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ケンカの火種

若かりし頃、今よりもずっと酒を飲んだり飲まれたりしていたんだけど、その時分はわりかしちょくちょくケンカしたりケンカに巻き込まれたりケンカに巻き込んだりしていた(その節は多くの皆さまに多大なるご迷惑をおかけいたしました。また、大変お世話になりました。心よりお詫びと感謝をお伝えいたします)。

その時代の後期に学んだことで、今もわりと実践していることがおれには1つあって。ひょっとしたらみんなにも役立つかもしれないのでお伝えしておこうと思う。
それは「ケンカの火種」って、一度ついてしまうと完全鎮火には時間がかかるということ。そしてだからこそ、ついてしまったときは一度完全に離れるべし、というものです。

ちょっと、具体的に書きますね。

飲んでる席で、仲間同士だったり他のお客さんとだったり、あるいはたまたまそこに居合わせた人でもいいんだけど、ちょっとした怒鳴り合いや小競り合いが起きることあるじゃないですか。
で、たいていは「まあまあ」っつって宥めたり宥められたり、「ここはひとつ…」とかなんとか一見その場では収まるんだけど、不思議とその種火が、小競り合いした本人たちだけじゃなくて、「まあまあ」ってやってた人たちだったり、その場をたまたま目にしていた人たちにも宿ってしまうみたいなんですよ。

だから、場が持ち直されて問題がなくなり、「じゃあ場所でも変えて…」なんて他の店に移っても、今度は違う人同士がケンカ始めたりするんですよ。なんなら、それまでのメンバーとは全然無関係で、違う人たちとの場に移ったりしても、なぜかそっちで揉め事起こしちゃったり…。

なんなんだろう? あれ。
おれの想像だと、蛮勇魂というか、荒くれ者一味というか、なんかそういう「血のたぎるギラつくところもあるおれ」みたいなのを見せつけたい欲っていうのが、人間のどこかにはあるんじゃなかろうかってね。

というわけで、ケンカの火種の近くにいた日は、早々に解散して、家に帰ってください。仲直りの一杯をやるなら、その場ですぐに本当に一杯だけ。5分後に解散です。
「いい気分になったろ。さあ今晩はもう店じまいだ。飲み足りない? じゃあ明日の夜にでも続きやろうぜ。今晩は今すぐここで解散だ! 解散しないならあとは好きにしてくれ、おれは帰るぜ。」ってね。

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