見出し画像

科特隊基地をつくる【第19話】ジェットビートルの選定

【手ごろなサイズのジェットビートルが見つからない】

今回から、ジェットビートルの発着棟をつくっていく。

まずは、科特隊基地と同一スケール(1/500)のジェットビートルを用意する。
傾斜棟の建設でも最初に小型ビートルをつくったが、格納するビートルのサイズや形が決まらないと、建物各部の正確な大きさを決められないからだ。

ジェットビートルは、言わずとしれた科特隊の主力機だ。
ウルトラマンの研究本によると、本来は小型ビートルが科特隊の主力機になるはずだったようだが、撮影スケジュールの都合で、東宝映画『妖星ゴラス』に登場した国連VTOL機のデザイン(木型?)を流用して急遽制作されたらしい。

ジェットビートルの原型ともいえる『妖星ゴラス』の国連VTOL機。
垂直尾翼の日の丸が凛々しい。(円谷英二ミュージアムにて撮影)

結果的に、ジェットビートルはほぼ全編で活躍したこともあり、科特隊メカの中での認知度は圧倒的だ。キットの数も、2種類くらいしかない小型ビートルに比べればそこそこ多い。

古くはマルサンのノンスケール(*1)にはじまり、決定版といえるハセガワの1/72、日東科学の1/100(マルサンの金型?)、タスクフォースの1/144、バンダイの1/350(同一スケールのウルトラマンのおまけ)、さらにはバンダイのメカコレクション(ノンスケールだが1/230程度)などがある。その多くが絶版だが、いまでもオークションなどで入手できる。
さらにガレージキットもいくつか出ているようだし、食玩まで入れれば相当な数になるだろう。

筆者の手元にも、タスクフォースの1/144と、バンダイメカコレクション(これは今回のために手に入れた)、バンダイの1/350がある。
それから、ずいぶん昔(たぶん20年以上前)、自分で図面を引いて、朴の木を削ってつくった壊れかけのソリッドモデルも出てきた。たぶん1/100だと思う。というか、当時はキットはおろか三面図もなくて、録画したビデオを見ながら図面を引いたのでスケールやプロポーションはいいかげん。それでも「なにもかも、皆懐かしい」。

手元にあるジェットビートルたち。上段左の壊れかけの機体が朴の木を削ってつくったもの。上段中央がバンダイメカコレクション、上段右の未組立がタスクフォース。下段左がウルトラマンのおまけ、中央がウーのおまけ、右の4機編隊は出所不明。

食玩のジェットビートルの中に1/500があれば、わざわざつくる手間が省けてラッキーだと期待したのだが、残念ながらどれもサイズが違う。
バンダイ「H.G.C.O.R.E.ウルトラマン05 伝説怪獣ウー」のおまけが唯一1/500に近いのだが、実測すると全長約4cmで、ジェットビートルの劇中の設定(18.5m)からすると1/460程度。うーむ、ちょっとだけ大きい。

なんとかごまかして使おうかとも考えたのだが、今回の模型の原型であるペーパークラフト(*2)のハッチ上に置いてみると、ぎりぎりで格納塔には入りそうももない。このままでは零戦一一型を航空母艦に搭載するようなものだ(*3)。かといって、零戦二一型のように翼端を折りたたむわけにもいかない。小型ビートル同様にフルスクラッチしていくしかなさそうだ。

試しに、ウーのおまけのジェットビートルをペーパークラフトのハッチ上に置いてみた(左)。エレベーターはハッチより一回り小さいから格納できない可能性が高い。左は、比較のためにスクラッチした小型ビートル。こちらは余裕で格納できそうだ(流星マークがへなちょこなのがちょっと恥ずかしい)。

とはいえ、ウーのおまけでも、発着棟のエレベーターのサイズや格納塔の深さは見当がつく。とりあえずはこちらを参考に発着棟の建設を進めていくことにしよう。


(*1) 60年代のキットで、子どものころにつくった記憶がある。2010年に徳間書店『大人のプラモランド VOL.2』の付録として復刻された(残念ながらこちらも絶版)。
(*2) 中村宏治 著、円谷プロダクション 監修、『ウルトラマン超兵器大研究 「科学特捜隊基地〈初期型〉」超精密ペーパークラフト付き』、マイナビ、2013/9、48ページ
(*3) 日本海軍の航空母艦のエレベーターは幅が12mで、零戦一一型の翼幅は11m。左右それぞれ50cmしか余裕がなく、二一型が登場するまではエレベーターに斜めに載せたようだ。そういえばジェットビートルも初期には斜めに置かれていた。


【第20話】発着棟の建設 前編 につづく
【第18話】小型ビートルの実戦配備 にもどる
【第1話】はじまりの秘密基地 にもどる


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?