群馬県版ワクチンパス(仮)に反対する、基本的な考え

群馬県版ワクチンパス(仮)に反対する、基本的な考え

1.はじめに

まず、GoTo等の施策は、20年以上続くこの国の経済的閉塞感の一因である新自由主義と同系譜同系統のトリクルダウン思想。さらなる格差を拡大・固定化し経済の低迷、社会の不安定化を招く。

過去の誤りをきちんと評価し反省の上に立つならば、また社会通念上、もともと旅行等に行ける者、時間的経済的に余裕のある者を優遇するのは公共の行政施策として上記理由より適当とは言えない。

さらにプレミアムを上乗せするなどは輪をかけて不適当である。

行政サービス並びにその経済的支援は全県民に対し公平に広く行うか、経済的弱者に対する支援を拡充するべきである。

コロナ禍後の経済対策提案については別述するとし、ここでは

群馬県版ワクチンパス(仮)関連の経済施策における、法的課題について、日本国憲法の基本的人権尊重の観点から、記述する。


2.日本国憲法における基本的人権の尊重について

日本国憲法第三章 国民の権利及び義務 において、
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/dl-constitution.htm

〔基本的人権〕
第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
〔自由及び権利の保持義務と公共福祉性〕
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
〔個人の尊重と公共の福祉〕
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
〔平等原則、貴族制度の否認及び栄典の限界〕
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。  ・・・



3.憲法第十四条 平等原則 との整合性について

群馬県版ワクチンパス(仮)による接種者プレミアムは、ワクチン接種者と、様々な理由からワクチン接種を望まない県民を、政治的、経済的又は社会的関係において差別するものであり、日本国憲法第十四条 平等原則 に照らし問題があり、違憲である。

〔平等原則、貴族制度の否認及び栄典の限界〕
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない



4.憲法第十四条 平等原則 の限定解釈について

この憲法第十四条の条文に「公共の福祉に反しない限り、」という限定解釈が当てはまるかが問われることになろうが、その概念は、

〔自由及び権利の保持義務と公共福祉性〕
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。 

にあるように、国民の「自由及び権利」は「保持」し、公共の福祉のために「利用」するものでり、
さらに、
憲法第三章中に「公共の福祉」の記載は、第十二条以外には、
第十三条〔個人の尊重と公共の福祉〕、 第二十二条〔居住、移転、職業選択、外国移住及び国籍離脱の自由〕、 第二十九条〔財産権〕
に、特別に記載があるのみであり、第十二条の、「公共の福祉」は、そのまま「自由及び権利」に係るものである。
つまり、憲法第十四条は「自由及び権利」をうたったものではなく、「原則」であり、「その状態でなければならない」ものである。
よって、読んでそのままであるが、憲法第十四条には、「公共の福祉に反しない限り」という限定解釈は用いてはならない。



5.まとめ

ゆえに群馬県令和3年度9月補正予算第12号のうち、ワクチン接種済者を対象とした
ぐんまGoToEatワクチンプレミアム事業、
及びワクチン接種済者等を対象とした
愛郷ぐんまプロジェクト第3弾事業、
いわゆる群馬版ワクチンパス(仮)は、日本国憲法第十四条違反の議案である。
故に提案した知事並びに賛成採択した県議会の、立法行為の違法及び故意・過失が問われ得る。

〔請願権〕
第十六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。
〔公務員の不法行為による損害の賠償〕
第十七条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。



6.その他

その上で、それでもなおワクチン接種により県民を区別差別優遇する場合の、根拠や条件等の諸問題については、別述する。

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