5月のように

ため息がでる。
京都アニメーションの事件から1年、残酷非道な行いによって失われた多くの命と才能......ただでさえ苛立ちと切なさとやるせなさがひっくるまって心が乱れる。好きで見ていたアニメの名前、見ていた自分ですらこんなにも辛い。けれど、このことによって関係者の方々は計り知れない辛さや苦しみを更に感じてしまうのではと思うとまた怒り、切なさ、苦しさに苛立ち。。。そして才能溢れる若い俳優さんが自ら命を絶たれたという衝撃、何があったのか何が彼をそんなにも苦しめたのかはご本人にしかわかり得ないことだけれど、......命を絶つことを選んだ事実に苦しさと切なさとやるせなさを感じずにはいられない。ため息では収まりきらない感情、、、

コロナで乱れ日常を失った世の中
頑張りと苛立ち
聞こえてくるのは明るくないニュースばかり

なんとか平常を保とうと
前を上を向こうとしていた心に今日は靄がかかる。
ため息がでる。

......こんな時もある。
ため息をつくだけついたら
頑張りすぎずに生きよう。

五月のように  竹内浩三

なんのために
ともかく 生きている
ともか
どう生きるべきか
それは どえらい問題だ
それを一生考え 考えぬいてもはじまらん
考えれば 考えるほど理屈が多くなりこまる

こまる前に 次のことばを知ると得だ
歓喜して生きよ ヴィヴェ・ジョアイユウ
理屈を言う前に ヴィヴェ・ジョアイユウ
信ずることは めでたい
真を知りたければ信ぜよ
そこに真はいつでもある
弱い人よ
ボクも人一倍弱い
信を忘れ
そしてかなしくなる

信を忘れると
自分が空中にうき上がって
きわめてかなしい
信じよう
わけなしに信じよう
わるいことをすると
自分が一番かなしくなる

だから
誰でもいいことをしたがっている
でも 弱いので
ああ 弱いので
ついつい わるいことをしてしまう
すると たまらない
まったくたまらない

自分がかわいそうになって
えんえんと泣いてみるが
それもうそのような気がして
あゝ 神さん
ひとを信じよう
ひとを愛しよう
そしていいことをうんとしよう

青空のように
五月のように
みんなが
みんなで
愉快に生きよう

底本:「竹内浩三全作品集 日本が見えない 全1巻」藤原書店



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