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不思議で奇妙な話

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わたしが体験した奇妙な出来事、わたしが聞いた不思議な世界の話を、おひとついかが。
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#思い出

1ヶ月後の夜に【不思議で奇妙な話】

わたしは大のおじいちゃん子だった。祖父の葬式では「あんたはおじいちゃん孝行だったけぇね」と遺影を持たされて霊柩車を見送った。 ちょうどその頃、わたしは日々の肉体労働に疲れきって泥のように眠る日々が続いていた。 祖父が亡くなって四十九日も迎えていない、1ヶ月後。(月命日と言いたいところだが四十九日を迎えていないので、1ヶ月後と表現する) オルゴールの音でわたしは目が覚めた。 音は頭を向けている方向から聞こえてきた。 そこには押し入れがあった。片方が開けっ放しの押し入れ

それは必要なタイミングで起きた

新卒入社2年を過ぎた頃。 ルーチン作業中に突然、上から降ってきた。 「会社、辞めよう」 それまで、考えたこともなかった退職という2文字が、 まるで天からのお告げのように、私の頭をぐるぐる回り始める。 午前10時のことだった。 作業を終え、退職希望を話す相手を探しに行くことにした。 相手は2人。 1人は社長。 社長は1階フロアの、隅の机にいつも座っている。 探さなくても、そこに行けばいる確率が高い。 問題は。 もう1人の、部長の方。 部長はどこにいるか

縁が追いかけてくる

父は今までにも何度か職場を変えた。そのたびに実家は引っ越した。私が実家を出てからも実家は引っ越したから、実家なのに実家じゃない、実家とは…?という状態になっていた。 さて、また実家が引っ越すことになった。関西になるらしい。定住地としては、関西初上陸になる。 はじめての関西への帰省。東海道新幹線で関東から向かう。窓越しに、今まで住んでいた土地や、かつて働いていた場所が見える。あぁ、懐かしいなあ。いろいろあったなあ。時速280kmで思い出が過ぎていく。 新大阪駅へ到着した。