REG2復習(Volume1)
ずっと先延ばしにしてたREG2を遂に復習開始
日本の税法も知らんのに何故か無関係の国の税法を学ぶ(しかも日本語で)
税金について少しでもお近づきになれたら
Volume2も完了(2022/5/6)
Chapter 1:イントロダクション
米国の租税体系と税法
米国の租税体系を課税主体で分類すると、
・連邦税Federal Taxes
・州税State Taxes:関税Federal Costoms Duties/内国税Internal Taxes
・地方税Local Taxes
に区分できて、USCPAのREG2で扱うのは内国税とそれに関する内国歳入法IRC
連邦税の執行(徴税業務)は、内国歳入庁IRSが担う
※予備知識:徴税機関
・米国の徴税機関:内国歳入庁IRS
・日本の徴税機関:国税庁NTA(財務省の外局)→国税局(地方拠点)→税務署
米国の租税主体(納税者)は以下の通り。
・個人
・パートナーシップ
・一般の株式会社 C Corporation
・小規模会社 S Corporation
・信託
・遺産
※予備知識:米国税理士
アメリカにも税理士(EA、Enrolled Agent)の資格があるが、日本の税理士とは違って独占業務があるわけではない
内国歳入法の構成
内国税は、以下に区分できる
・連邦所得税:内国税のなかで一番高額、試験範囲もほぼここ
・連邦遺産税
・連邦贈与税
日本の税法では所得税法(個人向け)/法人税法(法人向け)が分かれているが、米国の税法ではひとつの法律(内国歳入法)
※予備知識:遺産税と相続税
・遺産税(米国など多数):遺産に対して課税(納付者は遺産を遺した者→遺産管理人などが遺産から納付する)
・相続税(日本):遺産相続により生じた所得に対して課税(納付者は相続した者)
※予備知識:JCPAにおける法律系科目
・民法(論文式のみ、選択)
・財産法:①総則、②物権、③債権
・家族法:④親族、⑤相続
・企業法(短論共通)
・会社法
・商法
・金商法
・租税法(論文式のみ、必修)
・法人税法
・所得税法
・消費税法
※予備知識:USCPAにおける法律系科目
・民法
・契約法リステイトメント
・不法行為リステイトメント
・代理法リステイトメント
・財産法リステイトメント
・信託法リステイトメント
・保証法リステイトメント
・商法
・統一商事法典(UCC)
・事業組織法
・統一パートナーシップ法(UPA→RUPA)
・模範事業会社法(MBCA→RMBCA)
・連邦破産法
・社会保障法
・連邦社会保障法
・租税法
・連邦所得税法
・連邦贈与税法
・連邦遺産税法
※予備知識:民事と刑事
・民事事件(違法)
・契約上の債務不履行(契約関係にある者間)
・不法行為(契約関係にない者間)
・刑事事件(犯罪)
・〇〇罪
税務会計
基本的な考え方は、政府はできるだけ多くの額を早く(確実に)徴税しようとする
納税者はできるだけ少ない額を遅く納税しようとする(節税対策、累進課税方式で税額が上がるのを避けたり)
政府は政策のために優遇税制を実施することもある
個人/小規模会社/パートナーシップは、税務申告に現金主義を使うことができる
ただし、節税目的で期末に大量に商品を仕入れて現金を減らすことは認められない(仕入と売上は発生主義)
株式会社は、原則として発生主義しか使えない
ただし、賃貸料rentsや権利使用料royaltiesを前受けした場合や配当devidendを受領した場合は、前受金として負債計上せずに、前受所得として益金計上する
税額の計算方法
〈総所得GI〉−〈控除Deduction〉=〈課税所得TI〉
〈課税所得TI〉×〈税率〉=〈税額〉
CPAの問題を解く時は、以下を区別すると理解しやすい
・収益の受取時:総所得から除外Exclusion(益金不算入)できるかどうか
・費用の支払時:総所得から控除Deduction(損金算入)できるかどうか
Chapter 2:個人(個人所得税)
Chapter2で想定してるのは、サラリーマン
個人所得税概論
控除には2種類ある
・"お金持ち度"に依存しない控除額
・"お金持ち度"に依存する控除額:医療費控除など
個人所得税申告では、以下のように課税所得を算出する
①総所得GIを算出
②AGI前控除("お金持ち度"に依存しない控除額)を算出
③調整後総所得AGI(①−②、即ち"お金持ち度")を算出
④標準控除SDおよび項目別控除ID("お金持ち度"に依存する控除額)を算出
⑤課税所得TI(③−④)を算出
個人所得税申告書
個人所得税申告には、Form1040(課税所得を算出するためのメイン用紙)と、必要に応じてSchedule(明細を計算してForm1040に転記するための別表)を使う
・Schedule A(項目別控除ID):標準控除を使う方がより多く控除できる場合は作成不要
・Schedule B(利子所得、配当所得):株式を保有していなければ作成不要
・Schedule C(事業からの損益):事業を営んでいなければ作成不要
・Schedule D(資本損益):不動産や証券などを売買していなければ不要
・Schedule E(その他の所得、損失):該当項目(賃料、権利使用料、パートナーシップ経営、S Corporation配当)がなければ作成不要
・Schedule F
・Schedule 1(追加所得およびAGI前控除):Schedule C/E/Fなどを転記する
・Schedule 2(追加税額)
・Schedule 3(追加税額控除および追加支払税額)
資本不課税原則 recovery of capital doctrine
「金額を入手した場合(所得を得た場合)、それを入手するために投資した金額までは不課税にできる」
この所得を得るために投下した資本の金額を「投資基準額basis」と呼ぶ
ベイシスが理解できないと連邦所得税法は理解できないと言われるほど重要な概念
※連邦所得税法では、所得税支払後の資金を一般に資本capitalと呼ぶ
この原則により、以下のような類似行為でも課税所得が異なってくる
①$100で購入した株を売却して$150を得たら、課税所得のは$50(売却益のみ)
②$100を賭金として賞金$150を得たら、課税所得は$150(ただし賭金$50は項目別控除できる)
※①は投資だが、②は投資ではなくギャンブルであるため
総所得に含まれない項目
原則として、すべての所得は総所得GIに含まれる(課税Inclusion)が、税法に規定された特定の所得は総所得除外(非課税Exclusion)できる
総所得を算出するために、総所得に含まれない非課税所得を憶える必要がある
・未成年者扶養手当など
・私的年金など
・福利厚生
・株式配当など(ただし、持株比率が変化する場合は、現金配当ではなくても、総所得に含まれる)
・奨学金など
※予備知識:公的年金と私的年金の違い
・私的年金:将来の自分のため
・公的年金:現在の高齢者世代のため
に掛金(保険料)proceedsを支払う
よって、私的年金は元本保証されるが、公的年金は元本保証されない
※予備知識:日本の公的年金制度
・国民年金(1階部分):保険料は定額
・厚生年金(2階部分):保険料は報酬比例(健康保険と同様に労使折半)
なお、私的年金(企業年金、個人年金)が3階部分に相当する
※予備知識:日本の社会保険制度(全5種揃って「社保完備」)
・労働保険
・労災保険
・雇用保険
・社会保険(狭義)
・健康保険
・介護保険
・厚生年金
総所得に含まれる項目
・役務提供の対価
・事業所得など(Schedule C)
・譲渡所得(Schedule D)
・賃料、権利使用料(Schedule E)
・現金配当および利子所得(Schedule B)
・社会保障給付(公的年金)など
・ストックオプション
・賞金など
役務提供の対価としてモノを受け取った場合、総所得として含める金額は、取得時点における時価(公正評価額FMV)であり、取得原価ではない
※予備知識:通常所得と資本損益
・通常所得ordinary income:物を仕入れて売った時の利益(税率が高い)
・資本損益capital gain/loss:株を買って売った時の利益(税率が低い)
株式投資を促進するために、優遇税制が導入されている(日米同じ考え方)
Chapter 3:個人(事業所得の計算)
Chapter3で想定してるのは、自営業者(個人事業主)
自営業者は事業所得を得るため、Shedule Cを作成する必要がある
Schedule Cの構成は、PLに似ている
・PartⅠ(所得Income)
・PartⅡ(経費Expenses)
Sales
-) CGS
+) Other Income
—————
Gross Business Income
-) Business Expenses
—————
Business Income
売上原価(CGS)
自営業者における所得
税務会計における棚卸資産の評価方法は、一般的に低価法LCMだが、FIFOやLIFOも使用可能である
しかし、税務会計上でLIFOを使う場合(通常は物価が上昇していくため、税額が小さくなる)は、財務会計上でもLIFOを使うことが条件になる
※予備知識:棚卸資産の評価方法
売上原価(商品の取得原価、製品の製品原価CGM)を把握するための原則的な方法は個別法であるが、個別法は仕入販売プロセスを単品で管理できるモノにしか適用できない
そのため、「売上原価=単価✕数量」という前提(原価法Cost Method)に基づき、合計6通り(以下の組合せ)の原価算定方式が考案された
○「数量」の測定法:2通り
・継続記録法:仕入/販売のたびに数を測定
・棚卸計算法:期末在庫数を実地棚卸により測定
○「単価」の算定法:3通り
・FIFO(先入先出法)
・LIFO(後入先出法)
・AVCO(平均原価法)
また、保守主義の原則に基づき、時価下落に伴う将来(販売時)の収益減少を見越して早期に認識するため、期末日ごとに「原価法で算定した帳簿価額」と「時価」を比較して、低い方を棚卸資産の評価額とする方法(低価法LCM)が考案された
統一資本化規則により、原則として、棚卸資産に関する手数料や梱包費用などはいったん資産計上しなければならない(小規模な企業は例外的に即時費用化が容認されている)
事業経費の控除要件
自営業者における費用
・宿泊費、飲食費など:条件を満たせば損金算入が可能
・事業目的の贈答:一定額まで損金算入が可能
・諸税、支払利息:前受家賃と同様の考え方
・貸倒損失:引当金は損金不算入(企業の見積もりにより課税所得を減らせてしまうため)
・減価償却制度:MACRS(GDS)により残存価額ゼロで費用計上できる
・減価償却の平均化の慣行:動産/不動産の期中取得/期中処分
・197条費用化選択:中小企業のための優遇税制(逓減phase-out)
・減耗性資産と無形資産の償却:179条無形資産(財務会計でやる減損テストは不要)
・自宅を事業に用いた場合のルール
※予備知識:米国の減価償却制度の変遷
・〜1980年:ADR(準耐用年数等)→税法と財務会計のルール同じだった
・1980年〜1986年:ACRS(加速度原価回収制度)→レーガン政権による減税政策による
・1987年〜:MACRS(修正加速度原価回収制度)→減税しすぎたので修正した
欠損金(NOL)
税法上の赤字(課税所得がマイナスになる)のこと
アットリスクルール
事業損失の控除(損金算入)を制限するための仕組みのひとつ
農業所得
想定しているのは、農家
Schedule F(Farming)を使う(計算方法はSchedule Cと同様)
消極的活動
消極的活動とは、不労所得のような意味
アメリカでは、サラリーマンが節税対策として大家業(アパート経営)をすることが流行した
IRSは、控除に制限をかけるため、事業損失を非事業所得(サラリーマンとしての給与、受取利息など)からは控除できないルールを作った
Chapter 4:個人(控除)
Chapter2-3で総所得(GI)を算出できた
Chapter4では、以下をやる
・AGI前控除("お金持ち度"に依存しない控除額)を算出
・調整後総所得AGI(即ち"お金持ち度")を算出
・AGI後控除("お金持ち度"に依存する控除額)を算出:つまり、標準控除SD/項目別控除ID
調整後総所得前控除(AGI前控除)
AGI前控除("お金持ち度"に依存しない控除額)
いわゆるAbove the line deductions
・自営業者
・自営業者税の半分(経営者としての納税分)
・医療保険料の一部
・特定の退職年金(IRA、Keoghプランなど)の積立金
・定期預金の支払違約金(期日前解約時)
・陪審員となった従業員が賃金を得る代わりに雇用者に支払う陪審員報酬
標準控除
AGI後控除("お金持ち度"に依存する控除額)のひとつ
実際は7-8割の人が標準控除を選択する方法が得になるが、計算が簡単(CPAに依頼する必要もない)なため、試験では項目別控除が狙われる
項目別控除
AGI後控除("お金持ち度"に依存する控除額)
例えば、支払う医療費はお金持ちかどうかに拘らず一定なので、控除できる金額を変える(調整総所得AGIが多ければ控除額は少なくする)ことにより、公平感を出している
Schedule Aを使って算出する
つまり、標準控除を選択した人はSchedule Aを使わない
・医療費
・控除可能:医療保険料
・控除不可:生命保険料、所得補償保険料(損害保険の一種)
・諸々の税金
・控除可能:州/地方/国外に支払った所得税、州/地方に支払った財産税(固定資産税、動産税)
・控除不可:連邦所得税、外国財産税、遺産税や贈与税や環境税
・支払利息
・私的利息:クレカ利息など、控除不可
・適格住宅利息:取得住宅を担保とした借入金利息、一定額まで控除可能(持家を増やすための優遇税制)
・投資利息:投資目的の借入金利息、投資純利益額(儲かった分)を上限として控除可能(儲かった分には所得税がかかるため)
・慈善寄付金
・適格団体に対する寄付は一定額まで控除可能(寄付が流行りすぎると政府の税収が減ってしまうため)
・資産を寄付した場合は、できるだけ低額で評価される(控除額を低くするため)
・サービスを寄付した場合は、サービス対価は控除不可だが、発生費用は控除可能
・災害損失
・控除可能:自然災害による破損(受取保険金等を差し引いた額)
・控除不可:シロアリやペットによる破損(自己責任として見做される)
・ギャンブルの賭金
・賞金所得額を上限として控除可能(賞金には所得税がかかるため) ※投資利息の場合と同様
※予備知識:アメリカの財産税
Chapter 5:個人(税額計算と納税申告)
Chapter5では、課税所得TIに対して、申告資格に応じた税率を乗じて、税額を算出し、納税申告書を作成する
Form1040の残りを片付ける
申告資格 filing status
税率の高さ
①単身者
②個別申告する夫婦
③特定世帯主
④合算申告する夫婦=生存配偶者(寡夫婦)
納税者の子の不労所得には、親の税率が適用される
(扶養家族を利用して所得を分散し、低い累進税率を狙って節税することを防ぐため)
税額控除 tax credit
標準控除/項目別控除が所得控除(調整課税所得AGIからの控除)であるのに対して、税額控除は税額からの控除
実質的には給付金と同じ効果があるため(納税額よりも控除額が多くなる場合には還付金が入金される)、政権の政策に影響を受けやすい領域
トランプ税制で扶養控除が廃止された代わりに、税額控除の項目が増えた
・一般事業税額控除:雇用促進、臨床試験、電力供給、など
・外国税額控除:外国に支払った所得税、項目別控除か税額控除のどちらかを選択して控除可能
・子女養育費税額控除:扶養家族の世話に要した費用
・子女税額控除:納税者の子のため
・養子費用税額控除
・老齢障害者税額控除
・低所得者税額控除
予定納税 estimated tax payments
20x1年課税年度申告書の提出時点(20x2/4/15)で、法定年間支払額(以下のいずれか)が支払われているかどうかが判定される
・当期20x1年の税額の90%(予定納税している20x1/4/15〜20x2/1/151の時点では税額が確定していないため、見積額)
・前期20x0年の税額の100%(確定額)
※前期の税額が高額になってしまった場合は、当期の90%を支払えばOKという意味
法定年会支払額を支払っていない個人(主に自営業者)に対して、予定納税の義務が課される
※サラリーマン(給与所得のある被用者)の場合は、源泉徴収などで翌年分の税金(見積額)を毎月前払いしている(過払金は確定申告で還付される)ため、予定納税の義務は課されない
申告義務 filing requirements
From1040の提出義務が生じる条件
・サラリーマンの場合:総所得(GI)が標準控除(例えば、独身の場合は$12,400)以上の場合(課税所得がプラスの値になるため)
・自営業者の場合:$400以上の当期純利益がある場合
ただし、この条件を満たしていない場合でも提出した方がいい
損金を申告しておけば、翌期に控除を受けられる可能性があるため
※予備知識:アメリカの確定申告
・年末調整は日本の仕組みで、アメリカにはない
代替ミニマム税 alternative minimum tax
今まで学習してきた普通の税額計算法(regular tax、Form1040の課税所得に基づいて算出)では、節税のテクニックを駆使することによって課税を繰り延べることが可能であり、ほぼ同じ所得を持つ者の間に納税額の不一致が生じるという不公正があった
なので、別の税額計算法を策定し、「試算税額」に対する不足分を「代替ミニマム税」(AMT、Form6251のAMT incomeに基づいて算出)として追加納税させる制度を作った
※増税ではなく、課税の過度な繰延を抑制するための仕組み(一度支払ったAMTは、将来の通常税額から控除できるため)
代替ミニマム税(AMT)=試算税額(tentative minimum tax)−通常税額(regular tax)
Regular TI
±調整項目
+税優遇項目Tax Preferences
ーーー
AMT Income
−Exemption:非常に大きな金額の控除(例えば、独身の場合は$70,000)
ーーー
AMT Base
× AMT税率:累進税率ではなく低率
ーーー
Tentative Minimum Tax
−Regular Tax
ーーー
AMT
調整項目:納税者にとっては有利にも不利にもなる項目
・諸税:通常税額では控除可能だったが、AMTでは控除不能
・適格住宅利息:2軒目住宅用の借入利息について、通常税額では控除可能だったが、AMTでは控除不能
・標準控除:通常税額では項目別控除と選択できたが、AMTでは標準控除を使えない
・1986年以降に使用を開始した不動産:通常税額ではMACRS(27.5-39年でSLM)、AMTでは40年でSLM
・1986年以降に使用を開始した動産:通常税額ではMACRS(DDB=200%残高逓減法)、AMTでは150%残高逓減法
税優遇項目:納税者にとっては不利になる項目のみ
・1987年以前に使用を開始した不動産:通常税額ではACRS(加速度償却)、AMTではSLM
・私営活動債(地方債の一種)の受取利息:通常税額では総所得に算入しない、AMTでは総所得に算入する
税額の確定 determination of tax amount
申告書(Form1040)の提出期限は、翌期の4/15までだが、6ヶ月間延長できる
申告書が提出できない場合でも、税金支払の延長は認められないため、期日通りに見積もり税額を支払わなければ罰課金が課される
例えば、課税年度20x1年に対する税額(法定年間支払額)が$120だった場合、
・20x1/4/15までに$30
・20x1/6/15までに$30
・20x1/9/15までに$30
・20x2/1/15までに$30
(年4回に1/4以上)を支払う必要がある
申告書を提出(20x2/4/15)した時点で、課税年度20x1年に対する予定納税が不足していた場合には、罰課金が請求される
IRSによる更正
納税者からの納税額が不足していた場合、IRSは納税者に更正を行う(提出日から3年以内)
ただし、脱税などの場合は永久に更正可能
納税者による更正の請求
納税者が過剰に納税してしまった場合、納税日から2年以内
Form1040の関連書類:記載金額の裏付けとなる書類なので、保管しておく必要あり
・給与の源泉徴収票(W-2):源泉徴収額、社会保障税、医療保険税、福利厚生などが記載されている
・その他:1099-INT、1099-DIV、1099-G、1099-MISC、1099-S、など
租税計画 tax planing
節税avoidanceのためのテクニック
脱税evasionさせないように、各種の制限がある(認定受領原理、所得帰属認定原理、事業目的原理、など)
・タイミング戦略timing:所得(益金算入)を遅らせて控除(損金算入)を早め、税金負債を抑える
・割賦販売
・項目別控除
・慈善寄付金
・欠損金の繰越
・短期資本利得の相殺
・移転戦略shifting:低税率が適用される納税者や課税管轄区域に所得を移転する
・親から子への所得移転
・贈与による年次控除
・個人から法人への所得移転
・変換戦略conversation:
・資産損失(通常税率)から資本利得(優遇税率)への変換
・資本損失(控除制限あり)から資産損失(控除制限なし)への変換
Chapter 6:財産の処分 Transaction in Property
Chapter5までは、働いて所得を得た場合の所得税(投資によらない所得)
Chapter6は、財産(土地、株など)の処分によって所得を得た場合の所得税(投資による所得、つまり資本不課税原則が適用される所得)
REG2の山場(ここが理解できないと、以降のパートナーシップや株式会社が理解できない)
財産のライフサイクル
アメリカ租税法における財産propertyとは、資産のうち、金銭を除いたもの(車両、株、ストックオプション、など)
財産の取得(財産への投資):購入、交換、贈与、相続、株式配当
↓
財産の維持(投資基準額basisの調整):減価償却による切り下げ(投資の回収)、資本的支出による切り上げ(投資の追加)
↓
財産の処分:売却、交換
※実現損益(=実現総額−投資基準額basis)を算出する
つまり、将来における財産処分時の実現損益を算出するために、取得時にbasisを算出しておかなければならない
米国では、調整投資基準額adjusted basisを継続的に把握することによって、課税額をコントロールしている
・重複課税を防止するために、投資基準額を増加させる
・課税漏れをを防止するために、投資基準額を減少させる
認識損益の算出
以下の用語を理解しておかないと、取引内容が複雑になると理解が及ばなくなる
・実現総額 amount realized:財産の処分により実現された金額の総額
・投資基準額 basis:処分時点における納税者による財産への投資額
・実現損益 realized gain or loss:実現総額−投資基準額、実現利益は原則として課税され、実現損失は一定額まで控除される
・認識損益 recognized gain or loss:実現総額のうち税法上で認識する損益(通常は全額を認識するが、景気対策や優遇税制などより認識されない場合もある) ※実際に課税対象となる額
※予備知識:投資基準額の他の表現
・処分時点における財産への投資額
・所得を得るために投下した資本の金額
・財産に対する投資の残高
・資産価値のうち、既に課税が済んでいる価値
・資本不課税原則により、不課税となる額(Chapter2参照)
投資基準額(不課税となる額)は大きい方が納税者は得になる
なぜならば、実現総額(≒FMV)から投資基準額を差し引いた額=実現損益=原則として課税される額だから
例えば、納税者が財産を$100で取得し、$150で処分した場合、アメリカ租税法上では以下のように考える
①資本(税金支払後の手元資金)を活用して財産に$100投資した、この時点での投資基準額は$100
②財産の処分時(財産への投資の清算時)、実現利得は$50(=実現総額$150−投資基準額$100)
財産の区分(資本損益と通常損益)
財産処分による損益は、処分された財産の属性により、以下の2種に大別される
・資本損益(低税率):資本資産capital assetsの処分により発生
・通常損益(高税率):それ以外の資産の処分により発生
※資本損益の税率が低いのは、投資を促進するため
・資本資産に含まれるもの
・投機目的による保有資産 investment property:株など
・個人的な使用目的による保有資産 property held for personal use(売却益が生じる場合のみ、売却損が生じても他の利益とは相殺できない)
・資本資産に含まれないもの
・棚卸資産
・売掛債権
・事業用資産
・著作権
さらに、資本損益は、当該資産の保有期間により、以下の2種に大別される
・長期資本損益(低税率):保有期間が1年以上
・短期資本損益(高税率):保有期間が1年以内
※長期資本損益の税率が低いのは、長期保有により利得が増大しても税負担が重くならないようにするため
資本損益の計算(Schedule D)
Schedule D上で算出してForm1040に転記する
①長期資本損益と短期資本損益に区分する
②長期資本損益/短期資本損益内で、利得と損失を相殺する
③資本純利益を算出する(②を相殺する)
④納税者により取り扱いが異なる
・個人納税者の場合
・資本純利得:総所得GI算入され課税される
・資本純損失:一定額までAGI前控除で控除できる(投資で損をしても給与所得から控除できる) ※優遇税制
・法人納税者の場合
・資本純利得:総所得GI参入され課税される
・資本純損失:通常所得との相殺は不可(優遇税制を設けなくても企業は投資するため)
Basis(投資基準額算定)の基本ルール
購入による取得
・購入した財産のBasis:取得原価+関連費用+財産に付帯していた債務の金額
・債務を引き受けたら、Cashを支払ったと考える
交換による取得
※解説は「交換取引」を参照:パートナーシップと株式会社を理解するために超重要
・交換取引による受領財産のBasis:譲渡財産のBasisを引き継ぎ(投資が継続していると見做す)、さらに以下の加減調整を行う
・認識利得額:Basisを加算する(認識利得には課税されるので、将来負担する課税額を下げるため) ※株式配当時に課税される場合と同様
・受け取った交換差金額:Basisを減算する(投資を回収したと見做せるため)
・認識損失額:Basisを減算する(認識損失は課税所得を減らすので、将来負担する課税額を上げるため)
・支払った交換差金額:Basisを加算する(追加投資したと見做せるため)
・「交換取引時の課税額+受領資産を将来売却する時の課税額=受領資産を即日売却した場合の課税額」が成立するように、basisが定められている
贈与による取得
・贈与を受けた財産のBasis:その財産をいくらで売却したかによって変わる(Dual Basis)
①親がBasis$100の資産を子に公正価格$70で贈与し、その資産を子が第三者に$130で売却した場合
・贈与者のBasisを受贈者のBasisとして引き継ぐため、子のBasisは$100で実現利益は$30
② 親がBasis$100の資産を子に公正価格$70で贈与し、その資産を子が第三者に$50で売却した場合
・FMVを受贈者のBasisとするため、子のBasisは$70で実現損失は$20
・税率が低い低所得者(親)が、税率の高い高所得者(子)に対して、含み損のある資産を贈与して、受贈者が多額の控除を受けること(含み損の付け替え)をIRSは避けたい
③ 親がBasis$100の資産を子に公正価格$70で贈与し、その資産を子が第三者に$85で売却した場合
・売却による損益の認識は行わない、そのためBasisを考える必要なし
④ 親がBasis$70の資産を子に公正価格$100で贈与し、その資産を子が第三者に$130で売却した場合
・贈与者のBasisを受贈者のBasisとして引き継ぐため、子のBasisは$70で実現利益は$60
・①の場合と同じ
相続による取得
・相続を受けた財産のBasis:被相続人の死亡日のFMV
・生前贈与は任意のタイミングで可能なため、含み損の付け替えを防ぐためのルールをIRSを設けているが、節税目的で死亡日を選ぶというケースが考えにくいため、FMVにしている
・遺産税の計算にあたって、遺言執行人が代替評価日法を選択した場合のBasisはVolume2でやる
株式配当による取得
・株式配当としてもらった財産のBasis:2パターンに区別する
①配当時に課税されない場合(持分比率が変わらない場合)
・FMVを基準に新株式と原株式のBasisを按分計算する(新株式が増えても、新株式と原株式のBasisの合計値を、原株式Basisのままにするため)
・新株式に対しては配当時に課税されていないため、将来売却時に課税するため、Basisを下げておく
②配当時に課税される場合(持分比率が変わる場合)
・新株式が分配された時点におけるFMV
・新株式に対しては配当時に課税されるため、将来売却時に二重課税されないように、Basisを上げておく
※予備知識:株式配当の課税/非課税
株式配当は原則的に非課税だが、以下のような場合などには課税対象となる
・優先株に対する株式配当の場合
・株主が配当の受領を株式以外によって得る選択を行える場合
交換取引
交換取引によって取得した財産のBasis(basisはいくらか?)を計算するために、交換取引時の課税額(課税額はいくらか?)の算出方法を学ぶ
交換取引において、原則的には、計算された損益が正値の場合には実現利得が認識される
しかし、一定要件を満たした交換取引の場合には、実現利得を認識しない(認識利得をゼロとする)、つまり非課税とすることができる
例えば、納税者が土地Aを$80で購入し、FMVが$150になった段階で、第三者が所有するFMVが$150の土地Bと交換した場合
含み益$70が実現して、実現利得は$70になるが、認識利得はゼロにすることができる
なぜなら、
・現金を受け取っているわけではないので、税金を払う原資がないため
・交換した財産への投資が継続していると見做せるため
・交換取引が増えた方が経済が活性化するため
ただし、交換取引時に課税されないだけで、将来的に納税者が土地Bを売却(現金化)したタイミングで課税される(そのためにbasisを調整する)
○非課税の交換取引
・同種資産の交換取引:重要
・非自発的理由による買い換え
・居住用資産の買い換え
同種資産の交換取引
・同種資産の交換取引とみなせる場合:ただし、一定期間内に取引を完了しないと交換取引として見做されなくなる
・不動産同士の交換
・投資目的不動産と賃貸用不動産の交換
・除外資産の交換
・個人的な使用目的による保有資産(資本資産)
・株式、債権、約束手形、パートナーシップ持分
・棚卸資産(資本資産ではない)
・同種資産の交換取引とみなせる場合
・動産同士の交換
・動産と不動産の交換
・合衆国内不動産と合衆国外不動産の交換
同種資産交換取引において交換差金bootが発生した場合:例えば、不動産の他に現金をやりとりした場合
・支払った場合:実現損益が生じても認識損益として認識しない(納税原資がないため)
・受け取った場合:実現損失が生じても認識せず、実現利得が生じた場合のみ認識する(実現利得または交換差金FMVのうち小さい額が認識利得となり、課税対象となる)
同種資産の交換取引における債務の取り扱い
・譲渡資産に債務がついている場合:交換差金を受け取ったと考える(債務から解放された)
・受領資産に債務がついている場合:交換差金を支払ったと考える
・お互いに債務を引き受け合う場合:交換差金を相殺する
非自発的理由による買い換え
・強制収用(公共事業による取得)などの理由によって補償金を受け取り、その補償金で類似資産を購入した場合は、一定期間は課税の繰延ができる
・手元に補償金が残った場合は、実現利得と比較して小さい額を認識利得とする
・新規に購入した資産のbasisは、資産の取得原価から「認識されなかった実現利得」を差し引いた金額 ※将来売却した時に課税するためにbasisを下げておく
居住用資産の買い換え
住居の売却により発生した処分益は、一定額まで免税される(課税の繰延ではなく免税なのでbasisは変わらない)
※持ち家を増やすための優遇税制
証券の売却と交換
・株式や証券は除外資産であり、税法上の同種資産交換取引の対象とならない
・投資目的保有の有価証券は、資本資産に分類されるため、処分に伴い認識する損益は資本損益である
・有価証券の処分時は、FIFOによりbasisを計算する
エンジェル税制
・非法人株主による投資(株式長期保有)を促進するための税制
・適格中小企業の株式の売却に伴う実現利得を一定額まで総所得より除外できる
株式の買い換え wash sales
・投資対象への影響力を維持しつつ税額を減らしたい場合、儲かっている期(税率の高くなる期)に含み損のある保有株を敢えて売却して損失を出し(投資利益と相殺し)、すぐに再購入すればいいのでは?と考えられてしまう
・これを防ぐため、税法上では、実現損失について、売却日の前後30日以内に同一銘柄の株式を再取得している場合は、認識が認められない(控除に使えない)
・※経済的に元の状態に戻っている(投資を継続できている)ため
・認識できなかった損失は、再購入した株式のbasisに加算できる
・実現利得については原則通りに認識する(課税される)
オプション取引
・オプションの買い手が、第三者にそのオプションを処分(売却または交換)した場合、資本損益を認識する
・オプションの権利が失効した場合、失効日にオプションを処分したものと見做して、資本損失を認識する
証券の無価値化
・証券の無価値化は、倒産などで発生する
・通常の保有株式が無価値化した場合:資本損失を認識する ※あたかも課税年度の最終日にゼロで売却したものと見做す(無価値化した証券は買い手がつかないため)
・80%以上保有株式(自社の子会社株式)が無価値化した場合:通常損失を認識する(影響力が強いため、単純な投資の損失ではなく、事業損失として見做す)
小規模法人株式への投資を促進するための税制
・小規模法人株式の売却損あるいは無価値化損失は、一定額までは通常損失(事業所得や給与所得から控除可能)として扱うことができる
※通常損益よりも資本損益の方が低税率(優遇税制)であるため、納税者にとっては、資本損失よりも通常損失として/通常利得よりも資本利得として扱える方が得(節税効果が高い)
支払不能金融機関の預金損失
・例えば、個人で定期預金していた銀行が倒産してしまった場合
・非事業上の貸倒損失(短期資本損失)として扱う
※短期資本損益よりも長期資本損益の方が低税率(優遇税制)であるため、納税者にとっては、長期資本損失よりも短期資本損失として扱える方が得(節税効果が高い)
関連納税者間取引
税法上の関連納税者
・家族
・株式会社と株主(持分50%超)
・パートナーシップとパートナー(持分50%超)
・同一人物によって、直接または間接的に50%超の持分を所有されている株式会社
・同一人物によって、直接または間接的に50%超の持分を所有されているパートナーシップ
認められない損失
・関連納税者間の取引から生じた費用や損失は認められない
・恣意的な損失の利用(例えば、資産を不当な低価格で売却して損失を生み出すなど)を防止するため
・関連納税者間取引による資産の受領者は、その資産を第三者に処分する時、資産の譲渡者が認識できなかった損失を認識できる(「贈与による取得」の計算と混乱しやすいので注意)
・実現利得については原則通りに認識する(課税する)
発生主義会計の利用制限
・例えば、親が子にお金を貸した場合、子の未払費用(支払利息)は、実際に支払うまで控除できない
・親は現金を受け取るまで課税されないので、子も現金を支払うまでは控除できないようなルールにしている
ローンのみなし利息
・関係納税者間では、通常よりも低利息でのローンが実施される可能性があるが、この場合の課税所得額(貸し手)および控除額(借り手)の計算には、IRSが定める適用連邦利率が適用される
事業用資産の損益(1231条)
第1-2次世界大戦中に政府が工場(事業用資産)などを収用していた頃の古いルールが残っている
強制的に売却させられることになるため、工場主(=納税者)にとって有利な条件になっている
原則的に、事業用資産は資本資産には含まれないが、内国歳入法(IRC)1231条の規定により、以下の扱いになる
・売却益が出た場合、長期資本利得として扱う(税率が低くなる)
・売却損が出た場合、通常損失として扱う(高税率から控除できる)
※棚卸資産や著作権は1231条の対象外
Recuptureルール(1245条、1250条)
1231条の優遇税制を部分的に取り消すためのルール
・1245条:償却性の動産が対象、実現利益のうち過去の減価償却部分は通常利得(高税率)として扱う
・1250条:不動産が対象、実現利益のうち過去に定額法償却ではなく加速度償却していた部分との差額は通常利得(高税率)として扱う
割賦基準による課税所得計算(Form6252)
割賦販売による課税所得の計算には、原則として割賦基準が適用される
・割賦基準:資産の売却による所得は、資産の引渡時点ではなく、課税年度内に受領する代金の額に応じて認識する
割賦基準が適用される場合、Form6252で課税所得を計算する
ただし以下のような場合、税法上は割賦販売に該当しないため、実務上ほとんどの場合には割賦基準が適用されることはない
・「棚卸資産」として動産または不動産を処分して利益が発生した場合(税法上で割賦基準を適用すると課税所得の認識が遅くなるが、棚卸資産の分割販売は頻繁な取引であるため適用を認めていない)
・資産の売却により損失が発生した場合
※予備知識:割賦販売の財務会計上の扱い
回収可能性によって3区分
・回収可能性が高の場合:発生主義(資産の引渡し時点で収益費用を認識する)
・回収可能性が中の場合:割賦基準(回収できた金額に応じて、実現売上総利益を認識する)
・回収可能性が低の場合:原価回収基準(回収できた金額の総額が資産の原価を上回った時点で、実現売上総利益を認識する)
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