『フリーエージェント社会の到来』を読んで
先日、木下斉さんのVoicyで紹介されていた『フリーエージェント社会の到来』(ダニエル・ピンク)を読みました。
結論として、とても示唆に富む本でした。原著が2001年の出版ということでところどころに古さを感じるものの、その着眼点と思考は全く古びていません。今でも読むべきものです。
また、著者はアメリカ社会について論じていますが、日本は変化が遅く、これから本格的にフリーエージェント社会が到来してくると考えられるので、なおさら今読んでおいたほうが良いと考えます。
9割がサラリーマンという状況は変わる
著者は、アメリカにおいてフリーエージェント(フリーランス、臨時社員、ミニ起業家)が4人に1人の割合で存在するとしています。
対して現在の日本では、働く者の9割が雇用されている人≒サラリーマンです。にも関わらず日本において今後フリーエージェント化が進むと考えるのは次のような理由からです。
・従順で会社への忠誠心(依存心)の高いサラリーマンを従来のように大量に必要としなくなるから。
・政策として雇用の流動化が進み、今でも崩壊しかかっている終身雇用神話が本当に終わるから。
・鼻の効く優秀な層がイノベーターとしてフリーエージェントになっているから。
・今後人手不足が続くので、フリーエージェントとして失敗してもいくらでも働き口はあるから。
それに企業は一生懸命人材を引き留めようと様々な施策を考えますが、有効に働かないことも多いでしょう。
この本にもある通り、子育て支援として制度で救おうとしても制度のきまりが「共通サイズの服」となってしまい各自の使い勝手が悪い、社員のやる気を引き出そうと権限委譲を図ってもむしろありがた迷惑だったりという具合です。
常識と思っていることは常識ではない
今の日本では、サラリーマンであることが当たり前でフリーエージェントであることは異常ですが、こうなったのは割と最近のことで、歴史的に見れば今の方が異常です。
上のグラフをわかりやすく説明するとこうなります。
就業者=働いている人
自営業主=個人経営の商店主・工場主・農業主等の事業主や開業医
家族従事者=農家や個人商店等で農作業や店の仕事等を手伝っている家族
雇用者=いわゆるサラリーマン
つまり、1950年には働く人の3分の1がサラリーマンだったのが、1960年に半々になり、1975年には7割がサラリーマン、そして2022年には90%がサラリーマンになっています。
歴史的にはせいぜいこんなものです。状況的が変わってきたこれからを考えると、サラリーマン比率は今が天井と思われます。
これからは個の時代になるでしょう。本書の語る通り、日本でも巨大企業は当面生き残るけど、フリーエージェントは増え続けると思われます。
とすれば、会社に対して依存し自分を捨てるのではなく、自分と会社は別物と考え自分を経営する必要が、「会社に属している自分」以外の価値を見つけ育てる必要があります。
そして、結果としてフリーエージェントにならずサラリーマンとして勤め続けても、依存心しか持たないサラリーマンとは明らかに違う者となります。お得だと思いますよ。
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