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太陽光発電所稼働後に動植物の生態を調査したら1000種類発見【パシフィコ動植物図鑑】

パシフィコ・エナジーでは自然に配慮した太陽光発電所の建設・運営を行っています。

具体的には次のような取り組みを実行しています。

  • ゴルフ場跡地など、できる限り過去に工事がなされた場所を選定。

  • 建設計画時に自主的に自然環境調査を実施し、工事計画の変更希少種の移植などを行い、影響を回避もしくは軽減。

  • 工事後の地表はコンクリート舗装などせず、種子吹き付けによって緑化

  • 運転中の除草剤や農薬の不使用による水質の向上と生物種の増加。

  • 洪水対策の防災ダム内に斜度の緩い遊水池を設けることで動植物に優しい環境を整備。

  • 工事完了後にも調査を行い発電所に戻って来た種や新たに増えた種などを観測し、動植物との共存を模索。

これらの取り組みによって工事によって一度消失された生態系が早く回復して戻ってくるのではないかという仮説と期待を持っています。実際はどうなっているのでしょうか。

パシフィコ・エナジーは稼働後の太陽光発電所の自然環境の実態を明らかにするために、既に稼働して年数が経っている太陽光発電所を三カ所選定し、専門家による自然環境調査を行いました。調査期間は2021年6月から2022年5月までの四季を通じた調査となっています。

自然環境調査を行った稼働後の太陽光発電所一覧

1.古川太陽光発電所(宮城県)

古川太陽光発電所は宮城県大崎市の山間のゴルフ場を転用したもので2016年12月に運転を開始しています。2021年の調査時点で建設が終わって5年が経過しています。時間の経過とともに種の回復が期待されます。

古川太陽光発電所全景

調査によると太陽光発電所の敷地内において植物種が375種、哺乳類が12種、鳥類が51種、両生類・爬虫類が10種、水生生物が35種、陸上昆虫類が549種確認されました。うち重要種として指定されているものは16種ありました。

古川太陽光発電所で確認された動植物種

2.細江太陽光発電所(宮崎県)

細江太陽光発電所は宮崎県宮崎市の山間のゴルフ場用地に建設したもので2018年2月に運転を開始しています。風水災による地域への被害などを避けるために70万立米の巨大な防災ダムを新たに設置していますが、ダムの中に常時水が貯まるように浅く掘りこんだ遊水池を設けており水辺と湿地環境を形成しています。

細江太陽光発電所全景
細江太陽光発電所の巨大な防災ダム内に設置された遊水池(写真中央)

調査によると太陽光発電所の敷地内において植物種が568種、哺乳類が12種、鳥類が59種、両生類・爬虫類が12種、水生生物が68種、陸上昆虫類が209種確認されました。うち重要種として指定されているものは29種ありました。特に遊水池周辺に湿地環境を好む動植物が集まり、水鳥や水生生物が多く見つかっています。工事中にホタルが生息する川に自然の雨水を供給するパイプラインを敷設したことで工事後も4種のホタルが観測されています。発電所内で29種もの重要種が見つかったことも嬉しい事実です。

細江太陽光発電所で確認された動植物種

3.美並太陽光発電所(岐阜県)

美並太陽光発電所は岐阜県郡上市の山間のゴルフ場を転用したもので2019年7月に運転を開始しています。ゴルフ場と周辺森林との境界を曖昧にし、可能な限り造成面積を抑える計画としました。2021年の調査時点で建設が終わって2年しか経過していませんが、多くの種が確認できることが期待されます。

美並太陽光発電所全景

調査によると太陽光発電所の敷地内において植物種が269種、哺乳類が15種、鳥類が51種、両生類・爬虫類が17種、水生生物が88種、陸上昆虫類が252種確認されました。うち重要種として指定されているものは16種ありました。

美並太陽光発電所で確認された動植物種

ソーラーファームの動植物園

以上に見てきたように三つの発電所には非常に多くの種類の動植物が生息していることが分かりました。古川では計1,032種、細江では計928種、美並では計692種が確認されました。専門家によれば以下のような理由があるようです。

  • 人の往来がすくないこと

  • 農薬や除草剤を散布していないこと

  • パネルエリアの草刈りによって草地環境が維持管理されていること

  • 周辺に森林が残置されていること

  • 新たに緩い斜面の水辺と湿地環境が設置されたこと

特に除草剤を使用しないことに依って多様な草本類が生育し、それらを食草する昆虫が増え、鳥や動物が集まる環境となるようです。

調査を行って頂いた専門家からは、防災ダムに溜まった土砂を浚渫する際には希少種を他の池に移植すること、深い排水路に落ちた小動物が出られるように枝などをスロープ状に立てかけること、パネルエリアにも水溜まりに両生類が確認されるため人為的に水溜まりを設けることなど、今後動植物の種を増やしていくためのアドバイスを頂いています。

人間の生活への配慮のみならず自然環境にも配慮するには時としてコンフリクト(対立)してしまう場合も出てきますが、双方にとってより良い環境となるように今後も努力していきたいと思います。

今後、時間の経過とともに動植物種がどのように変遷するのかを調査を継続することで明らかにしたいと思いますし、今回の三カ所のみならず調査対象を広げて行きたいと考えています。

以上ご紹介させて頂いた内容は、以下にて公開しておりますので、ご興味のある方は是非ご覧下さい。


パシフィコ・エナジーは自社にて開発した発電所に関する記事をシリーズ化してお伝えしています。関連するこちらの記事も是非ご覧下さい。


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