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3.少し長めの自己紹介 長野ゲストハウスヘルパー体験記

(少し時は戻り)2021年6月7日 午後9時。夜のラウンジは電球が灯り、心が緩む。本音で話しやすくなる気がする。

 長野市のゲストハウス1166バックパッカーズでの1ヶ月ヘルパーのメイン業務は、オーナー含むスタッフ4名のインタビューを記事にすることだ。これまでの経験上、1ヶ月は目的がなければ長いが、やることがあればかなり短いはずだと予測がつく。インタビューし、記事にするのはすぐには終わらない。4週間で4名をインタビューし記事にするということは、単純計算で一週間につき1名。そしてオーナー以外のスタッフは基本的に一般の方だ。経歴など調べようもなく、どのような方なのかは会って一緒に働き、たくさん話すしかない。

 前置きが長くなってしまったが、これまでの経験や気持ちなどを話してもらうにあたり、インタビューするわたしがまずはどのような人なのか知ってもらったほうが良いと思ったのだ(プロのライターの方は初対面でも、取材相手に気持ちよく安心して話してもらう術を持っているだろうが、わたしにはない)。少し前に、スタッフのすーさんが「STAFF PRESENTATION NIGHT」という少し長めの自己紹介イベントを行っているのを宿のSNSを通して知っていたので、わたしもヘルパー期間の序盤にやらせてもらえないか提案し、開催が決まった。

 自己紹介当日、スタッフに加え、ゲスト数人も聞いてくれることになった。場所はラウンジ、午後9時から始まった。10枚ほどのスライドを用意し、プロジェクターで壁に投影しながら好きなことや仕事歴、どのような思いで長野に来たか等話した。一応のメインは、これまでの人生の“モチベーショングラフ”。縦軸が満足度、横軸は年齢だ。そこにうれしかったことや辛かったことを書き込み、線でつなげるとグラフになる。エピソードに加え、どんな感情だったかも話した。
 その後わたしは一時退席し、その間スタッフとゲストが気になるところを話し合い戻ってきたわたしと対話をした。

 内容は長くなってしまうので省くが、わたしがうれしかったのは、自分のなかではとてつもなく恥ずかしかったりしんどかったりしたことに「人間同士だから相性も必ずあるよ」「一度引き受けてもお断りした仕事もある」等言ってもらえたこと。みなさん失敗しながらここまで来ているのだなと安心し、心のトゲがポロポロと取れていく感じがした。

 後日、スタッフのみどりちゃん、ももちゃんはそれぞれわたしとふたりになった時に、自己紹介のことに触れてくれ、思っていることやこれまでのことをぽつりぽつりと話してくれた。すーさんともゲストを交え3人で話しているときに、モチベーショングラフの気になっていた部分のことを聞いてくれた。自分をオープンにすることで、3人は安心してしてくれたのかもなと思うとうれしい。そしてゲストの方は「辛いことがあっても、その経験があるからこそ今の感覚があるってこともありますよねぇ…」とほろ酔いでつぶやいた。この言葉は忘れない。


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