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MPEPの改訂版(2022年7月改訂)が発行されました。

現地時間の昨日、米国の特許審査基準(特許審査便覧)であるMPEP (Manual of Patent Examining Procedure) の最新版が公開されました。


昨年7月に改訂された内容がウェブ上で正式に公開された、というのが正確な表現かと思いますが、主な改訂箇所とその概要をごくごく簡単にご紹介したいと思います。

Chapters 600 and 2400

Chapter 600は出願書類の内容(Parts, Form, and Content of Application)、Chapter 2400はバイオ関連出願(Biotechnology)についてそれぞれ規定します。

今回の改訂は、以下の変更を反映させたものとなります。
・2021年10月14日付の連邦官報 (Federal Register Vol. 86, No. 196: 86 FR 57035) で提示された、明細書に添付等されることのある、配列表、数ページにまたがるような大きな表、あるいはコンピュータプログラムを提出する際の規定を反映
・2022年5月20日付の連邦官報 (Federal Register Vol. 87, No. 98: 87 FR 30806) で発表されたように、従来使用されていたXML形式を使ったヌクレオチドおよびアミノ酸配列リストの表示用基準を、WIPOの基準(WIPO Standard ST.26)に変更したことを反映

Chapter 800

Chapter 800は米国特許法第111条に定められる二重特許拒絶(Restriction in Applications Filed Under 35 U.S.C. 111; Double Patenting)についての審査基準を規定します。

今回の改訂では、当該拒絶理由の分析手法の明確化などが図られています。

Chapter 900

Chapter 900は先行技術調査特許分類等について規定します。

今回の改訂では、以下の変更が図られています。
・米国独自の特許分類 (USPC:United States Patent Classification) を適用する出願と適用しない出願との区別を明確化
・USPTOにおける完全な調査 (thorough and complete seach) の定義付け
・従来の第903.08章に規定されていた出願案件の割り振り等に関する規定を修正し、新たに第909.01章、909.02章を創設

Chapter 1500

Chapter 1500は意匠特許について規定します。

今回の改訂では、2021年の連邦高裁判決 、In re SurgiSil の内容を反映させ、意匠権の権利範囲がクレームに記載された物品に限定される旨が追記されています。
なお、上記判決については本Noteでも以前ご紹介させていただきましたので、良かったらそちらの記事もご参照ください。

また、少し前の事件ですが、2018年の連邦高裁判決、In re Maatita の内容を反映させ、立体的でない部分の意匠について権利化を求める場合は平面図一枚のみでも法112条の明瞭性要件を具備する場合がある旨が追記されています。


個人的には、これまでの実務に対して大きな影響を与える変更はないかな、というのが率直な印象です。


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