麻雀IQを高めるコラム Part.6『上達のための考え方』
Pacific Dainagonです。
これまでこのシリーズでは、特定の技術であったり、理論などの要素に絞って解説をして来ましたが、今回はもっと本質的な「麻雀というゲームのゲーム性そのものについての考え方」について書いていこうと思います。
ということで、麻雀IQを高めるコラム Part.6『上達のための考え方』、やっていきましょう。
本記事は値段を設定していますが、最後まで無料でお読みいただけます。気に入っていただけたらご支援いただけますとありがたいです。
それでは、どうぞ最後までお付き合いください。
①強くなるための「赤点を取らない」という考え方
まず初めに、この記事の本題である「赤点を取らない」という考え方についてお話ししていきます。
これだけでは何を言っているか分からないと思うので、1つ例を見ていただきましょう。
例として、上図のような何切る問題があったとします。
赤1のテンパイですが待ちはカン3mの愚形で、ダブ東をポンしての5800やソーズの多面張変化、456三色の変化なども見込めます。
まさかここからピンズや東を切る人はいないでしょうから、ここでの打牌候補を仮に(1)2m (2)4m (3)4sダマ (4)7sダマ (5)47sリーチと置いておきましょう。
それぞれの選択に期待値が存在するわけですが、どの選択に何点の期待値があるかを詳細に把握するのは困難なので、「この打牌は100点満点の内何点だろう」と考えるのが今回の大元の考え方になります。
例えば、
(1) 打2m…100点
(2) 打4m…30点
(3) 打4sダマ…10点
(4) 打7sダマ…30点
(5) 打47sリーチ…80点
であったとすると、(2)(3)(4)は平均点(50点)以下、つまり赤点の打牌となるわけです。
②100点じゃなくても良い
ここで1つ知っておいてほしいのは、先ほどの例の(1)と(5)、100点の打牌と80点の打牌に関しては、どちらを選んでも問題ないということです。
そんなの100点の打牌の方が良いに決まっていると思うかもしれませんが、その通りです。
80点の打牌より100点の打牌の方が良いに決まっていますし、上級者は100点を取るために日夜研鑽を積んでいます。
それでも100点じゃなくても良いと言うのは、大きく2つの理由があります。
それは、上位の打牌の差は小さく成績への影響度の差も小さいことと、細かな要素の違いで逆転するほどの微差のため学習の難易度が高いことです。
もう一度先ほどの牌姿を例に見てみましょう。
こちらが先ほどの牌姿のシミュレーション結果です。
1人麻雀を想定しているため実際の場面とは乖離した部分があるのと、テンパイに取る時は必ずリーチするものとしての計算らしいので打47sでダマにする選択は入っていないため、参考程度にご覧ください。
ここでまず注目してほしいのが、打4mが打2mに明確に劣っているという点です。
打4mは打2mと比べ受け入れも減っており、456三色もなくなってしまうため、打2mのほぼ下位互換となる打牌です。
明らかに他の打牌に劣る点において悪手と言えます。これは選ばないようにしましょう。
一方、先ほど私がどちらでも良いと言った打2mと打47sリーチでは、このシミュレーションだとそれなりの差があるように見えます。
そこで、もう1つ例を用意しました。
先ほどの牌姿から、4567sの部分が6789sに変わりました。
今度はシミュレーションにかけるとどうなるでしょうか。
こちらがシミュレーション結果です。
先ほどは打2mでテンパイ外しが良かったのに、今度は打69sリーチが最善となりました。
しかも数字を見ると、今度は打2mで大幅に和了率・期待値ともに下がっており、けっこうな損に見えます。
実際問題、ここでの打2mは悪手とまでは言わないにしても、もっと別の状況では悪手になる場合があります。
例えば、
これは今と同様の牌姿で、5巡目から10巡目に変えてシミュレーションを行ったものです。
先ほどよりも更に打69sリーチと打2mの差が開きました。
ここまで大きな差になると、打2mは悪手(赤点)と言って良いでしょう。
この違いが完璧に分かっていれば上級者ですが、牌効率をマスターした上でかなり膨大な知識と場面ごとの応用力が必要になるので、これを習得しようとすると時間がかかります。
十分な知識がないまま無理に100点の打牌をしようとすると、知らず知らず赤点の打牌をしてしまう可能性があるのです。
③常に80点を取る人vs100点も赤点も取る人
ここで、最初の例1に戻ってみましょう。
この例1の牌姿では、打2mが100点の打牌であるようでした。
しかし、だからと言ってここで打47sでリーチを打つ人が負けるのかと言えばそんなことはありません。
なぜかと言うと、例1でリーチを打った人は例2、例3でもリーチを打つからです。
例1~3のシミュレーションにおいて、リーチを打つ選択は常に上位の打牌となっており、一定以上の期待値を得られていました。
一番変化も多く巡目も早い例1でリーチを打つ人は、更に条件の厳しい例2、例3でも同様にリーチを打つはずなので、常にそれなりの点数を得られます。
一方、打2mは例1でこそ最善であったものの、例2ではリーチより下位の選択となり、例3においては悪手となるまでになってしまいました。
もちろん、例1では打2mとしても、例2と例3ではリーチを打つという人は何も問題ありません。
しかし注意すべきは、例1~3全てで打2mとしてしまう人もいるということです。
例3での打2mは赤点の打牌という話をしました。
赤点の打牌をしているということはおそらく基礎が固まっていないので、それなりの頻度で赤点を取ってしまうことでしょう。
仮に50%の確率で100点、50%の確率で50点(赤点)を取る人がいた場合、その人の期待点は100×50%+50×50%で75点です。
常に80点を取る人の期待点は当然80点ですから、常に80点を取る人は赤点を取る人に勝ちます。
実際にはもっと赤点の点数が低かったり、常に80点を取る人もたまに100点を取ったりするので、現実的には更に大きな差になります。
なんとなく察して来たかもしれませんが、麻雀において赤点を回避するというのは非常に重要なことなのです。
まだ少しイメージが湧きにくいかもしれないので、もう少し直感的に分かりやすい例を出してみましょう。
Aさんは先制リーチを受けたら、ノーテンであればどんな手でも完全にベタオリします。
Bさんは先制リーチを受けても、どんな手であれ全ツします。
どっちの方が勝ちそうですか?
おそらくAさんが勝つでしょう。
ノーテンでリーチに全ツできるほどの手はそうそうありません。
Bさんは全ツしたことでたまにアガれるかもしれませんが、リーチが来ている以上かなりの頻度で放銃になります。
Aさんは押すべき手でも降りてしまい、本来アガれた手を逃すかもしれませんが、後手を踏んだ時点でアガれないことの方が多いです。
それが赤点を回避するということです。
④赤点を取らない打ち方とは
ここまでで赤点を取らないことの重要性が伝わっていれば幸いです。
それでは、具体的に赤点を取らない打ち方とはどんなものなのでしょうか。
端的に、次の3つができていれば赤点は回避できるでしょう。
1.まっすぐ手を組む
2.テンパイしたらリーチを打つ
3.後手を踏んだらベタオリする
要は最速でリーチを打って、ダメそうならベタオリするということです。
先ほどの例で見た中でも、リーチを打つ選択は常に悪くないものでした。
厳密にはリーチより良い選択があったとしても、それでもなおリーチを打つことにはそれだけでメリットがあります。
リーチの強さについては過去の記事で書いているので、そちらをご覧ください。
「まっすぐ手を組む」ということも重要です。
例1~3で見た打2mという選択は、テンパイから遠ざかっているので「まっすぐな選択」ではありません。
それで得をする場合もあれば、大損をしてしまう場合もあるというお話をしました。
牌効率を勉強して、常に受け入れ最大の選択をするということは、赤点回避の観点からも非常に大事になります。
受け入れを広くするということはリーチに対して最大限近づくということなので、悪手になることはそうそうありません。
打点や最終形の兼ね合いで厳密には受け入れ最大にするより期待値の高い選択があることもありますが、そんなに頻出しないので後回しで良いです。
中途半端に取り入れようとすると赤点を取りかねないので気を付けましょう。
「後手を踏んだらベタオリする」も他2つと同じくらい重要なことです。
ちゃんとベタオリしてるよ、という人もいるかもしれません。
しかし、ベタオリするのであればわざわざ安牌を持つ必要はないということに気付いている人は少ないです。
リーチが来たらどうせメンツも壊して降りるのですから、1枚ぐらい安牌が増えたところであまり変わりません。
もちろんいらない牌よりは安牌を持ちたいですが、必要な牌を切って安牌を残している人は、赤点を取ってしまっている可能性が高いと言えます。
これについても過去の記事で近しいことを書いているので、もし興味があればご覧ください。
これが赤点を取らない打ち方であり、逆に言えば他のことは割とどうでも良かったりします。
序盤の字牌の切り順であったり、手役を見るかどうかであったりなどは、ここで書いた3つに比べれば些細な問題です。
まずは牌効率を勉強し、降りる牌の安全度の比較をできるようになり、しっかりと赤点を回避できるようになってから、90点や100点を目指していきましょう。
さて、ここまで記事を読んでいただいて、「自分も赤点を取ってしまっているかも」と思った方はいらっしゃったでしょうか。
そういう方のために書いた記事になりますので、今一度自身の打ち方、学習の仕方を見直すきっかけになっていれば、嬉しく思います。
それでは、今回はここまでになります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
Pacific Dainagon
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