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日々よしなしごと~ガラクタの夢~

今日ものみの市に行ってきた。毎月原則第一日曜日、早朝5時くらいからやっているので、西日本は巨大台風がやって来るという日だが、こちらは穏やか。でも蒸し暑いかな。

護国神社でやっているので、まずはお参りして台風一過の無事を祈る。

今日は、前回来た時にある骨董屋(というより自分が集めてきたガラクタを売っている風)のおじさんのところで見つけた虫籠を値切り過ぎたと反省して、お詫びの買い物をしようというのが今回の主目的。

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ブラブラ見ながらその店に行き、件の虫籠のことをお話しして、この虫籠から頭の中にある物語が広がったこと。物語なんて書いたこともないけど、ぜひ読んで欲しいと送り先を聞き出す。少々強引にも思えるけど、なぜか自然に浮かんだ(降りてきた?)物語をどうしても読んで欲しかった。

このおじさんは、プロの骨董屋さんというより、自分が好きでコツコツとためてきたが、かなり溜まってきたこともあり奥様からそろそろ断捨離の要請が下ったとのことで、思った通りの方だと分かる。

置いてあるものを見ると、何に惹かれてどんなものが好きかなんとなくわかってくるのも面白い。今回私が惹かれたこのふたつ。

のみの市

左の四角いのは、展開すると以下のようになる。なんと聞香セット!聞香とは、香木を焚いてその匂いを嗅いで何の薫りか当てたりするもの。真ん中の木の箱には違う香木をそれぞれに入れ、右端の陶器は炉で、灰を入れその中に小さな炭団(たどん)を埋める。中にある平たいのは雲母で炭団の上に置き、その上に香木を乗せると少しずつ香ってくるのを嗅ぐ(これを香と聞くと書き聞香「もんこう」という)

誰かがこんな意匠で作って欲しいと頼んだのだろうか。これを持ってどんな風に使っていたのだろうか。作り手の工夫や使った人たちが斬新な意匠に感心したりと遊び心溢れた時間をきっと過ごしたんじゃないか。

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そして、右にあるのは小さな花瓶?でごく細い竹でぴっちりと編んである。大きさは以下のように高さは10cm程度の小さなもの。

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陶器の小さな花瓶に全く隙間なく、シンプルな模様もいれながら狂いなく編み込んである。中国の物だというこの花瓶はなんと300円で売っていた。

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底から編みはじめたのか、どこにも手抜きは見当たらず、ひたすら実直に編み込んで行っているのが分かる。


こういうものを間にしておじさんと話しをすると、誰か分からない無名の職人の、作れるまでの熟練の年月や作るに要した時間やその情熱に思いをはせると、いやがおうにもふたりで盛り上がって、最後はただただため息を漏らすだけ。

そうなんだよね。

実用には程遠いものなのになぜ心惹かれるかというと、ずっと昔にこれを作った人たちの集中し無心に製作している時間や考えている時間。全く見たこともない人の手の動きや息遣いや目の動き・・・・

カッコよく言うと時空を超えて、モノを通して過去の人間と今を生きる私たちがコミットしている感覚とでもいうか。

まさにガラクタの夢。

その夢を見るのがたまらなく楽しくて、またのみの市にでかける。


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