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アルコールが結構、本当に、飲めないので

カフェの店長をしています、とちおです。
突然ですが私、結構、本当にお酒が飲めません!

1日に50cc位なら何とかいけます。
でも即座に顔が真っ赤になり、心臓と頭が大変騒がしくなります。
そして友人知人に心配をされ、魔が悪ければグロッキー状態になり、
運が良ければしだいにぽやぽやし始めて睡魔がやってきます。
そしてまた飲めるかなという頃には氷が溶けて、
味の薄い何か分からなくなった液体を、見かねた酒豪が空っぽにしてくれます。

こんな感じなのに「美味しいかも!」みたいなお酒はありました。
でも超微量か激薄のものしか飲めない分
「何がどう美味しいのか」はさっぱりわからない。
後味とか鼻に抜けるとか(そもそも香りでも酔う)、口当たりとか…
これっぽっちの量じゃよく分からん…そして酔ってしまう…
アルコール摂取時のみんなが言う高揚感とか気持ちよさはどこへやら…

その分「お酒を嗜む」ことへの憧れはずっと胸の中に残っており、
そこへカフェを開業するという出来事が起こった。そして発酵の沼にハマった。
(模索していく中で甘酒と出会い、麹クリエイターの資格も取った)

するとどうだろう。お酒の話題の多い事、多い事。
そりゃもう、日本酒はお米を発酵、ワインは葡萄、
人類の食いしん坊っぷりは、そして先人たちの知恵は発酵抜きでは語れない。
そこにあの八岐大蛇を魅了したお酒だ、そりゃ人間も好きになる。
「発酵は美味しい」そこもあるからこれだけ発展したと言えると思う。

一方で緊急事態宣言が発令され、そんなアルコールは目の敵にされてる。
政府の施策を睨まずにはいられないが、実際テレビを睨んではいるが、
その最中でノンアルコールが注目された。このタイミングだなと思った。

前置きがとっても長くなったけれど
このnoteにそんな下戸な私のアルコールと肩を並べたい
ドリンク制作の備忘録と、これからのことについて書いていきます。

ソフトドリンクじゃない、ノンアルコールドリンク

ソフトドリンクとアルコールの違いは、何層になった風味や香りと
砂糖だけではだせない濃厚さだと思う。

ノンアルコールでアルコールのそれを再現しようと思ったが、
最初に出来たのは良くてファミレスのドリンクバーの上位互換だった。
コーラとジンジャーエールを足す、みたいな。
これがもうすこぶるのペーーとした平べったい味で悲しくなったのを思い出す。

色々作る中で最低でも

2つの要素の味が一杯の中に必要

なのではと思ったのが私のノンアルコールドリンク、
もといソフトドリンクから一歩前に出る飲み物を出した最初でした。

① 2019/04 「日日是好日」金木犀シロップ・レモン・自家製甘酒のドリンク

② 2019/07 「夏の終わり」自家製梅シロップ・炭酸水・ミントのドリンク

③ 2019/07 「甘酒フローズン」自家製レモンジンジャー・甘酒・氷

自家製甘酒の重さと甘さ、風味。
あとは酸味がプラスされるとグッとかっこいい味になると分かり始めた①〜③
そしてこの後クリームソーダが私の中で流行り始める。
クリームソーダ職人(あの旅する喫茶の)をネットで知り、感銘を受けたのです。

見目、もといエンタメ性も大事だよな

クリームソーダはとってもかわいい。かわいいは正義です。
クリームソーダにここを期待し、見事SNSで見たと注文が増えて嬉しくなる。
エンタメ性・見目もこだわり始める流れが始まるのが次です。

④ 2019/07 「きのうの空がクリームソーダ」
ブルーキュラソー・ソーダ
ピングレシロップをかけて、夕焼け空を作るギミック

⑤ 2019/09 「アンドロメダ」
ピングレ・ソーダ・バタフライピーゼリー
⑥ 2019/09 「ペルセウス」
レモンジンジャーソーダ・バタフライピーゼリー
《秋は夜長に》の二杯、バタフライピーソーダをかけて楽しむ

⑦ 2019/11 「お月さまと眠る朝のクリームソーダ」
自家製キウイシロップ・ソーダ バタフライピーを注いで朝を迎える 
④のオマージュ

④〜⑦は反響も大きく、その分見目に重点が行きすぎたかなと
ブレーキをかけ始めるのがこの後。素材の味をもっとシンプルに、
何度でも飲みたくなるものがよりいいんじゃないかなと思い立ちます。
やっぱり砂糖の甘さって難しい……

見目もほどほどよく、砂糖で出せない深みを持つ飲み物追求する

そう考えれるようになったのは、ミスチの田村さんのこのnoteを読んだから!
この他にもすごい面白い記事ばっかり書いてはるので、今一番影響を受けている人かも…!

ともあれそうなると、もっとシロップの奥行が欲しくなってきたのです。
「あまーい」とか「酸っぱいー」じゃだめだ…
あと液体×液体の組み合わせより、固体の食感や香りのもたらす力を引き出さねばならない。

より凝った、欲張りなドリンクたち

⑧ 2020/02 「眠らぬ月夜とクリームソーダ」
愛媛のみかんと柑橘シロップ
凍らせたレモンも添えて、シロップはみかんの甘みを全面に。色が綺麗で好評。

⑨ 2020/05 「おみかんモヒート」
愛媛みかん・フレッシュミント・ソーダ
原点回帰のモヒートにみかんの酸味で飲みやすく、崩しながら飲む。

⑩ 2020/05 「抹茶いちごバニラズ」
いちごミルク・バニラアイス・抹茶
ここにフローズンしたいちごも入れ、食感も違う甘みと酸味を出す。

11. 2020/07 「睡蓮の池、緑のクリームソーダ」
メロンシロップ氷・桃のソーダ 去年いちばん好評だった④を越えるべく、
息巻いたクリームソーダのひとつ
モネの睡蓮の池をモチーフにしており、印象派の混ざり合いを表現し氷が溶けると味が変わる

12. 2020/07 「黄昏れ海辺がクリームソーダ」
レモンスカッシュ・ブルーキュラソーとピングレシロップ氷 
バタフライピー注いで黄昏時を表現
海と空の④のオマージュ、溶けると色も変わるので楽しめる時間が長かった

このあたりになると味とコンセプトの説明が明確になってきました。
でも振り返ると「あんまり冒険した味つくらんな、私…」と思う。
それを補うための見た目になってしまっているかも…
それもそのはずでした。
お酒にも縁遠く、そうなるとバーやフレンチに行きづらく思い
味覚の、美味しいの幅が狭まっていたのだ。これはまずい。

食わず嫌いはだめだ。まだまだやらねば。

日本茶との出会い、シンプルにナチュラルに

そしてこの後あたりで日本茶にもハマっていく。

産地・製造方法・合組の多様さ・淹れ方…
あとコーヒーとここが違うと思うんですけど、楽しみ方!
いわゆる作法もなんですけど、中国茶の香りを楽しむ時間とか
茶室のありようとか、この時間ごと楽しむ文化すごく好きだなって思ったんです。ちょっぴり、0.7倍速くらいで時間が過ぎるのが心地よい。

あ、コーヒーもめっちゃ好きです。自由でラフで国境を越える感じ!

日本茶に出会い、身近なのに身近じゃなくて
でも大好きな時間を連れてきてくれる所。
「日本」茶なので、生産者さんや茶屋さんの思いや活動を近くで知れる事。
今日本茶界が盛り上がっててすごく刺激を受ける事。
全部ひっくるめて沢山の人にそれを伝えたいな、好きになって欲しいと思う事。
なによりはちゃめちゃに日本茶が美味しい事。

たくさんの理由があって、私は日本茶の勉強はじめました。
今ではお茶を好んで注文くださる常連さんも増え嬉しい日々なのです。

そんなお茶を若い人に好きになってもらうため、
お茶でこのノンアルドリンクの研究を一歩押し上げるため、
徐々に取り込み始める。

するとお茶を使ってないドリンクの解像度も上がっていき、
よりナチュラルな味、シンプルな美味しさに惹かれていきます。
そして香り、これがめちゃめちゃ重要だと身をもって感じ、
目標は次の項目も足されました。

味と見目とも合う香りのあるドリンクを目指す

13.2020/12「自家製オレンジフレーバーティー」
愛媛のドライみかん・Satenの深蒸し茶
日本茶にある苦味とみかんの苦味、酸味、甘みを
一煎目と二煎目で違いを感じながら飲んでもらう。

14.2021/02 「ただよいしろくてクリームソーダ」
カルピス・自家製甘酒・ソーダ
「漂白」の意味をもたせた白いクリームソーダ
甘酒を身近に、飲みやすくするためカルピスの力を借りました

15. 2021/02 「そめていろづきクリームソーダ」
無添加いちごシロップ・農園のいちごコンポート・ソーダ
「染色」の意味を持たせた赤いクリームソーダ
いちごのダイレクトな旨味が主役、酸味もちゃんとある

16. 2021/04 「玄米茶レモネード」
NODOKAの粉末玄米茶・砂糖・100%レモン果汁・ソーダ・ドライレモン
レモネードと言いつつレモンスカッシュ、
NODOKAさんの粉末茶は冷たくても香りが抜群

17.2021/05〜「クラフトコーラ」
《その1》すだち・レモン・ライム・生姜・水・黒糖・黒胡椒・クローブ・麹茶
カルダモン・シナモン・碁石茶→ガツンとスパイシー、バニラアイスと相性抜群
《その2》すだち・レモン・水・黒糖・黒胡椒・クローブ・カルダモン・バニラ
シナモン・黒麦麹(後入れ)→酸味の効いた、後味ちゃんと黒麦麹
《その3》レモン・ライム・生姜(多め)・水・黒糖・黒胡椒・ローズマリー
バニラ・シナモン・クローブ・カルダモン・黒米麹(後入れ)
→バニラがちゃんと香り、後味に黒米麹の酸味とまろやかさ、飲みやすい

18. 2021/06 「lemomy」レモミー
国産レモンと清見オレンジの自家製シロップ・100%レモン果汁・ローズマリー
砂糖だけじゃない甘さと爽やかと酸味が美味しい、ローズマリーの香りを添えて
ぐっと幅を持たせたドリンク

こう見ると初期に比べて自家製シロップがほとんどを占めていて、
かつ中期より派手じゃないシンプルな見た目になってるのが分かる。面白いな〜
でもシンプルな見目でもすこぶるかわいいし、もちろん美味しいし、
前進してるんじゃないかなと思っています。

次はどうしたい?

まとめて改めて思うのは、

①モクテルのためノンアルジンや蒸留のことを調べ、仕入れたい(次は花の香り)
②日本茶をもっと詳しく、おいしく淹れたい!
③この組み合わせの妙を料理で生かしたい

ということ。
あとこれを手に入れるために机の上で留まらないで、ちゃんと足を運び
味わってスキルとレベルあげるのが必須だと思う。
勉強は好きだから(知らないことを知るのが好き)問題ないけれど、
身体にもちゃんと出不精にならず覚えさせてやるのが当面の課題です。

下戸でも今まで困ることは無かったが、
飲めるから知ってる楽しい世界を持つ人が結構羨ましい。

突然変異で飲めるようになる未来はなさそうなので、
できうる楽しいを開拓するのも悪くないかなって思ってます。

暑さに負けずがんばるぞ〜!

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