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日々よしなしごと~男のオシャレ~

当店のご常連で、すでに還暦も迎えた男子。とってもおしゃれが大好きで服や靴など相当のこだわりをお持ちで、いいと思ったら手に入れずに入られない性格みたい。

なので、よくお洒落談義などもして、私ももちろんこの手の話題は大好きなので暇なこともあり、大いに話が盛り上がることもある。

ある時、その方が店に来るなり

「ねえ、この間究極の男のおしゃれって、なんの変哲もない着慣れたシャツにジーパンもしくはチノパンだとか言ってたけど、そういうシャツってどこに売ってる?」と聞く。

少々私は面食らって、答えに窮してしまったのだけど・・・

だって、そもそも「着慣れたシャツ」を売っている店などあるわけないし、古着という意味でもないしね。

どこのシャツでもいいけど、自分が長年着古したシャツという意味ですよ、というと、ああそうだよね、でもそんな風に着古してもいい感じになるシャツがあるのかなあと思って・・・・

きっとひとつのイメージがあるのだと思うが、なんとなくちょっと違うなあと。何がどう違うのかうまく説明できないけど。


今日雨模様の中買物に出かけた。無印良品で値下げされたパジャマなど買って、本屋で3冊も衝動買いし、さて帰ろうと電車を待っていた。

そこにズボンのポケットに両手を突っ込んで肩をすぼませて歩いてくる初老の男性。少し長めのグレーヘア、サックスのざっくりと編んだ少しくたびれた綿のポロセーターの襟から白のシャツの襟を大きく広げて着ている。後ろ姿を見ると背中に小さな綻びがあって、ずいぶん着古したものながら、おそらくはイタリアものかなと思うような微妙なラインと高級品と分かる雰囲気。ズボンはよれよれの薄手の綿ジャージのような生地でこれも着古したもの。つまり長い時間かけて着込んでいて、ご本人と一体化したさりげなさがおしゃれでかっこいい。しかも、ご本人はおしゃれしているつもりもないかもしれない。

つまり、こういうスタイルなんだよね!

さすがに写真を撮るわけにも行かず(その時はただ見ほれてたので思いもつかなかったし)、言葉で説明するのも難しいし、件のご常連の方に見て欲しかったな~と。

あくまで私の個人的な趣味というか好きなスタイルなので、他の人がどう思うかわからないけどね。でもやっぱり、いいものってどんなに古くなっても綻びがあっても、その存在感と着ている方自身の個性も加わると唯一無二の魅力となってくるんだなあ。

これぞ男のおしゃれの真髄じゃないのかしら?


と、はたと気づいた。じゃあ女のおしゃれの真髄は???

さて、どうしましょう?

安売りのパジャマ買ってる場合じゃない??



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