50オンナが歓楽街で働きだしたお話②
「北新地でバイトする気ない?」
と言われてから2ヶ月。
それ以来お世話になった方(仮にKさんとしておく)からその話はなく
いや、まぁそうだわね。
初心者ができる仕事じゃないよねぇ。
しかもこんなおばちゃんが…
なんて思っていた。
晩酌を終え
座椅子の上でゴロゴロしていたある日
LINEの通知が来た。
Kさんだった。
「遅くにごめんね。
まえに言ってた店にいるんだけど、
よかったから来ないかなと思って」
時間は22時。
普段なら絶対に行かない。
なぜなら寝る時間だから。
が…
「行きます」と。
かっこいい言い方をすれば
「何か縁を感じて…」ともなろうが
そんなわけではなく
ひとことで言うなら
条件反射。
返事をしてから「いやいや、なんでだよ」と自らつっこんだのは言うまでもない。
めちゃくちゃ眠かったのに。
教えてもらった住所を頼りにお店へ。
「OPEN」と掲げられた分厚いドアを開けると
「いらっしゃいませ」と華やかな声が迎えてくれた。
カウンターの中にいたのは
キリッとしたショートカットの女性と
華奢で華やかな女性。
まぶしい…まぶしすぎる。
どう考えてもカウンターの中に立つ自分を想像できなかったので
とりあえず飲んで
テンションあげてしゃべって
楽しく時間を過ごした。
スナックて楽しいなぁなんて思いながら。
翌日KさんからLINEがきた。
「ママがよかったら働いて欲しいって言ってるけどどうする?」
は?
ほどなくして、ショートカットのキリッとしたママからもLINEがきた
「良かったら一緒に働いてくれませんか?」
はぁっ?
どうした2人とも‼︎
もし、昨日呼んだから申し訳なくという
お気遣いならご心配なく‼︎
どう考えても
ビール飲んでヘラヘラとしゃべるチャッキーを
雇うメリットはないぞ‼︎
そこは北新地だぞ‼︎
そう思いはしたが
こうなった以上、断る方が烏滸がましすぎる。
なのでこう返した。
「よろしくお願いします」
こうして
なんだかわからないうちに
50オンナの北新地デビューがきまった。
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