「オープニング会」で「観察」の奥深さを知る
2023年10月に開催される予定の、「教えて!赤ちゃんフェスティバル」。
7月某日に、ピープル赤ちゃん研究所のメンバーと、出展者の方とが、フェスのイメージを共有し、赤ちゃん観察の練習を行うイベントがオンラインで行われると聞きつけたワタクシ。こっそりと、潜入してみました!
年齢性別関係なく、赤ちゃんを軸に人が集まる
オンラインで集まったのは、赤ちゃん研究所のメンバーと、出展者の方たち。
静岡大学でデザインやアートを研究したりしている学生さん。
会津大学のプログラマーの学生さん。
素材メーカーの方
…などなど。
年齢性別関係なく、「赤ちゃん観察」を軸に人が集まっている、少し不思議な光景です。
このオープニング会、今回は出展者さんごとに、目線を合わせるために、都度開催しているそうで、とってもピープルさんの仕事の進め方が丁寧だなぁ…とも感じました。
今日の司会は赤ちゃん研究所のひらいさんです。
今日は、まずはフェスイメージの共有「緊張…とかではなくて、わくわく!を」(ひらいさん談)。
そして赤ちゃん観察の練習をワークショップ形式で。(楽しそうです~)
最後に今後のスケジュールを共有します。
最初に見せてただいたのが、フェスのロゴマークのイメージ。
かわいい!
こちらのデザインは、アートディレクターの鈴木友唯さん(ゆいさん)の手によるもの。ゆいさんは、赤ちゃん向けの番組「シナぷしゅ」のアートワークを担当されていたり、さまざまなミュージックビデオのディレクションにも携わられているそう。
赤ちゃん研究所のビジュアルは、ゆいさんワールドなんですね!
赤ちゃんが自由に動き回れるフェス!?
さらに、ゆいさんの手による、フェスの会場イメージも共有されました。
10月9日、10日に開催を予定している「教えて!赤ちゃんフェスティバル」。現在さまざまなことを決めている最中です。
入口にはちょっとしたしかけがあって、
赤ちゃん島があって…(赤ちゃん…じま…?)
チェックインカウンターのようなところもあります。
ロボットがうろうろ…?
窓にも仕掛け…???
どうなるんだろう!?だいじょうぶ??……でも、楽しそう!!
フェスというと、出展企業さんのブースがあって、そこをぐるぐる回って展示を見るというイメージがありますが…
ひらい「今回のフェスは、赤ちゃんが自由に動き回れる場所を用意して、赤ちゃんに興味がある企業や人が、赤ちゃんに聞きに行くスタイルです」
出展者が赤ちゃんに寄って行って、反応を伺う、というもの。
赤ちゃんに企業がアドバイスを乞いにいくというのは、前代未聞のイベントでは…!?
ひらい「出展者の方には、プロダクトや対象物に対して、赤ちゃんがどう触り、どう行動するのかを、どんどん集めていただきます」
いわば「観察者」の役割だというのです。
それに対して、ピープルのメンバーは「トランスレーター」、つまり「翻訳者」役だといいます。赤ちゃんの行動を意味づけ、出展者さんにフィードバックしていくそうです。
ひらい「このイベントを、”赤ちゃんの好奇心はじけさせ大会”だと思ってください。赤ちゃんの好奇心をいかにはじけさせるかが、みなさんの力の入れどころです」
そもそも、ここに集まっている皆さんは、「赤ちゃん観察」に興味を持ち、「赤ちゃんから学ぼう」と思っていらっしゃる方。これは、ディープな時間が過ごせそうな気が、しませんか??
オープニング会では、内容に関する質疑応答ののち、「観察のワークショップ」を実施しました。
「イスに座る」を分解する
今日のワークショップのテーマは「行為の分解」です。
参加者の方は、ペットボトル、靴下、絆創膏をもって参加するように言われていたのですが…。
赤ちゃん研究所のこいたさんが登場。「当日は、赤ちゃんを観察してもらいますが、その前段階として、自分の行為を分解してみることで、気付きを得てみましょう」とはじめます。
たとえばイスに座るといっても、「座るイスを見つける」「座面がこちらを向いているかを確認する」などなど、さまざまなレベルで分解することができます。たとえば、赤ちゃん研究所チームが投影したスライドでは「イスに座る」という行為を、29程度に分解しました。
そこで今回のワークショップでは、チームごとに、「絆創膏を貼る」「ペットボトルの飲み物を飲む」「靴下をはく」という行動を分解して書き出し、それをチーム内で共有し、気付きを得ます。
まずは個々人で、黙々と「絆創膏を貼る」などの行為を分解して書き出します。
その後、チームでシェアをして、気付きなどを共有しました。
zoomのブレイクアウトルームから戻ってきた皆さんから、意見を聞きます。
同じ「絆創膏を貼る」でも、どこにどう着目するかで、項目の数が人によって全く違うんですね!
このチームにいた素材メーカーの方は、「具体的な素材名を使って記述している」とか、プログラマの方は「9~10をループする」というように記述するなど、その方のバックグラウンドによって、表現も変化してきます。
「絆創膏を開いた後にどこからどこまでが絆創膏本体とみなし、どこからどこまでを素材とみなすのか」などなど、「名前をつける行為」によって、書き方・呼び方が変わってくるようです。
一方、ペットボトルチームからはこんな感想も出ていました。
「ペットボトルの蓋を開けるときも、自分は利き手しか着目しませんでしたが、回すときは反対の手も逆方向に手首を動かしていました。飲み終わるときは、満足したかどうかを自分で意思決定して首を動かしています」
こいた「きもちが先か、行動が先か。これも人によって分解の仕方が違いますよね。気持ちの変化を分解するのか、行動を分解するのか。どちらに注目するかで気づきも変わってきます」
人によっては心の中まで行動と捉えて分解してみたり…と人によって視点が異なるというのは非常に面白いポイントです。自分にとって当たり前と思うことも、人によっては全く違ってくる。それを議論で共有しあう。「観察」って、奥深いです。
最後に、こいたさんから以下のようなまとめがありました。
まだSuicaが世に出る前のお話。デザイナーの山中俊二さんが、Suicaで通れる改札をデザインしたときのこと。試作品の改札では、半数近くがうまく改札を通ることができませんでした。どこにどう当てればいいのか、わからないのです。
「うまくアンテナ面に当ててくれるように、そして、一瞬止めてくれるようにデザインできないか」。
そんな要望を叶えるため、山中さんが実施したのは、実験機を作って丁寧に観察することでした。
観察の結果、たどりついたのが、今では当たり前になった「13.5度」傾いた読み取り面の角度です。
観察って、奥が深い…!!
こいた「私たちは、そこまではできませんが、フェス当日までに、赤ちゃんに触れてもらう機会を提供することはできます。赤ちゃんの行動観察を通して、自分の見たいものが見えるよう いろいろ仕上げていく過程というのも、一緒に楽しんでいけたらなと思って今回ご紹介しました」
この日は、もう一つの赤ちゃんに関わるワークショップも実施。(機会があればご紹介します)。
最後に今後のスケジュールなどを共有しました。
出展者さんがフェス会場に持ち込みたいもののプロトタイプを実際の赤ちゃんに触ってもらえるモニターテストを実施。9月下旬には直前勉強会を実施し、赤ちゃんに対する会でのふるまいなどを確認します。
観察の奥深さを感じることができたオープニング会。
10月に開催されるフェスへの気持ちが高まって参りました…!!!!
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