「勉強」が嫌い

勉強というのは漢字にある通り強いられるものだ、という話を聞くことがある。なるほどなぁと思いつつ、普段はほとんど使い分けていない。しかし経験的にはかなり納得している。

じゃあこの「勉強」に対して強いられないものは何かというと、「学ぶこと」という言葉くらいしか思いつかない。「学ぶこと」はとても好きだ。でも「勉強」はとても嫌いだ。

例えば一般的な「勉強」として宿題が挙げられる。宿題が好きだという人はほとんど見たことがない。時々数学の難問などは考える楽しみなどがあったが、大抵の宿題はできるものなら無くなってほしいと思ったものだ。大学に入ってからはレポートがそれにあたる。学術書も普段なら好んで読むのに、レポートのために読まなければならない時は全然気が進まない。テスト勉強は中学から今までずっと嫌いだ。こっちは楽しく学んでいるのにどうしてそれを評価されなければいけないのだと思う(成績をつけるため)。

この「勉強」に対する嫌悪から学ぶことそのものを否定的に見てしまっている人って結構いるんじゃないかと思う。つまらない授業も「勉強」に入るだろう、むしろこっちの方が嫌いを加速させているかもしれない。とにかくこの「授業」「宿題」という、小学校から高校まで続く二大「勉強」が多くの人の学ぶ意欲を失わせてしまっているのではないか、と私は思っている。

多くの人は勉強というと小学校から中学校の「勉強」を思い浮かべるのではないだろうか。つまり、数学、英語といったものである。でも勉強ってもっと広い意味で取れるんじゃないかと思っていて、それが「学ぶこと」とイコールである。例えば趣味なんかで上手い人から「学ぶ」ことはよくあるんじゃないかと思う。そういう場合と同じで、数学や英語などの学校で習うことも、本来「学ぶこと」なのだと思う。ただ強制されて、一定水準をクリアしないといけなかったり、周りと比べられたりするから嫌になるんじゃないだろうか。まあ学校教育が個人の為だけのものではないだろうから、今の教育がダメだとか言いたいわけではない。ただせっかく強制がなくなったのに、その呪縛に囚われていることがあまりにも勿体ない、と感じることがよくある。学ぶことは本来楽しいものであるはずである(学問が余暇から始まったという話)。

勉強は娯楽だと思う(時々見かける「勉強できることが有難いんだ!」みたいな主張とは全く違う)。英語も数学も本来楽しいはずである。自分が心からそう思えるのは、できなかったことができるようになることが好きだからかもしれない。今のままでいいや、という人にとっては無駄でしかないかもしれない。だから他人に勉強しないと!なんて言おうとは思わない。けれど自分が楽しいと思うことを「楽しいよ〜よかったらやろうよ〜」と言うくらいはいいかなと思っている。

学ぶことの一番の楽しさは世界が広がることだと思う。知らなかったことを知る、できなかったことができるようになる、これが楽しめる人は多分勉強が好きな人だと思う。でもそうじゃない人に勉強の楽しさを伝えるとすれば、勉強していたら交流の輪が広がるということが挙げられると思う。知識が無いとできない会話は、それだけで会話の価値が高いし、より深い話ができる。深い話というのは人それぞれ深さも深め方も違うから新しい学びがある。また、知識がなくても学ぼうとしていれば識者から色々なことを教えてもらえる。こうして人とのコミュニケーションに繋がっていくと、その面白さは実感できると思う。始め方がわからなければその娯楽の先輩に聞いたらきっと面白い話をしてくれるだろう。さらに色々な事を学んでいくと、思わぬところで知識が繋がることがある。例えば心理学の勉強をすれば小説や漫画の構造や論理がわかることがあったり、海外の政治を学ぶことで日本との共通点や相違点が見つかったりする(こういう発見は突拍子もないほど面白い)。もっと簡単なもので言えば、『古今和歌集』を読むだけで景色の見方が新しくなると思う。こうして見つかった新しい学びがさらに新しい学びに繋がっていく。そして色んな話を人とできるようになれたらさらなる学びがあって面白いと思う。念のため繰り返すが、勉強とは決して数学や英語だけではなく、数学や英語も含めた娯楽である。そして娯楽である前提で今まで「勉強」として嫌悪してきたことを学んでみるのも、また一つの選択肢だという話。


今日なぜこんな話を書こうかと思ったかというと、まさに今「勉強」に追われているからである。3日後までに一本レポートを書き上げなければならない。しかし今、全く関係のない勉強をしている。そして「勉強」に追われている時ほど他の勉強の効率は上がる。やることはやっていないけれど、今日もたくさん勉強したので満足である。そして今から晩ご飯を食べた後、もう一度勉強を始めるだろうと思う。「勉強」なんかは締切に間に合えばいいのである。

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