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コスタリカでのアパート探し

 今回はコスタリカの賃貸物件事情についてです。
記事を読んでくださっている方から、「どうやって住むところを見つけたのか?」という質問をいただきましたので約1年半前の引っ越しの頃を振り返ってみることにしました。

 確かに、私自身も2022年年末に引っ越さざるを得なくなるまでどうやって部屋を探せばいいのかわかりませんでした。なぜならコスタリカには「賃貸物件を扱う不動産屋さん」がないからです。「土地及び物件の売買」を扱う不動産屋さんはあります。ただ日本のように街角に店舗を構えていることは少なく、個人でお客さんを内見に連れて行ったり、コンドミニアム(塀で囲った居住区)の一角にオフィスがあったりします。もちろん自社のホームページ上に物件を紹介している不動産屋さんもありますが、それらも売買専用です。

 まず、私は2022年1月に日本からコスタリカに移住しました。着いたその日から暮らしたのは移住前に知り合った日本の方の家の一部屋です。その方はバケーションレンタル業を営んでいたので、シャワー、トイレ、ベッドなどの家具付きの部屋を貸してもらうことができました。しかしその年の年末に敷地ごと売却する話が進み、私は新しく暮らすところを探すことになりました。

 外国での引っ越し。右も左もわかりません。コスタリカでは商売や困りごとにおいては「口コミ」が全てであることを思い出し、頼れる知り合い全員に「単身者用の部屋を探しているの!」とメッセージを送りました。当時は今ほどもアパートの条件などをわかっていなかったため、こちらが求めたことは「値段(15万コロネスくらいまで)」「できれば女性の大家さんが住んでいる家の一画」「セントロか、セントロまで徒歩15分くらい」「家具付き」などです。車を運転しない私にとっては日常の用事が徒歩圏内で済むかどうかは大事なポイントでした。また、完全に一人暮らしにすると何かあったときに困る、話す相手がいないのも寂しいということで書生さんみたいな暮らしを想像しながら探しました。

 メッセージを送った知り合いは皆親身になって探してくれました。こういうときコスタリカ人て優しいな、としみじみ感じます。彼らが「これなんてどう?」と送ってくれた画像を見るとFacebookのスクリーンショットが多い印象でした。なるほど、こちらの人はFacebookを駆使して物のやり取りや営業をしているようです。持ち家を貸し出したい人、賃貸経営をしている人、どちらも道行く人に見えるように「部屋(家)貸します」の看板をかけています。タイトルの上の写真は「Se alquila」(貸します)で、「Se vende」(売ります)も同様によく見かけます。

 気になる物件が見つかったら次にすることは内見。部屋を見てみないことには、大家さんに会ってみないことには決められません。当時私が暮らしていたA市から、引っ越そうとしているG市まではバスを乗り継いでドアツードアでおよそ3時間。私は実際の引っ越しまで合計で4回G市を訪れることになります。

1回目
G市セントロから徒歩18分のアパート(25万コロネス、家具付き、水道、電気、インターネット代込)と、バスで30分のアパートの内見。(13万コロネス、家具無し、水道、電気代込)。
→家具付きアパートは素敵だったけれど遠いのと高いのがネック。家具なしアパートはジメジメと暗く、G市セントロからあまりにも遠いので却下。

2回目
1回目に行った家具付きアパートまでもう一度歩いて行ってみる。周辺散策。
知人とランチの約束をし、いい物件を知らないか相談。

3回目
2回目で相談した知人が紹介してくれたセントロ内のアパートの内見。大家さんが自宅を改築した部屋。母屋とはドア1つ隔てただけなのですぐに行き来できる。キッチンと洗濯機の使用は別料金。(135000コロネス、冷蔵庫、机と椅子、ベッド付き、水道、電気、インターネット代込。母屋のキッチンと週に1度の洗濯機仕様料は別途15000コロネスなので実質15万コロネス)

家具付き25000コロネスの物件内部。
同上。トイレに紙を流せないのでゴミ箱が置いてある。

 結果、3回目で見た部屋が一番理想的だったのでここに決めました。この3往復、雨季の時期なので身軽に動けるのが午前中に限られていたのがとてもやっかいでした。特に3回目はG市への行きのバスが満員で乗せてもらえず1本遅らせることに。内見を始める時間も、立ち去る時間も後ろ倒しになり、A市から家までの最終バスを冷たい雨が降りしきる中、一人暗いバス停でバスを待ち続けました。車を出してくれる家族がいない外国人が一人で暮らすというのはこういうことなのです。みじめな気持ちでやっとこさ来たバスに乗ると、どういう事情なのか車を持たないコスタリカ人たちがけっこう乗っていて「雨でやんなっちゃうね」「どこら辺に住んでるの?」と話すことができて少しだけ気持ちが晴れたのも思い出です。

4回目
家賃の一部を前金として払ってほしいとの連絡を受けもう一度行くことになりますが、もう引っ越せる先が決まっているのだから気持ちは軽いものです。少しでも引っ越し荷物を減らすべく、炊飯器をトートバッグに入れて運びました。この時に鍵も受け取りました。なぜか?それは私が引っ越す予定の日に大家さんはなんと……ビーチにバカンス予定だからです!外国人に部屋を貸す、その引っ越しの日にいなくてもいいやと思える考え方は私には未だに想像がつきません。

 そんなこんなで2023年1月から今の部屋で暮らしています。ちなみに日本のように「引っ越しを請け負う専門業者」というのもありません。大きいトラックかピックアップを持っている知人に頼むか、運送業をしている人を探して頼みます。私は個人タクシーをしている人に相談したところ、彼が知人からミニバンを借りて運べるということで30ドルで荷物と私を新居に運んでもらうことができました。

路地を挟んで家が密集している地区もある。ここを歩くときは常に子供の話し声と圧力鍋のシューシュー音が聞こえ、猫が昼寝をしている。

 その後しばらくしてFacebookで賃貸物件情報を漁ってみたところ、単身者用のアパート(いわゆる日本のアパートのようなもの)も新しく建てて貸し出している広告を見かけました。家族第一、家族が全てのコスタリカですが、少しずつ「家族単位」から「個人単位」に移り変わってきているのを感じます。と言っても戸数全体は日本と比べるとまだまだ少ないですが、需要はあるのでしょう。また、ごく短期の人向け物件なのか、炊事場と洗濯機は共用という単身者用アパートもありました。しかし家具無しなのでどういう人が借りるのか今一歩わかりません。一番多い貸し物件情報は小さい一軒家です。居間、キッチン、2ベッドルーム、シャワートイレ、洗濯室という一般的な造りで月15万~20万コロネス程度。電気、水道は物件によってついていたりいなかったり、インターネットは多くの場合ついていません。
募集要項には「一人~二人用。ペット不可」や物件の周りにあるスーパーや学校の情報が書き込まれています。中には部屋の写真と大家さんの電話番号のみという投稿もちらほらあります。

 現地の人に比べると頼れるツテが少ないし移動も一苦労なので引っ越しは大変と言えば大変ですが、日本と違って「外国人」だから入居しにくいということはありません。大家さんと話してよほど、と思われない限りデポジット金を払えば契約完了です。また、入居期間についてもとやかく言われません。「どれくらい住むつもり?」と聞かれはするので、その時点で考えていることを答えるのみです。中には半年毎の契約、という大家さんもいるみたいです。私は23日に引っ越してきたので毎月23日に家賃を現金で手渡し。それだけです。

 もし今後コスタリカで賃貸物件を探そうとお考えの方がいましたらアドバイスは1つ。「大家さんが近くに住んでいる家」を見つけることです。備え付けの何かが壊れたり、雨が漏ったり、水代を異常に高く請求されたり、予期せぬことが毎月の定例行事のように起こります。その時に地元をよく知る大家さんに頼れるかどうかはとても大きいです。私は今後ここに住み続けるか引っ越すかまだわかりませんが、また引っ越すことがあればその過程も綴りたいと思います。

コスタリカは急な坂道が多いです。

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