見出し画像

再エネ事業者として“ちょっと斜め上”を目指す理由とは?

世界中で「脱炭素」の動きが加速している今、大きな注目と期待が集まっている再生可能エネルギー。本シリーズ「エネルギーの未来について語ろう」は、そんな再生可能エネルギーに秘められた可能性や魅力について、パシフィコ・エナジーで働く「中の人」や関係者に、それぞれの想いを語ってもらう記事コンテンツです。

これまで2回に渡って登場してきた太陽光発電事業開発部門の推進部門長を務める吉田憲二。吉田の最終回となる今回は、吉田が“許認可”という業務に携わる中で大切にしていること、そして発電所開発にかける想いについて語ります。

書面と言葉、両方のコミュニケーションで信頼を獲得する

太陽光発電所の開発にあたって、さまざまな“許認可”が必要になること。そして入社当初、そのような許認可まわりの業務を私が専門としていたことは第1回目の記事でお話しました。

許認可まわりの業務に携わってあらためて気付いたのは、書面という形でエビデンスを残すのは非常に重要だということ。特にパシフィコ・エナジー創業当初は、再エネ事業者として何の後ろ盾や実績もない中で、ゼロから信頼を獲得しなければならない難しさがありました。そんなとき、言葉だけでさまざまなステークホルダーから信頼を得ることは困難ですが、たった1枚の許認可証明があるだけで話がスムーズに通ったり、停滞していたプロジェクトの起死回生の一手になることだってあるわけです。

「許認可を取得することは、信用を誰の目にも見える形で可視化することなのだな……」と気づかされるようなシチュエーションは、これまでの仕事の中で多々ありました。

逆に言葉のやりとりで信頼を獲得したり、難局を乗り切らなければならないシチュエーションもあります。たとえば、土地の所有者に「この土地を売ってください」と頼みに行っても、一言「いや、売らないよ」と言われたらそこで話は終わってしまう。そんなときは、何度も足を運んで泥臭くコミュニケーションを重ねながら、少しずつ関係性を構築し、信頼を積み重ねていく努力が必要になります。

書面でのやりとりでも、言葉でのやりとりでも「ここで許認可取得や交渉をうまく通さないとプロジェクトが頓挫してしまう」という絶対に負けられない局面があり、そんなときは胃が痛くなることもありますが、そこを乗り切ったときは痺れるようなやりがいを感じたりもします。

許認可の先にいる“人”を見つめる仕事

許認可をスムーズに通すためには、さまざまなコツやノウハウも必要になってきます。そうした点ではある意味、属人性の高い仕事とも言えるかもしれません。

当たり前ではありますが、私たちが許認可を申請する役所や行政の担当者、あるいは事業にご賛同頂く地元の人々も我々と同じ人間です。当然、各人の事業に対する好き・嫌いという感情や、自分の置かれている立場というものがあります。そのような相手の属性や立場まで考慮してコミュニケーションを使い分ける柔軟性が、スムーズな許認可取得には絶対に欠かせません。

たとえば、行政に何らかの許認可を申請する場合、担当者はもしかしたら縦割りの組織構造の中で、上席に話を通すことに苦心しているのかもしれない。そうしたことが読み取れたなら、その担当者がどうすれば上に話を持って行きやすいか、いかにストレスなく仕事を進められるかという観点に立って、より対応しやすいようにさまざまな工夫をします。

結局、我々の仕事の先にいるのは“人”です。だからこそ、回りくどい小細工に頼るのではなく、誠心誠意、嘘偽りのない実直なコミュニケーションを心がけること。結局のところ、私の仕事において大切なのはそれに尽きるのかな、とつくづく感じている次第です。

重要性の低い許認可でも、できるだけ取得する理由

仕事中の吉田。日頃から常に一歩先を見据えて動くことを意識しています

許認可まわりの業務に携わる上で私が特に大切にしているのは、必要性が曖昧な許認可や、たとえ法律上必ずしも取得する必要のない許認可であっても、取得できるものは可能な限り早いフェーズで取得しておくこと。

結局のところ、そのような姿勢が私たちのビジネスに融資してくれる投資家や銀行、その他さまざまなステークホルダーの安心や信頼にもつながると信じているからです。

融資を行う側としては、プロジェクトが途中で頓挫してしまうと、融資実行済の億単位の資金が吹き飛んでしまうリスクを常に抱えている。一方、事業者側の視点としては、プロジェクトを進める中で不測の事態というのは必ず起きてしまうもの。だからこそ、我々事業者はあらゆる事態を想定して、事前に打てるだけの手は打っておかなければなりません。

つまり、そうした重要性の低い許認可でも可能な限り早期に取得しておく姿勢は、些細な懸念やリスクも決して過小評価しないという再エネ事業者としての決意の表れでもあるわけです。許認可取得に限らず、多少の苦労や汗をかくことも厭わず、打てるだけの手は打っておくのは、私自身の仕事に対する基本的スタンスでもあり、そのようなスタンスを示していくことで「パシフィコ・エナジーなら安心だな」という会社そのものへの安心感・信頼感醸成にもつながるといいな、と考えています。

王道から外れた“ちょっと斜め上”の再エネ事業者として 

世の中の太陽光発電に対するネガティブなイメージを少しでもひっくり返したい。しかし、私たちのような再エネ事業者が単独でそれをやるのはなかなか難しいので、現実思考で我々にできることを実直にやっていくのが再エネ普及の一番の近道になる。そんなお話を第2回目の記事でさせていただきました。

一方、他の再エネ事業者と同じようなことをやっているだけでは新たな手法の発見には至らない部分もあります。だからこそ、我々は再エネ業界のマイノリティとして、他の事業者がやらないことも積極的に取り組んでいきたいと考えています。

行政の担当者や地域住民の方々に対して、誰にどのような順番で話を通したり、交渉を行ったり、許認可を得たりするのか。発電所開発におけるコミュニケーションひとつ取っても、細かいところまで徹底して気を配っていますし、環境配慮型の発電所をモットーにする点、周囲からの視認性が低い土地、そして災害が起きにくい土地を事業地に選んだりといったことは、もちろん言わずもがなです。

理想は王道から少し外れて “ちょっと斜め上”な再エネ事業者を目指していくこと。言い換えるならそれこそが、パシフィコ・エナジーの再エネ事業者としてのマイノリティ性だと言えるのかもしれません。

一番右が吉田。さまざまな関係者と力を尽くして、発電所が完成したときの喜びはひとしおです

その上で、発電所開発に携わった関係者全員が「関わってよかった」と思えるような、そんな誇りを持った仕事を残せれば最高だと思います。発電所の新たな創出にはさまざまなモチベーションを持った人たちが集まります。大きな重機を動かしモノを創り出すことに喜びを感じる人や、モノができあがっていく過程に純粋に楽しさを感じる人など、さまざまなやりがいや喜び、働きがいを求める人たちがいる。そうした中で、みんなで一丸となって困難を乗り越え、言葉にできないような一体感が生まれてくる瞬間。そこにこの仕事の大きな醍醐味があります。そのような一体感を生みだしながら、最後に全員が胸を張って「関わってよかった」と思えるような発電所をつくれたら、これ以上の喜びはありません。

パシフィコ・エナジーが再エネ業界の中で“出る杭”であればあるほどいい。私は心からそう思っています。とはいえ、あまりに尖りすぎてしまうことなくバランスを取りながら(笑)。

王道から外れたちょっと斜め上をめざしながら、多くの人を巻き込んで再エネの新しい価値をつくっていく。そんなオンリーワンの再エネ事業者になれたら、うれしいですね。


「エネルギーの未来について語ろう」吉田憲二 連載第1回と第2回はこちらからご覧いただけます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?