出ていきたい人は笑顔で送り出し、帰りたい人は笑顔で迎えましょ
広島県の人口流出=転出超過が3年連続で全国最多になった。ということで、メディアで話題になっているようです。(あまり熱心にテレビを見たりしないので、伝聞推定の書き方です)
地元紙でもこんな企画をされています。
中でも特に若い世代の流出にスポットが当てられていて、メディアは総じて「なんとかして若い人たちに広島県にとどまってもらわなきゃ!」というスタンスのようです。
経済界もそんな感じです。
まあ、その考えもわからなくはないのですが違和感があります。
■ 若い頃って一度は出たいでしょ
正直な話、首都圏などで生まれ育った人以外は、若い頃って故郷を出たくないですか?出たいと思う人の方が多くないですか?
少なくとも私はそうでしたし、一度は出ています。
当たり前だと思うんですよね。
漠然と都会のほうが楽しそうだし、進学先もバリエーションあるし、面白そうな仕事ありそうだし、面倒なしがらみが無いから好きに暮らせそうだし。
私なんて親から「広島に居続けたってロクな者にならない」と言われ、出て行くように言われました。ちなみに「まさか戻ってくるとは思ってなかった」そうです。
こうした正直ベースのことを見ないふりして議論をしようとすることが少なくないと思います。
■ 「何で出たいんだ?」と何度も言われるのは嫌では?
また、こうしたことが話題になると若い人は「何で出たいんだ?」と何度も聞かれたりしています。
問う側は「出て行かないでくれ」と干渉するのではなく、あくまでも建設的に対策を講じようとしてのことなのでしょうが…
いやー、私だったら言葉を選ばず言えば「うざい」、「放っといてほしい」と思うでしょうね。
■ 昔は口減らしで出されていたわけで
そもそも昔のほうが人口流出数は多かった、というか流出を奨励していました。
集団就職もそうですし、もっと以前にはハワイへの移民がありました。
広島からは、国内では北海道へ、海外ではカリフォルニア、ハワイ、ブラジルなどへ多くの移民を送り出しています。
特にハワイは有名で、こんな曲もあったりします。
全国一移民した人数の多い地域とも言われているのです。
このことについてよく、「広島人は開拓者精神が旺盛だ」と言われたりします。まあ、そういうこともあるのかも知れませんが、それよりも人口が多すぎるがゆえの口減らしの側面のほうが強く、仕方なく流出していったのです。
そして行った先では、ほぼ漏れなくとんでもない苦労の連続だったそうです。過酷な労働&生活環境、アメリカにおいては第二次大戦時の強制収容など、人権など無いような扱いで生きなければならなかった。
それに比べれば、自分の意志で行き先を選んで出ていけるわけですから、今の状況は幸せです。出ていく人には「良かったね」と言ってあげれば良いと思います。
■ 「帰りたいな」と思わせる存在であればよいのでは
人生は続いていきます。
出ていってそれでお終いということではありません。
生まれ育った場所が嫌で、あるいは都会に憧れて出ていった人も、ライフステージが変われば考えも変わります。
出ていっても、「帰りたいな」と思うことがあるかも知れません。
大切なのは、そのときに帰りたいと思われるような地域であることでしょう。
地域の人間がそうありたいと考えて、行動を積み重ねていくことが必要なんでしょうね。こうした積み重ねは複利効果。10年経ったら魅力が5割増しなんてことだってあるでしょう。
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