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パチンコバイト初級

私が働くことになったのは、都内でP・S合計1000台前後を擁するホールであった。コロナ前の当時でいうと店長以下含む社員とバイト比率は早番遅番合わせて4:1くらい?だったような気がする。

簡単な自己紹介をした朝礼の後他はホールに下りて行ったが、こちらはとりあえず基礎的なことを教わることになった。

島礼、ドル箱交換、台掃の仕方 
 今はすべて各台計数機になったが、私が入った当初は4円ミドルとスロットはすべて箱積みであり、出玉を持った客がやめるときにはジェットカウンターに流してレシートにする作業が必要であった。呼出ランプが点いてからドル箱を渡すまで、ドル箱を積むときの向き、車輪のついた下に敷く台の扱い方、流すときの接客の仕方などに気をつけなければならず、覚えることは意外と多い。慣れると自分のペースで端折ることもあったが。

台鍵、インカムの使い方
 まあ鍵なんていきなり持たせてくれるわけではないが、どの鍵をいつどのように使うのかということは把握しておかねばならない。

規制、風営法関連の話
 有名な「皆さんなぜか出た後あちらの方へ向かわれていますね」である。あとは小景品1枚は1円換算「1120玉」であって「1000円」ではない、ということや営業時間の話、店内装飾の高さの話(消防法だっけ?)とかもあったような。

そのあと店長と少し面談というか、これからも頑張ってね、パチンコのバイトは接客スキル上がるよ、みたいなことを言われた後、まあ実際やってみないとわからないよね、ということで教育係と最後に少しだけホールに下りて実践してみることとなった。

これがなかなか初心者には緊張する瞬間である。

まず「いらっしゃいませ~」が出てこない。どうも照れくさいというか、声の大きさとか自分の「接客初めて感」を意識してしまい、ぎこちなくなってしまう。すれ違う時の手もどうもスマートに出すことができなかった。普段行き慣れているパチンコ屋でも立場が違うだけでこんなにも景色が違うのか、と思った。

2人で下りたのは1円パチンコのフロアだったが、教育係が海物語のコーナーにいた婆さんに話しかけられたのもカルチャーショックだった。私はどうすることもできず少し離れたところから眺めていたのだが、しばらく話し終わった後「いや~世間話されちゃったよ」と言いながらこちらに来た彼を見て、やはり1円海では年寄りの対応も要求されるのか、と不安になった。ただ、このケースは稀だったようで、その後自分も1円パチンコのフロアを任されることは何度もあったが、客の世間話に付き合わなければならないような状況はほとんどやってこなかった。

閉店後はフロア別のゴミを一か所に集めるのと(次の日の朝に業者が回収に来るらしい)、台掃を改めてもう一度する必要があり、社員は金銭業務で忙しいのでここではバイトの先輩に手順を教わることとなった。

このように社員が日替わりで数日間ある程度面倒をみてくれて、その間上に書いたこと以外に営業中のゴミ交換の仕方、食事休憩の接客、台トラブル(賞球トラブル、盤面の玉がかり、ホッパー/セレクターエラー)、計数機トラブル、サンドのトラブル(紙幣詰まり、カードロック)など一通りの対応に触れ、パチンコのフロアとスロットのフロア両方を何回かこなしたところで、私の「教育期間」は終わった。

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