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今野書店フェア日記#3 3/5

15時ころに書店へ。
すでに友人Sがお店にいてくれた。Sは大学で会い、展示している同人誌にも寄稿してくれている。会社から持ってきた補充分を棚に足しながら、S君と話す。一冊選んでと言われたけどいろいろ薦めてしまって『キングコング・セオリー』『小倉昌男 祈りと経営』を買ってもらう。『祈りと経営』、置いている本の中だと経営者ノンフィクションっぽく見えるせいか浮いている。でも今日は一番売れた。

S君と話していたら俳人の佐藤文香さんがやってきた。棚を見て「私が編集者だったら竹田君に似ているタイプだと思う」と言っていた。佐藤さんと不思議と気が合うから本当にそんな気がする。佐藤さんは家から走ってきたらしくすごくスポーティーなかっこうだった。『ベートーヴェン捏造』と『歴メシ!』を買ってくれた。帰りは電車で帰るらしくて、本を持っては走れないんだなと思った。

佐藤さんとSさんが話してるのがなんだかおかしかった。

二人が帰ったところでカバンをおろして、出張編集部を設営。出張編集部とは、書店の中にいすを置かせてもらって、そこで竹田が仕事することを指します。昨日、店長に相談していたのはこの件で、今日花本さん、店長と話して正式にOKが出た。場所はレジ横のスペースで、フェア台からは1メートルちょっとくらいの距離のところ。

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最初はいすのみでボーッとしていたけど、花本さんが「それ、やばいよ、写真撮ってあげる」というから撮ってもらったらたしかによくない(上)。疲れて休んでるおじいちゃんかおばあちゃんみたい、とドイツの専門家にツイートされていて笑ってしまった。机も貸してもらえることになった。すみません。

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最初に家から持ってきた背もたれ付きのいすを使っていたけど、後ろを人がたくさん通るので結局丸いすも借りました。

棚をじっくり見てくれたお客様がいたので、えいやと話しかけてみる。このあたりの本は私が担当しました。言えた。いろいろと話して、最終的に担当書のひとつを買ってくれた。ありがたい! 花本さんに報告すると、「うれしいでしょう、だから本屋はやめられないんだよね」。しびれた。

校正者の牟田都子さんが来てくれた。牟田さんは『カンマの女王』の帯文を書いてくれていて、さらに今日発売の『群像』で、『カンマの女王』の書評も書いてくれていた(相当なレアケース!)。ありがたいなあと思っていたら、すぐにお会いできて感激した。外国語がからむ校正の話がでておもしろかった。何を話していても、最後には単著準備中の牟田さんにプレッシャーになるようなことを言ってしまって反省。

歯医者に行くため、いったん抜ける。

19時ごろ、お店へ戻る。

イベントでお会いした編集者が来てくれていた。『なぜオフィスでラブなのか』が気になっていたらしくて、ちょうどあるからと買ってくれた。やったよ西口さん!と心の中でガッツポーズ。求めているものがある場所をつくれたというタイプの達成感。知らない種類の感覚。

熱心に編集メモなどを見てくれている人がいて、話しかけたらメールでやり取りしたことのあるokaさん。ビジュアル系の(適切な言い方が浮かばないのだけど)雑誌や本をつくる編集者で、同じ編集者でもやっぱりいろんな職能があるなあと感じた。編集ノートでちょうど目次案を練っている箇所を質問してもらって、『ハピドラ!』を買ってもらった、そして『カンマの女王』も!二冊とも、同じデザイナーなんですよ、と言い損ねた。


KADOKAWAの麻田さんが差し入れのリンゴジュースを持ってきてくれた。こういう気遣いが自分にはいつも欠けている。「俺が編集したかった本」の話で笑ってくれた。担当書の中から(’残念ながら)結構レアな『子どもができて考えたワクチンと命のこと。』をお薦めした。ワクチンや免疫についてのクレバーな著者の洞察も満足度が高いのだけど、さらにワクチンの接種をわが子に受けさせるか否かで揺れる著者の心情も繰り返し描写されるので、上からの本になっていない、バランスがとてもいい本。

Twitterで見たという近くに住む書店員さんも来てくれた。違う書店の人から見ると今野書店でどうなんだろうと思ったけど、やっぱり毎日のように来るらしい。やっぱり近くに今野書店あったら行くと思う。担当書をかなり読んでくれていたので、最近気になっていたある質問をしたらすごく参考になる話をしてくれた。課題をもらった感じ。

閉店間際、友人の記者さんが来てくれた。『BTSを読む』を購入。いまからついていきたいという。BTSはあなたの声を聴きたがっているよ、という気持ちになりました。

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ちょっとはお客さんに自然と話しかけられるようになった気がする。本の趣味を聞くとけっこう話が続く。あたりまえだけど、みんな個別の読書の歴史を持っていて、その人の中では必然のように次に読む本がある。これまた当たり前すぎるんだけど、年齢とか性別とかで選ぶ本が決まるわけではない。今野書店には常連さんが多い。「売って終わり」でなく、またお客様がお店に来てくれるようにお店がしていることがなんとなく見えてきた気がする。

そういえば今日から、フリーペーパーに、歌人の瀬戸さんの「竹田純論」(命名:花本さん)が追加されました。面白いし、すごくうれしい文章で、これから瀬戸さんと作る本、すごく気合が入ってきました。


「おごってもらったときは大きな声で御礼を言う」がモットー。いただいたお金はありがたく生活費として使わせていただきます。間接的に奨学金の返済にも充てられることになると思います。