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ありがとう、大好きでした。〜ナオ編 完結〜

2018.12.16

私は1人で東京に来ていた。

この日、どうしてナオをブロックしたかは正直あまり覚えてない。日記にも残されていない。今回もいつもの調子の無神経なナオの発言にひどく絶望したのだろうか。いや、たぶん、理由はもっと違うところにあったのだと思う。

名古屋から新幹線で2時間。
ふと思いつきで突発的に東京に行くことは
これで3度目だった。
幼少期からずっと永遠の憧れのこの街。
一度でいいから住んでみたいと、
強く思い続けても今まで叶わなかったこと、
従姉妹や弟や友達は上京していき、私にとってはそれが少しだけコンプレックスでもあった。

世間はクリスマスムード真っ只中、
楽しそうな人々で賑わう表参道を歩き、
派手なネオンを抜けて六本木にたどり着く。
横浜出張がある時もいつも私は決まって
1人この街に吸い込まれるかのように来る。

心が空虚な気がして
常に"寂しい"という感情に苛まれていて
何を求めるでもないけど、
何となく何かが見つかる気がして。
セックスがしたかったわけではなく、
誰でもいいから私だけに真っ直ぐな愛をくれる人が欲しかった。


"もう、終わりにしよう。"

それはそれは静かに決意した。



12.31

職場の電話が鳴る。
受話器をとると、聞き慣れたナオの声が聞こえた。2週間ぶりに言葉を交わした。
ブロックするといつもこうやって追いかけてくれるが一体何度目なのだろう。
結局私たちはお互いかなり自分勝手なのかもしれない。私は勝手に突き放して、ナオは私の覚悟を平気で踏み躙る。受話器口の彼の話し方で、私に本気なのか軽い気持ちなのか何となく分かる。やっぱり今日も少なくとも前者ではないと感じた。

私たちはお互いに今まで本気で向き合うことを避けてきた。私は、自分の気持ちにさえちゃんと向き合えていなかった。
「好きだ」と認めたくなかった。
認めてしまえばどれほど致命的に傷つくのか図り知れなくて。
ナオはいつしか私が離れていくのが怖くなっていたのだろう。だって彼の中にある彼の答えは最初から何も変わっていなかったのだから。私への気持ちが1から10に変化していたとしても、選ばれるのは私じゃない。それ以上の存在がナオにはいるということ。はっきり分かっていたけれど、途中からナオははっきり言わなくなった。
ナオが私を受け入れてくれるならば、もしかしてチャンスはあるのかなって思ってきたけど、電話口の声はいつものナオ。いつもと何も変わらない。それは今後も変わらない関係を示唆しているのだと思った。

私は割り切れずにこの関係に意味を求め続けてきた。ずっとずっと前から終わらせたかったから。だけど同時にすごく終わらせたくなかった。
ナオはずるい。
だけど、ナオが極たまに言う"好き"は
嘘ではないことは知っていた。
いつも彼は本音しか言わないから。

"好き"は誰かと相対比較するものではない
そう感じることもあった。

彼の目を見れば、
声を聞けば、
触り方を知れば、
キスを感じれば、

どれだけ好きなのか、
自ずと伝わってくる。

どうしてそれ以上の"好き"を求めてしまったのか。
私が求めなければ、いつまでも私たちの関係は続いていけたとも思う。

でも、"好きの格差"は大きかった。
認めたくなかったけど明らかに私の方が思いが大きかった。一方的に愛を与え続けられるほど私は強くなんてない。
いつか見た「嫌われ松子の一生」のマツコのように、見返りを求めない無償の愛を与え続けることなんてできないから。

自分が愛した分、
相手から返ってこないならば、
心を防御することに徹するべきだろう。
自分が壊れてしまわないように。


その時、隣にいた川越さんには、ナオのことは基本何でも話していて、社内一信頼していたのだけど、そんな彼曰く曰く「〇〇さん(ナオの苗字)、相当のめり込んでますね😳」と。
確かにナオはここ最近どんどん私にハマっていく兆候があり、今が過去1番私のことが好きなんだろうけど、私はもう決断していた。

はっきりと思いを伝えた。
二の舞、三の舞、四の舞でも学ばない自分だけど、ケジメをつける思いで。

分かってくれたナオ。
ありがとう。
本当に素直にそう言葉が出た。



その夜、私は大晦日ということもあり、
実家に帰省した。
そこで来年に向けて思いを新たにした。

2019年の心に強く決めた目標は、
『良い女になる』だ!!!

これは美容面、生活面、仕事面でも
色んな意味を含ませたけれど、

"常に自分を自分で好きでいること"
"自分が好きだと言える行動をとること"


これがベース。

中でも強く決意したのは、
『都合の良い女として抱かれない』
ということ。笑

当時の手帳を見返すと、小さく、
「セックスは依存しない程度に適度ならOK」
と書かれてるのがツッコミどころだが🙄笑


怒涛の2018年、
今日でキリよくナオとの関係にケジメをつけることができて、私にとって本当に良かった。

もう既に、過去何度かあった渾身の別れのタイミングであれだけ泣いたので
今は不思議と清々しい思いでいれた。

その夜、初めてナオからインスタのメッセージで連絡があり驚いたが、どうしても言いたかったのか、そこまでして最後の言葉をくれたのは嬉しかった。

「ワガママな妹みたいで可愛いし、
少なからず好きって気持ちがあるから連絡してたよ。」

最後の言葉とは書いたが、
ナオの言葉はいつまでたっても全然最後の言葉になりそうになかったので(したくなさそう笑)、
一通りやりとりした後、私が締めくくった。


"ナオ、今までありがとう。
元気でね。
スキでした。"

この3行。

私の気持ちは伝えた。
最後は素直に言って別れよう。
ただのセフレ?
いいやそれ以上のものをお互い分けあったよね。
2018年たくさんの思い出があるからこそ
別れは寂しいものだけど、
もう、さよならなんだ。


ありがとう。






恋が終わる時にいつも聞いている曲👇


YUI   「feel my soul」


ASIAN KUNG-FU GENERATION 「ソラニン」

https://youtu.be/XNURRmk8YrQ






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