見出し画像

なぜ私はソシャゲを諦めたのか

 10年ほど前からスマートフォンの普及に伴いソーシャルゲームが流行り始めた。ここで言うソーシャルゲームは一般にスマホでできる基本プレイ無料で、欲しいアイテムをガチャで手に入れることができ、お金を払うことで更に強くなったりアイテムを集めやすくなるタイプのものを言う。

 その出始めの頃、私はアイドルマスターが好きだったのもあり「アイドルマスターシンデレラガールズ」をプレイしてた。スタミナが回復するのを待ちイベントを勧め、ガチャが引けるようになったら引いてといったいわゆる無課金勢であった。それでも好きなアイドルのカードを引いたり、それを強化していたりと楽しんでいたのを覚えている。

 そしてゲーム内イベントが始まった。期間内にスタミナを使いながらライブをして、より多く得点をえることができればゲーム内でのランクが上がり、それに見合った報酬が得られるというものだった。その報酬の一つに、当時の好きだったキャラ「斉藤洋子」の特別レアが手に入るというものがあった。私は本気でそれにのめり込んだ。

 夜中も起きてスタミナが回復したらイベントを進め、常に携帯を気にしながら生活をしていた。およそ二週間ほど、自分の生活はソシャゲのイベントに支配されていた記憶がある。その甲斐あって私はキャラを手に入れたはずだった。だが私はそこで気がついた。自分の生活を犠牲にして得たものは、単なる絵のデータだったのだ。「斉藤洋子」は、画面の中で微笑んでいるだけだったのだ。

 そしてもう一つ気がついたのが、ゲームをしている人数の多さである。ランキングが表示されて、あんなに自分の時間を犠牲にしたのに同じような人が万単位でいるということに気がついた。何人もの私のような人が、時間やお金を犠牲にしながらゲームに臨んでいたのである。

 それを見て自分は「ああ、どんなに頑張っても時間とお金を犠牲にしなければ報われない世の中なのだ」という事に気がついた。いつしか私はログインをしなくなっていた。ログインボーナスを得るのにあれほど躍起になっていたのに。

 それ以来私はソシャゲを一回もダウンロードしていない。結局やっても多人数の存在を見せつけられるだけだ、と思ってやる気がでなかった。だから私はオフラインゲームが好きなのだ、と再確認させられたのだ。

 今や段々と下火になってきているソーシャルゲーム。だが私はやることはないだろう。どんなにお金をかけても時間を浪費しても、私の好きなアイドルは私に微笑んでくれないのだから。

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?