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室蘭工業大学 航空宇宙総合工学コース 大学院入試を受けました 【体験談】

昨年,室蘭工業大学の大学院入試に合格したので,その備忘録です.
室蘭工業大学の院試は,情報がほとんど出回っていないので,参考になれば幸いです.
なるべく皆様の役立つような内容を心がけますが,当ブログによって被った損害・損失については一切の責任を負いかねますので,ご了承ください.


○受験したコース


室蘭工業大学 生産システム工学系専攻 航空宇宙総合工学コース

○試験内容(2023年現在)


①英語 200点
TOEICスコアによる採点です.当日受験も可能ですが,事前提出をおすすめします.990点中,590点で満点なので,満点の人が多いです.私は大学3年時にTOEICの団体受験があったので,そのスコアを使いました.

②専門科目 600点(数学,選択科目×2)
数学 + 選択科目2つの合計3科目です.それぞれ200点ずつの計600点です.
選択科目は,工業力学,工業熱力学,流体力学,材料力学,電気回路,制御工学の6つから2つ選択します.選択肢の幅が広くていいですね.
私は工業熱力学と流体力学を選びました.周りの学生の様子を見ると,工業熱力学,材料力学,電気回路を選ぶ人が多い印象です.正直,難易度に大きな差はないと思うので,自分の得意科目や研究内容に近い科目を取るのがベストだと思います.それぞれの科目に対する私の印象をまとめておきます.

③面接 200点
学生1人に対して教授3~4人です.推薦入試の面接は口頭試問ですが,一般入試の面接は,口頭試問は少なく,志望動機や将来のプランなどが聞かれるような印象です.

・数学


微分積分・微分方程式,線形代数,複素関数,ベクトル解析,フーリエ変換,ラプラス変換,あたりが出ます.選択形式ですが,全ての分野を勉強して,当日解けるところから解いていくのが良いでしょう.


・工業力学


加工された円板の慣性モーメントを求める問題,円板にばねやピストンを絡めて運動方程式や回転振動の周期を求める問題が頻出です.私は,他の科目の方が得意なので,あまり勉強しておらず,特にアドバイスできることはありません.

・工業熱力学


比熱関係の式や熱力学基礎式を用いた証明問題,第二法則周辺の説明問題,熱力学的サイクルの計算問題が頻出です.少しクセのある説明問題も出るので,過去問をよく調べておくことが重要です.勉強範囲は他科目に比べて広いので,熱力学をゼロから勉強する人にはお勧めしませんが,ある程度勉強すれば安定して得点することができるでしょう.航空宇宙工学ということで,ブレイトンサイクルが頻出ですが,その他サイクルも普通に出るので,決め打ちせず満遍なく勉強すると良いでしょう.

参考図書(上2つは授業教科書)

・流体力学


ピトー管,ベンチュリ管の計算,等エントロピー流れの式導出,衝撃波関係の式導出が頻出です.数年前までは複素速度ポテンシャルも頻出でした.しかし,航空宇宙コースのカリキュラムが変わり,近年は圧縮性流体力学が良く出ています.半分は非圧縮性流体力学,もう半分は気体力学(圧縮性流体力学)という配分な気がします.気体力学は等エントロピ流れの式を用いた証明問題が多い印象です.微分形と積分形の両方を扱える必要があります.

キーワード
体積弾性係数,ニュートンの粘性法則,連続の式,オイラーの運動方程式,実質微分,ベルヌーイの定理,斜め平板への噴流,ハーゲンポアズイユ流れ,複素速度ポテンシャル,NS方程式
音速,連続の式,オイラーの運動方程式,運動量式 (ρu² + p = const),エネルギー式 (CpT + u²/2 = const),ランキンウゴニオの式,等エントロピー流れの関係式,衝撃波前後の関係式,斜め衝撃波,準一次元ノズル流れ

参考図書(上2つは授業教科書)


・材料力学


はりのたわみやトラス構造が頻出です.過去問を見る限り,問題のバリエーションは少なく,対策しやすいです.ただし,最近,JAXA出身の奥泉先生が本学に着任されましたので,問題が変わるかもしれません.
たわみの微分方程式やカスティリアノの定理で計算ミスが発生しそうなので,私はサブ科目として勉強しました.

参考図書


・電気回路


意外と選択する人が多い科目です.非常に基礎的な直流・交流回路の計算問題から,論理回路の問題,トランジスタの名称,オペアンプの基礎など幅広く出題されます.ゲート名やトランジスタなど,暗記すべき事項もあるので,過去問を集めて準備することが重要です.また,授業内容をもとに出題されている印象が強いので,大学のシラバスも要確認です.

・制御工学


選択する人が少ない印象です.私もほとんど見ていないので,コメントは控えさせていただきます.


○当日の様子

1日目はTOEICと数学の試験,2日目は選択科目の試験と面接でした.
試験時の服装はスーツが3割程度,残りは私服という感じだったので,私服でいいと思います.面接は大半がスーツですが,私はスーツがなかったためユニクロのTシャツにしました.

試験問題(受験当日)

数学
記憶が曖昧ですが,複素数,線形代数,フーリエ変換,ベクトル解析は最後まで解きました.しかし,ベクトル解析はあまり自信はありません.
また,微分方程式は気体力学から導出される式そのものでしたが,残念ながら解き切れず・・
想定より解けなくて残念な結果でした.

工業熱力学
大問①
エンタルピ計算,第一法則を用いた計算,等温過程のエントロピ計算など3問構成,基本問題が中心でした.
大問②
等エントロピ過程の説明,断熱過程の式変形による証明など
3問構成でした.
大問③
ブレイトンサイクルの温度,圧縮機・タービン仕事,熱効率を求める問題
5問構成,電卓の持ち込み不可なのに,少数第二位を含む計算が必要でした.内容は簡単です.

おそらく,全問解けたと思います.

流体力学
大問①U字管マノメータ問題
3問構成
簡教科書の例題のような問題でした.

大問②超音速ノズル流れの問題
5問構成.連続の式,音速の式などを用いてマッハ数M=1の前後でノズル断面積と流速の関係が逆転する現象を証明しました.
大問2の最後が解けませんでしたが,それ以外はできました.

まとめ

私は,2ヶ月ほど前から過去問を調査していました.本格的に院試対策を始めたのは2週間ほど前からですが,熱力学や流体力学は研究のために勉強していたので,実質の勉強時間はもっと長いです.
しかし,数学は準備不足であり,少なくとも1ヶ月前,理想は2ヶ月以上前から勉強すべきだったと反省しています.

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