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2.メイン業務 長野ゲストハウスヘルパー体験記

 2021年6月9日 午前7時。朝のラウンジは太陽の光が入り、惚れ惚れするほど気持ちがいい。

 宿の仕事はゲストの人数やどのように活動するかにもよるが、大体午前7時半すぎに始まる。カーテンを開け、コーヒーを淹れ、ラウンジや窓をそうじする。ゲストが起きてくると思い思いに朝食を取り、人によってはパソコンを取り出し仕事を始める。朝早く観光や出張に出かける方もいれば、ゆっくり起きてのんびりチェックアウトする方もいる。スタッフはそんなゲストに「おはようございます、今日は何時くらいまでラウンジ使いますか?」「今日はこのあと○○○までバイクで行くんですよね、暑いですね~」「予定が決まっていないならここのカフェはどうですか、本が好きなら気に入ると思います」等声をかける。マニュアルがあるわけではないが、前日の夕方~夜のチェックイン時やラウンジでお会いした時に、次の日の予定や宿に来るまでの行動を聞いているのだ。そしてスタッフ同士、さりげなく共有している。

 そんな会話をしつつ、そうじの続きをしたり、シーツを片付けたり、タオルや手ぬぐいを洗濯したり、シャンプーの補充をしたり、キッチンの洗いものをしたり、ごみを捨てたり、少し手が空くとそれぞれのスタッフが担当のメルマガの記事を書いたり、Tシャツのデザインをしたりしている、ようだ。
 ようだ、というのは実際にわたしが手を動かしているわけではないから。アルバイトスタッフの、みどりちゃんとももちゃんを観察したりふたりから話を聞いたりしたのだ(ちなみにアルバイトはもうひとり、すーさんという男性がいる。彼については後日お楽しみに)。ヘルパーの仕事はアルバイトスタッフのお手伝いで、主に午前中のそうじや宿内整備をする予定だった。しかし現在コロナウィルスの影響で手は足りている状況なのだ。もちろん忙しそうであれば手伝うが、優先順位は高くない。

 ヘルパー期間に入る前、わたしは宿のオーナー飯室織絵さんに、ものすごく簡単に言えば「わたしいらないですよね?」ということを相談した。だってアルバイトの方の仕事を奪っちゃうし、宿側からすれば無給といえど寝床は提供しなければならないし、なにも知らない人に何か教えるというのは負担になるだろうし…他にも色々あるが、わたしから提供できることがあまり思いつかなかったのだ。しかし飯室さんからこんな提案を受けた。「宿が落ち着いている時だからこそできることをやりたい。もし人の話を聞いたり、書いたりするのに興味があるとすれば、スタッフ4名へインタビューしてそれを記事にしませんか」。

 書くのは好きだ。人の話を聞くのも好きだ。でも、まったく自信がなかった。以前同じようなインタビューの仕事をしたときにうまくいかなかったことがあり、それが心にぐっさり刺さり今も生々しい傷のままだ。でも、でもこれは乗り越えるきっかけになるかも。こうしてわたしのメイン業務はスタッフインタビューを記事にすることになった。


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