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障害者への職業教育で感じる「おかしなこと」

この度、木下斉さんのVoicyでの企画『ジブン株式会社RADIO』に出演させて頂きました。
能勢町議会議員でキャリアコンサルタントの太田裕介さんとの対談だったのですが、太田さんの話の運び方、引き出し方がとても上手かったおかげで悪くないものになったと思います。

私たち以外にも全部で10組の対談(30~40分)が収録されて、今日まで特別価格配信なのでぜひ聴いてみてください。(Webからだと500円。アプリからだとアップル税分高くなっています)

ちなみに私、自分の声を聞くのが嫌なので、講演やセミナー、プレゼン発表などの音声データを聞き返すことはしないのですが、今回は有料配信でなおかつお相手の居らっしゃる対談ということなので、意を決して聞いてみました。

いや、自分の声のことは置いておくとして、重ねてになりますが太田さんの引き出しがよかったので悪くないものになっています。


■ 障害者への職業教育


太田さんとの対談でも大きな部分を占めた障害者雇用に関することを今日は記します。

私たち持続未来グループは、障害者雇用に注力しており、現在の障害者雇用率は14.8%です。

そして私は、主に知的障害と発達障害のある人に対する職業教育、職業訓練にも関わっています。
こうした訓練、教育は、特別支援学校や各種学校、就労系の障害福祉サービス事業所、中には刑務所でも行われることがあります。

私はそこで清掃作業を教えることが多いのです。
清掃は、私たちの事業でも大きな部分を占める大事なお仕事です。できれば障害のある人たちに、将来の選択肢の一つとして考えてほしい。
この業界に来なかったとしても、どこでも役に立つ技能ですので、身につけて無駄になりませんしね。

■ 職業教育への違和感①


そこでよく違和感を覚えるのです。

職業教育、職業訓練は、様々な職種、技能について行われるのですが、正直、「それを習得して本当に稼げるの?」と疑問に思うことがあるのです。

その代表的な事例を2つ挙げます。

1つがパソコン作業。
Wordなどのワープロソフトで簡単な文書作成を教えたりしています。
うーん、これで今後稼ぐことが出来ると思いますか?私は相当難しいと思います。

生成AIを持ち出すまでもなく昔ながらの事務職的ホワイトカラーの需要は少なくなっていくでしょう。将来ではなく、人手不足の現在でも、多くの地域のハローワークが発表するデータによれば、事務職のみが有効求人倍率1倍を割り込んでいます。(要するに人が余っています)

基礎的なタッチタイピングを教えたりすることが不要とは思いませんが、簡単なPC操作スキルで将来稼ぐことが出来るかのように教えるのは疑問です。特に知的障害のある人に対しては向いているとは思えません。

どうも教える側が、職業意識をアップデートできていない感じがします。

■ 職業教育への違和感②


2つ目はアート系。
これは学校系ではなく、就労系の障害福祉サービス事業所に多い気がします。

「障害のある君たちにこそアートの才能がある!」みたいなノリで、絵画などを教えることが多いです。
アール・ブリュットなんて言葉も割と聞きますので、勘違いをさせやすいのでしょう。(私は、アール・ブリュットを否定してはいません。礼賛もしませんが)

これには、私はとても違和感があります。
障害のある人に中にアートの才能を持つ人がいるのは否定しません。
しかし、障害があるからこそアートの才能があるなどということはありません。
才能がある人はありますし、ない人にはないのです。そんなのは健常者と同じです。
そのように障害者を扱うこと自体が差別でしょう。

そして、実際に才能があったとしても稼ぐことは難しいのに、稼げるかのようにそそのかすのは頂けません。

■ じゃあ清掃って稼げるの?

実際のところ、すごい高給の稼げる仕事ではありません。
裏方の地味な仕事と言っていいでしょう。

ただ、清掃ってなくなる仕事ではないんですよね。
AIに奪われにくいし、意外に個別性が高いので機械に置き換えるのもなかなか難しい。

しかも、人口減で供給制約がかかると自然に支払われる給与も上がっていくものと考えます。(今はそこに至るまでの途中だと思います)

地味だけど一応は稼げる仕事(上振れ見込みあり)といったところでしょうか。しかも、どんな職種の職場に就職しても必要な仕事です。
すごい夢はないかもしれませんが、嘘はないとも思います。

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