていた)。
そうして、予想が当たったからといって、競馬のようになにか得るものはない。ただ、その役のルカを見ているだけ。それだけ。
ちなみにルカはschool Prince!!2で歌手にもなっている。
もはや王子ではない。
だけど、この知る人ぞ知る俳優、ルカに憧れて真似をする男はその当時のコミュに沢山溢れていた。
金髪にしてみたり、髪を切るのをやめてみたり(それで母親と喧嘩になったという日記を見たことがある)。
何度も言うが、ルカは知る人ぞ知る俳優なので、当然ルカを知らない人からすればただのイメチェンにしか見えないわけで……。
結局、その男たちが現実世界でモテたのかは分からないけれどコミュ内では、まあまあチヤホヤされていた。
そんなルカだけれども、あるときマネージャー宛にひとつのメッセージを残して、急に姿を消してしまう。
"They lived happily ever after"
(ふたりはいつまでも幸せに暮らしました)
そう。ルカは本物の、映画の世界ではない、自分だけのプリンセスを見つけて、芸能界を去ったのです。
マネージャーがなんとかルカの居場所を掴もうと携帯に電話をかけても既に携帯は解約されて繋がらず、住んでいたマンションも引き払っていた。
当然、ルカの家族も引越し済みで居場所は分からず。
こうして、ルカは知る人ぞ知る俳優から、"伝説"の恋に落ちた王子となり、そのルカを射止めた顔も知らないナオンはコミュ内ではシンデレラと呼ばれていた。
ルカの不在に悲しむ人もいたけれど、ルカが残した言葉でルカが幸せであることを信じて応援する人も沢山いた。
そんなルカですが、実は数年前にひょっこりと復活しました。
ドゥマーニの番組"Who are you?"で
いきなりゲスト出演しやがった……。
しかも俳優ではなくロック歌手として……。
私はたまたまルカを思い出し、懐かしくなってYouTubeで検索して見つけたのだけれど、このタマタマがなかったら一生気がつくことがなかった!!!!!
残念ながら動画は和訳されたものがなく、ほとんど内容は分からなかった。
だけど、数年振りに見るルカは少し老けたものの、あの時のルカに間違いなかった。
ちょっと意地悪な笑い方、高い鼻、そして大好きな流れるような長い金髪。
ルカはあの時の言葉通り、本当に幸せに暮らしていたんだと思うと画面越しにちょっと泣いた。
もうコミュで知り合った人たちとの繋がりはほとんど切れてしまっていて、ルカのことを夜な夜な話せるような人はいない。
でも、ルカが元気で過ごしてくれていたのがただただ嬉しい。
動画を見終わったあとで久しぶりにschool Princess!!を観た。
あの時ルカを好きで好きで仕方がなかったときの気持ちを思い出した。テレビの中で王子のルカが微笑む。
私もルカに向かって笑ってキスをした。
まあ、キスをしたのは嘘だけど、笑ったのはガチで嘘。
でもschool Princessを観たのだけは本当に嘘。
ただルカが推しだったってのはマジで嘘。
ルカが実は私が作ったAI画像だってのは本当。
全部ない話だったってのも本当。
ドゥマーニなんて知らないのも本当。
ない話でした。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?