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なぜ私は「魔進戦隊キラメイジャー」に憤っていたのか

 「ひらめキーング!」、「レッドが優男系」、「あまり真面目ではない名乗り」……私が最初に「魔進戦隊キラメイジャー」に持っていたイメージである。はっきり言って、はじめは良いイメージを持っていなかったのだ。

 スーパー戦隊シリーズ第44作品目「魔進戦隊キラメイジャー」。闇の帝国ヨドンヘイムに侵略された宝石の国であるクリスタリアが、ヨドンヘイムに対抗するためにキラメイジャーをスカウト、地球を侵略しようとするヨドンヘイムに五人の戦士が立ち向かう、といった内容だ。

 前述したように、この作品はあまり真面目ではないような印象を持たれやすい。主人公は絵に夢中な高校生だし、口癖が「ひらめキーング」だし、名乗りは新体操だし、ふざけているのか? と感じる部分が多く、私は敬遠していた。本来スーパー戦隊は真面目であり、戦うという覚悟を描くものだと思っていたので、鼻持ちならなかったのだ。こんなものを子どもに見ても何の意味もない。そう思っていた。

 きっかけはキラメイジャーの映画を見た時だった。『魔進戦隊キラメイジャー THE MOVIE ビー・バップ・ドリーム』。私はわざわざ劇場まで見に行った。目当てはゼンカイジャーだったが、流れで先に上映したキラメイジャーを見る。映画はそんなに悪くない内容だったが、やはり全体から感じるおふざけが気になっていた。本編が終わりエンディングが流れる。そこで私は驚くべきものをみた。

 映画館で五歳くらいの少女がエンディングダンスを踊っていた。ヒーローショーや自宅で踊ってしまうのはわかる。でもこんな暗い映画館の、それもあまり立ち上がれもしない席で、それでも彼女の体は踊りだしていたのだ。

 私はそれを観た時「ああ、これでいいんだ」と思ったの。

 どんな内容の作品だって、体の内側から湧き上がるパッションを与えたのなら、それはもう十分素晴らしい作品なのではないか、と思い一人感心して家路についた。

 帰宅した私は、今までちゃんと聞いてこなかったキラメイジャーのオープニングテーマを聞く。

「実は もっと 周りの目は気にせずに 叫び出したい 走り出したい そう感じたなら キラメイgo」(魔進戦隊キラメイジャー 歌詞より)

 この言葉がどれだけ素晴らしいものか、というのを改めて感じさせられた。まさに映画館で踊りだした彼女は、あの瞬間キラメイチェンジしていたのだろう。

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