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酔灯夜話 #42

奈良大学通信学部へ入学して2か月。最初の課題科目として「文化財学購読Ⅰ」を選んだ。文化財保護は1949年の法隆寺金堂の火災を契機に「文化財保護法」が公布され、ここで初めて「文化財」という言葉が正式に登場したとのことで、比較的新しい言葉である。文化財の保存研究で重要な方法論として①材質を調べること ②肉眼で見る事のできない内部の構造を調べる事 ③文化財資料を後世に伝えていくための保存環境の研究 ④保存修復のための保存材料と保存技術の開発研究 である。日本で最初の文化財の保存科学的研究は法隆寺壁画の調査と言われており、1934年の法隆寺伽藍大修理開始時に金堂壁画の損傷が激しいことがわかり1939年に法隆寺壁画保存調査会が組織された。修復の方法論として日本古来のニカワやふぬりによるか、合成樹脂によるかで議論が重ねられた。すでに応急処置的に使われ始めていたアクリル樹脂が生産性が高いことから、合成樹脂(アクリル樹脂)の使用が決定された。ただし伝統的保存材料と合成樹脂のについて保存状態に合わせて部分ごとに適切に選び措置することが大切である。

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