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中小企業のM&Aでいちばん大変なことは?

M&Aについてちょっと話題になっているようです。

M&A、企業の合併、買収です。
昔のように「身売り」という言葉に象徴されるネガティブイメージを持たれることはもう少ないでしょう。とはいえ、実際にやったことがあるという会社も少ないのではないでしょうか。

私たち持続未来グループは、これまでにいくつかのM&Aを行ってきました。
そのうち3件は買収、1件は売却でした。

ある会社に共同出資をしていた他社さんから持ち分を買い取ったこともあります。
また、成立には至らなかったこと、これはけっこうあります。

今日はこのM&Aについて記します。


■ なぜM&Aをするのか?


これについて、煎じ詰めるとその理由は「時間を買いたいから」ということになります。

つまり、一から自分たちで事業を立ち上げると当然のことながらかなりの時間がかかってしまう。しかし、すでに立ち上がっている事業(を運営する会社)を買収すれば、その時間が短縮できるということです。

合理的です。

一方で、単純に「儲かりそうな事業をしているから」という理由で、事業内容には関係なくM&Aを考える会社もあります。
悪いとは言いませんが、自分としてはこの考え方はしません。

立ち上げたい事業、進めたい事業が何かあって、それを効率的に実現する手法としてM&Aを選択する方が王道と考えます。

■ どのように相手を見つけるか?


当社グループで成立した案件の全ては、直接相手と交渉したものでした。知人が経営していた会社だったりといったものですね。

M&A仲介会社経由で決まった案件はありません。
特に仲介会社経由の案件を敬遠している訳ではないのです。が、しかし、仲介会社経由の案件は決まりにくいんですよね、少なくない数が持ちかけられるわりには。

決まりにくい理由は2つです。
1つは、売り値が高すぎること。デューデリジェンスの結果妥当な価格とされていても、実際にある程度その業界のことを知っていると、とても手が出ないことが多いですね。

もう1つは、仲介会社の手数料が高く、その後の収益性を考慮すると割に合わないからです。
これについては、必ずしも仲介会社を責めてはいません。それだけの手数料を取らないと成り立たないだろうと思いますから。
ただ、その手数料を支払ったのでは見合わないことが多いだけです。

直接売り手と交渉する危険性はもちろんあります。
全く知らない相手だと、私も直接は取引しようと思いません。

これまで成立した案件は全て知人が交渉相手でした。知人なら全て安心という訳ではありませんが、ある程度相手を知っていれば示される情報の真偽はある程度読めます。
そもそも私たちの対象とする案件のスケールは限定的ですしね。

■ 成立した後、大変なのは?


中小企業のM&Aの場合、大変なことは色々あります。
これを書くだけでnote何回分もあるのですが、最も大変なことを挙げます。

それは人です。
こちらの理念、事業の戦略、狙いを共有してもらえない。最初から非協力的である。これまでの経営者に本当のことを伝えていなかった。
こうした相手方の人に関することも大変です。

しかし、それよりも大変なのは、買収したこちらの人に関してです。

買収した多くの場合、それまでの経営者は引退します。既存社員の中に後継者がいれば良いのですが、多くの場合はいません。
ということは、その会社を実際に動かす人を当社グループから送り込まねばならないのです。

しかし、たとえ小さくても一つの会社を動かすには、それなりの能力(特にコミュニケーション能力)、知識、経験が必要です。
そういう有能な人を、既存の業務から引き離して、新しく買収した会社に送り込むことができるのか。

これが、中小企業のM&Aにおいて最も重要な問題なのです。人的供給制約が強まる今後はより一層大きな問題になるはずです。

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