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塀の中で教えるということ③

私たち持続未来グループは、「多様な人たちが働いて楽しい」を基本理念としています。様々な人たちが働いて、できれば「楽しい」と感じられる企業グループでありたいと考えています。

そうした考えで活動する中で、障害者雇用率は14.8%になりました。
こうしたことが知られたせいか、色々とお声がけ頂くことが出てきました。
「市原青年矯正センター」での職業指導もその一つです。



■ 「市原青年矯正センター」って?


ここで市原青年矯正センターとはどういう施設なのかについておさらいです。
・若年の知的障害者の出所後を見据え様々な職業訓練と資格取得を行う。
・こういう施設は全国初である。

で、私たちには、そこで清掃サービスの技能を教えてほしいと打診されました。

私たちは、人的供給制約が強まる今後に向けて、出所者雇用にも取り組みたいと考えていたこともあり、協力させていただくことにしました。

■ 指導者たちの合否は?


ということで昨年度は、受刑者に指導する前段階として、受刑者を日常的に指導する刑務官に清掃サービスを理解して頂くべく、スパルタ教育をさせて頂きました。

とりあえずの目標としては、中心となって取り組む刑務官3人が3級ビルクリーニング技能士試験に合格することです。(3級ビルクリーニング技能士は実務経験ゼロでも受験できます)

合否が気になっていたのですが、結果としては…3人とも見事合格でした!取り組む姿勢が非常に良かったおかげですね。

■ 教える前の不安


そんなこんなで準備が整い、今日、はじめて受刑者たちに訓練を行ってきました。

正直なところ、不安がなかったわけではありません。

比較的犯罪傾向の進んでいない受刑者を集めているとは聞くものの、実刑を受けているのです。
実刑を受けるということは、それなりの罪を犯していたり、比較的軽い犯罪を複数回犯しているという可能性が大きいと考えられます。
例えば、万引きのような比較的軽めの窃盗を1回犯しただけでは実刑になりません。

私たちとしては、職業訓練するだけでなく、できれば将来的な就職にも結び付けられると良いとも考えているので、その辺りが気になります。

また、塀の中で教えるのは、障害者か健常者かを問わず今回が初めてです。
「上手く教えられるだろうか」という、自分自身への不安もあります。

■ 実際にどうだったか


そんな不安を抱いて受刑者に向き合ったのですが、結論から言うと、彼らは非常に良い受講者でした。

前向きな姿勢を見せ、興味を持って話を聞き、素直に吸収しようとする人たちでした。

実技についてよく予習しており、「初回だからせいぜいこのくらいまでだろう」という私たちの事前予想を遥かに上回る出来でした。「次回からのカリキュラムを組み直さないといけない!」と焦るほどです。

もちろん塀の中という環境で厳しく指導されたという側面もあるでしょうが、見事な出来です。

それにしても、一度教えただけで早いのかもしれませんが、皆さん即採用を考えたいような人たちでした。
もちろん一度指導しただけではわからない、難しい要素もあるのかもしれません。
何より彼らに、私たちグループへ就職したいと思ってもらわないといけません。

しかし、出所者の雇用についてリアルに考えられた、想像以上の一日でした。
今後が大いに楽しみです。

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