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イスラム世界、アフガニスタンの人道的危機を回避するための基金を設立

2021年12月10日にVoice of Americaに掲載された、Ayaz Gul氏の記事(以下は原文の日本語訳)

57カ国からなるイスラム協力機構(OIC)の緊急会議では、数百万人が飢餓に直面し、推定100万人の子どもが重度の急性栄養失調で死亡する危機にあるアフガニスタンの人道的・経済的惨状に対処するため、人道信託基金を設置することに合意しました。

パキスタンで開催された会議では、イスラム開発銀行のもとに基金を設立し、他の国際的なパートナーと連携してアフガニスタンの人々に救援物資を提供する、と最終声明が発表されました。この会議には、米国、中国、ロシア、欧州連合、国連からの代表が参加しました。

この会議は、8月にタリバンが欧米の支援を受けた政府から政権を奪取し、米国主導の外国軍が20年ぶりに撤退して以来、アフガニスタン支援に関する最大の国際会議となりました。

これに先立ち、タリバンのアミール・ハーン・ムッタキ外相代行は、OIC会議に、自国政府が国内の政治的包摂性を高め、女性を含む人権を促進するためにさらなる努力をすることを確約しました。タリバンは、非公開のセッションでのムッタキ外相代行の演説内容を発表しました。

ムッタキ氏は、「私たちは、一つの家族の一員として、アフガニスタンに関連するイスラム諸国のあらゆる要求、懸念、助言に耳を傾け、受け入れる用意がある。それは、適切かつ公正なロードマップにつながり、現在の危機から我々を導くことができる。」と言いました。

また、「人権、女性の権利、そしてさまざまな地域から有能なアフガニスタン人すべてが参加することが、私たちの責務だと考えている。私たちはこの点で多くのことを行ってきており、今後もさらなるステップを踏んでいく」と言いました。

タリバンの外交官は、アフガニスタンの領土をいかなる国も使用することは許されないと述べ、政府のテロ対策に関する保証を新たにしました。

米国と西側諸国は、タリバンがアフガニスタンの資産約95億ドル(そのほとんどが米国連邦準備制度に保有)へのアクセスを遮断し、金融制裁を課し、戦争で荒廃した同国の大部分が外国援助に依存する経済への人道的なものを除く支援を停止しています。

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写真:イスラム協力機構(OIC)臨時外相会議に到着したタリバンのアミール・ハーン・ムッタキ外相代行(中央)=2021年12月19日、イスラマバード

ムッタキ氏は、資産の凍結解除と制裁の撤廃を再度要求し、「保健、教育、社会サービスが瀬戸際に立たされており、これらすべては一般市民に害を及ぼすだけだ」と述べました。

米国をはじめとする各国は、テロへの懸念や人権、特に女性の人権の衰退を理由に、タリバンとの直接の関わりを拒否してきました。1996年から2001年までのタリバン政権では、女子は教育を受けることができず、女性は親しい男性同伴でなければ外出することができなかったことが、その懸念の一因となっています。

タリバンの指導者たちは、新政権が以前の支配のような過酷な政策を復活させないことを繰り返し約束しています。しかし、アフガニスタン全土のほとんどの少女はいまだに学校に戻ることができず、ほとんどの女性公務員は職務を再開することが禁じられています。

イスラム主義グループは9月に政権を発表して以来、まだ閣僚に女性を含めていません。

パキスタンのイムラン・カーン首相は、OICサミットの開会式で、アフガニスタンで起きている人道的惨事は、世界が緊急に改善策を講じなければ「最大の人災」になりかねないと警告しました。また、首相は、米国がカブールへの制裁を無条件に終了し、アフガニスタンの人々への人道支援を促進することを優先して資産を凍結解除することを要求しました。

パキスタンの指導者は、「私は特に米国に対して言っている。彼らは、たとえ20年間タリバンと対立していたとしても、4,000万人のアフガニスタン国民からタリバン政府を切り離して考えなければならない」と言いました。「しかし、これはアフガニスタンの人々、4,000万人の人間の問題なのです。」

カーン首相は、「今すぐ行動を起こさない限り、アフガニスタンは混乱に陥るだろう。(中略)しかし、混乱はどの国にも似合わない。確かに米国には似つかわしくない。」と言いました。さらに、首相は、混乱はISにつながる多国籍テロリストを利し、すでに300万人のアフガン難民を受け入れているパキスタンに向かう難民が増えることを意味する、と言いました。

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写真:イスラム協力機構(OIC)臨時外相会議に出席するパキスタンのイムラン・カーン首相(中央)とシャー・マヘムード・クレーシ外相(中央右)=2021年12月19日、パキスタン・イスラマバード

資産凍結と突然の援助停止は、アフガニスタンの経済的混乱を悪化させ、同国の人道的ニーズを増大させたと言われています。国連当局によると、長年の戦争、深刻な干ばつ、高いレベルの貧困により、2,300万人がすでに飢餓に直面しているといいます。

パキスタンのシャー・マヘムード・クレーシ外相は、OICのHissein Brahim Taha事務局長と会談後、記者団に対し、「銀行サービスがなければ経済は機能せず、人々を助けることはできないので、金融と銀行経路を開かなければならないと感じている」と語りました。

米国アフガニスタン特別代表のThomas West氏がサミットに出席しました。

「今日のOIC会議は、人道信託基金の創設やOIC特使の指名など、重要な成果を上げた。」米国はOICの役割と貢献を歓迎する」とWest氏はツイートしました。

特使は、日曜日の会議で採択されたOIC決議の実施、特にアフガニスタンの人々への人道支援供給のための努力の調整についてフォローアップする任務を負っています。

West氏は、土曜日にイスラマバードに降り立った後、ツイートで「タイムリーで重要なイニシアティブ」と言いしました。

West氏は、土曜日に「人権、テロリズム、教育へのアクセスなど多くの問題の中で、タリバンとの明確な外交を続ける一方で、アフガニスタンの人々が私たちの考察の中心にあり続けるだろう」と、ツイートしています。

クレーシ外相は、日曜日のOIC協議の非公開セッションにおける米国特使の演説について、アフガニスタンの人々への緊急救援支援を促進するという点で非常に希望に満ちたものであったと述べました。

West氏は「上司であるブリンケン国務長官からタリバンに関与するよう明確な指令を受けており、会議の際にタリバンの代表団に会ったと言った」とクレーシ外相が語りました。「彼ら(タリバン)は国際社会の期待に感化されていたのだろう。」

パキスタンの首席外交官は、米国が人道支援を条件付きにしないことを決定したと、West氏の発言を引用しました。

「また、これは非常に希望的なことだが、彼によると、国際金融機関には12億ドルもの未使用額があり、それを活用するメカニズムを見つけることができるそうだ」とクレーシ外相は述べました。

カブールのタリバン政権に対する制裁と外交的承認の欠如は、アフガニスタンの銀行システムを混乱させ、緊急に必要とする人道的援助の提供を損なっています。外交官は、イスラム強硬派を支援することなく、危機に瀕したアフガニスタン経済に援助を流すという慎重を要する仕事に直面していることを認めています。

人道問題担当国連事務次長のMartin Griffiths氏は、日曜日にパキスタンで開催された会議で演説し、こうした懸念を繰り返しました。

「アフガニスタンの経済は今、急激に悪化している。もし、私たちが断固として思いやりのある行動をとらなかったら、この悪化で国民全体が衰弱するのではと危惧している」とグリフィス氏は警告しています。

グリフィス氏は、保健施設は栄養失調の子どもたちであふれ、約70%の教師が給料をもらっておらず、何百万人ものアフガニスタンの子どもたちが学校に通っていないと述べ、主要な日用品の価格が上昇し続けていることを指摘しました。

小麦や燃料の価格は約40%上昇し、今や平均的な家計支出の80%以上を食料が占めています。

グリフィス氏は、タリバン政府と「建設的な関与を続ける」ことの重要性を強調しました。「有意義な対話の過程で、互いに何を期待するかを明確にする」といいます。


写真:イスラム協力機構(OIC)臨時外相会議で来賓を迎えるパキスタンのシャー・マヘムード・クレーシ外相(中央)=2021年12月19日、イスラマバード

Translated from:
https://www.voanews.com/a/muslim-world-seeks-coordinated-relief-aid-to-afghanistan/6360868.html


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