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香水探訪記②

イメージにぴったりだが鼻との折り合いが悪かったスズランの香りと決別し、探す香りの方向修正を図ることになりました。


さてどうしたものか…

前回①で挙げた香水たちはすべて事前に目星をつけて店頭へ足を運んだものたちでしたが、そこでの店員さんとのやり取りに大きなヒントがあったのでは、と気がつきました。


メゾンクリスチャンディオールにてラッキーを試したいです、とお声をかけた店員さんがラッキーと併せてもう一つ別の香りもムエットに出してくださって
「お客様の雰囲気にこれがすごく合うと思う、嗅ぐだけ嗅いでみてほしい」
と仰られたんですよ。

それがローズカブキ。
奥まったところにいる薔薇を白粉のもやがかったベールが柔らかく包み込む香り。パウダリーに偏りすぎず薔薇の瑞々しさが残っている。

いい香り…

薔薇というだけで艶やか、華やか、濃密…のようなイメージを持ち避けて通っていたけれど、こちらは柔らか、淑やか、たおやかという感じ。
あら?薔薇を冠する香りだけれど、あながち私が持つ雰囲気や持ちたい印象から離れていないんじゃない?


香りから感じられる印象を言葉として抽出してみて思ったのは、特定の香料に囚われすぎないでよいのだな、ということ。
紹介していただいたことが嬉しくてスズランにこだわっていたけれど、何もイメージに合う香りはこれだけじゃない。
むしろ纏いたい香りが持つ印象の言語化、それも自分の頭で噛み砕くことが先で、その後それに見合う香りをあらゆる香水の中から探し出すことで思いもかけないところで運命の出会いを果たすのではないか…


となると今ここですべきは纏いたい香りの方向性を今一度考え直して言葉に表すこと。

まずは香りを身に着ける自分自身が持つ要素を確かめていきましょう。
パリ流で頂戴したキーワードは以下の通り。

奥ゆかしい、質の良い、洗練された、穏やかな、綺麗めの、親しみやすい、さっぱり、自然体な、透明感のある

"奥ゆかしい"については「慎み深く上品で心がひかれる様子」と注釈がついていました。

こうして見るに、スズランは「綺麗めの、自然体な、透明感のある」辺りを拾っていたのでしょう。ローズカブキは「奥ゆかしい、質の良い、穏やかな」辺りでしょうか。
拾うワードでだいぶ方向性が変わりますね。


続いて私のなりたいイメージがこちら。

洗練された、都会的な、品のある、余裕ある、優美な、知的な

キーワードよりやや重さがあり、キーワードがカモミールティーならこちらはアールグレイ(?)
もうちょっとかしこまって香り高いお茶になりたいのです。


とすると、纏いたい香りは
・キーワード(私自身が持つ要素)をそのまま再現する香りでなくなりたいイメージへ嗅覚から引っ張り上げてくれるようなもの
で、
・なりたいイメージが全面に出るわけじゃなく芯はあくまでキーワードのもの
がいいなと思い至りました。


…いや芯がキーワードって何?
ここでもヒントはローズカブキにありました。

この香り、一歩間違えるとものすごくパウダリーで古典的な印象になりそうなんですよ。
でも絶妙に薔薇の瑞々しさが残っていてそれが全体の印象を軽やかなものに底上げしている(とあくまで私は思います)。

何が言いたいかというと、瑞々しさこそが私の求める「香りの芯にいる自分自身」なんじゃないかということ。
スズランが表現しようとしていた自然体であったり透明感であったりはこの瑞々しさに置き換えることができる。そして瑞々しさが中心にありかつなりたいイメージの優美さや知的さなどを表す香りを探せばよいのでは…!


こうして私が纏いたい香りは
瑞々しさあふれる、優美で聡明な人の香り
だと判明しました。


③では軌道修正し改めて香りの視察に出かける様子をまとめていきます。
旅は続く!