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たのしい川べ③


またたのしい川べについて書いてみます

今度は私の好きなシーンを書いてみますね

とてもあたたかな気持ちになる場面で、ネズミ君の優しさが際だつシーンです

それまでの話を簡単にいってみます

・・・モグラはある日春のよび声にこたえて、家を抜け出し、ネズミと知り合います

そして、そのままネズミとくらし始め、家のことを忘れて新しい生活に夢中になります

そして、ある時遠出をして、ネズミと一緒にネズミの家に帰る、その途中・・

モグラは急になにかを感じてびくっと立ち止まります

この本によると、動物たちは、周囲の生き物や生きていないものと心を通わせあうとき鼻にくる微妙な刺激で、何かを感じていました

このときモグラが感じとったのも、そういう虚空からの不思議な呼び声の一つでした

そして、それはモグラをとても懐かしい気持ちにさせました

それは、モグラが飛び出してほったらかしになっていた、自分の家から来ていたのです

それでモグラは思わず立ち止まってしまったのです

その後のことはこんな風に書いてあります

「モグラは、ぴたりと立ち止まって、あの電波のようにじぶんの心を強く動かした、細い細い糸をとらえようとして、あちこちへ鼻を動かしてみました。はたして、たちまち、かぎあてました。そして、それといっしょに、こんどはいろいろな思い出が、どっと胸にこみあげてきました。」

懐かしさでいっぱいになるモグラ

そして家もモグラが懐かしいのです

その呼び声は家がモグラに帰ってほしいとつげたものでした

「モグラがいなくなってから家はさびしく、帰ってきてもらいたいと思っていました。ですから、いまも、すこしもおこったり、すねたりしないで、しかも悲しげに、うったえるように、モグラの鼻にじぶんの思いをのべたのでした。ただ、自分はここにいて、モグラの帰りを待っていると、悲しげにつげたのでした。」

こうしてモグラはいてもたってもいられなくなります

しかしネズミは前の方を歩いていてモグラの様子が分からず、待ってくれというモグラの言葉の悲痛さにも気づきません

天気が悪くなりそうだから早くおいでといい、先へ行ってしまいます

モグラは辛いのを我慢してネズミの後を追いかけます

一生懸命泣くのを我慢するモグラ

でもとうとう抑えきれず泣き出してしまいます

驚くネズミにモグラは泣きながらいいます

「そりゃ、みすぼらしいーきたないところだけど・・・ぼくの家だったんだーそれで、ぼくーその家がすきだったんだー・・・それを、さっき、きゅうに道でーかぎつけたのさーぼく、きみを、よんだんだけれど、ネズミ君、きみは、きいてくれなかったんだーそして、いろんなこと、ぼく、どっと思いだしちゃってー帰りたかったんだよ・・・」

これを聞いたネズミは自分の鈍感さを認めて、モグラが泣きやむのを待ってからモグラに、家を探しにいこうといいます

そして、こういいます

「おい、僕はひと晩かかったって、きみの家をさがしだすよ。だから、元気になって、ぼくのうでにつかまりたまえよ。きっとすぐ、そこへいきつけるから。」

そうして優しいネズミのおかげで、モグラは自分の家をみつけます

そしてモグラとネズミは家の中へ

ネズミは、出せるような食事がないと落ち込むモグラをはげましながら、食べ物を見つけてあげたり、モグラの家の話を聞いてあげたりしてモグラを元気づけます

本当に優しいネズミ君

こういうネズミ君のやさしさが至る所で感じられるのも、たのしい川べの好きなとこです

そして、ネズミ君のおかげで、やがて賑やかな、楽しい帰省となります

楽しい川べのあたたかい、友情というものを強く感じる大好きなシーンです

ほんとの友情ってきっとこうだろうな

そして泣いてしまうモグラ君がまた可愛くてすきなのです

長々となってしまったけど、優しい、あたたかいはもちろん、面白さもある物語なんです

書けなかったけどヒキガエルの性格とか、何かやらかすこととか、それもまた人間味?があっておもしろく、こっけいです
絵を見て思わず笑ってしまったりもします

ずいぶん昔の物語、100年以上前の・・

でも、今にも通じる普遍的なものがある、物語だと思います

長くなったけど、読んでくれてありがとうございました

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