今期の徳島を振り返り…攻撃②
今回からは攻撃面を掘り下げて考えていきたい。
シーズンを通じて高い保持率を出した徳島だったが、そのなかでも特に序盤は昨年度との違いの部分から苦戦する時期・場面があったように見ている。
昨期
昨年度は
・ボランチか左SBが
・中央、サイドの位置に
と臨機応変に2CBをサポートして可変していくことで相手を迷わし数的優位をつくり、プレスを回避しながら前進していくかたちが効果的に機能していた。
特に良かった点は、3人もの選手(ボランチ2名、左SB)が状況によって臨機応変な場所で数的優位を作りにいったことではないだろうか。
分析が進歩しているなか守備から攻撃に移行する時に配置をずらすだけでは相手を迷わすまでには至らない。
その点誰がどこにポジションを移すか決まっていないこのかたちは
相手にとっても臨機応変さを強いることになり(判断で勝負する土俵に引き込む)、
そこに迷い遅れを発生させ局面で数的優位を作り続けて相手陣地深くまで前進しゴールに迫る…構造的に相手を崩していける場面が多かった(そこには「運ぶ」ドリブルに長けた田向・内田選手の力も大きかった)。
マンツーマンの意識を強く持ちエリアを狭めた守備をする相手(水戸・栃木・北九州との初戦)に苦戦することはあったが、更にそこへGKへのバックパスを担保にすることで保持を安定させ、ほぼすべての試合でボールを握り優勢にゲームを進めることができたと考えている。
今期
対して今期は(特に序盤は)
攻撃に移った際に後方のビルドアップを2CBで固定する場面が多々あり、相手がマンツーマンで迫ってきた場合はもとより大外を捨てる(つまり中央には同数で)プレスに対してもセーフティな回避を強いられたり奪われたりして、いい攻撃に結びつけられなかったシーンが多くなったように見えた。
GKを含めれば数的優位ではあるのだが、最後の保証であるGKを最初からビルドアップに組み込むのは色々と制限がかかる。
GK自体はもちろん相手のファーストラインを超えてまで前進することはなかなかできないし、
最後の保証を残さないことでどうしてもセーフティな選択肢に傾きがちになる。
最初からビルドアップに組み込むなかでは味方ゴールやGKに近い位置でFPがボールを持つケースが増え、その場合においてGKにボールを渡しても相手との距離がすぐ迫っておりそこから繋いでいくのは簡単なことではなかった。
(特にゴールライン付近、ペナルティエリアとゴールエリアの間あたりで徳島の攻撃が滞ったシーンが度々見られたのはこのかたちの影響ではないか)
ではなぜこのかたちなのか。このかたちになったのか。
今期は崩しの考え方からこれまでとの違いがあり
最終ラインから数的優位を保ってひとつずつ相手のラインを超えて前進をしていく昨年度の考えではなく
全体が適切な配置を相手より早く取ることのなかで、より前目の選手に早くボールを渡していき前進することをメインにする考えがあったのではないか。
そのなかで最終ラインより前の選手には簡単に保持できるが相手ゴールからは遠ざかる最終ラインに落ちることより、前のギャップでいち早く受けることを優先させたことからそのような配置になったのではないか。
この戦いにおいてボランチは決して落ちてはいけない訳ではないと思うのだが、前で受けるか後ろに下がって保持を保つのか(数的優位から崩す考えは無い?)の判断の部分で序盤はバランスが崩れた可能性があると考えた。
実際には、後半になるにつれボランチが落ちる頻度が多くなり保持が安定したように見ているが、そこまでの間に勝ち点のロスはあったように考えている。
また最終ラインからの持ち上がりの頻度が少なかったのもそうしたベースの考え方がこれまでと違う可能性がある。
最後に
昨期までのほうが理にかなっているのか、ポヤトス監督のほうが良いのか。
ただのスタイルの違いの範疇か。
浸透度の過程なのか。
…このあたりは、よりスタイルが浸透するであろう来期の注目点でもあると考えている。
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