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Caillouxの読み方

「カイユー」と読みます。フランス語で「石ころ」という意味です。日本語にすると「石ころパン」でしょうか。そっちの方が覚えやすくていいじゃないかと言われますが、「カイユー」の言葉の響きが好きなのです。

「石ころパン」の名付け親は、母親。
私が中学生の頃に作っていた自家製酵母のパンが石のような見た目と質感だったため、「なんだいこれ、石ころみたいだね!」と言われたことに由来しています。

私がパン作りに出会ったのは、小学5年生の頃。「小麦ふくらんでパン」という絵本に出てくるナンがどうしても作ってみたくて。
キッチンの引き出しを開け、いつのものか分からない小麦粉と塩、いつのものか分からないドライイーストを使って、人生初のパン作りがスタートしたのです。

「おかしいなぁ、本のイラストではもっと膨らんでるんだけど…」

全く膨らむ様子のないパン生地を、ひとまず記載の時間通り置き、手で薄く広げて、いざフライパンへ。
カレー屋さんで食べるふわふわのナンを想像していた私。

出来上がったそれは、例えるなら駅のホームにこびり着く、誰かが吐き捨てたガムでした。

その日は月曜日で、テレビでは「世界まる見え」が流れていました。賑やかなテレビの音と、やっちまった感のあるナンを大皿に何枚も載せて家族の前に出る悲しみ、「作った人が責任もって食べてね」という母の声。今も鮮明に思い出されます。

その日私は、粉には「薄力粉」と「強力粉」の2種類がある、ということを学びました。
実家には強力粉が無かったのです。

ふつうに考えればパン作りは「失敗」、やっぱりパンは買った方が美味しいね、となりそうなものですが、なぜだかこの失敗は、私にパンの世界への扉を開けさせてしまったのです…

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