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個人的「2019年映画ベスト10」をまとめたが、ランキングを考えるのは記憶の強化だけでなく、周辺の思い出も想起され、楽しいのでおすすめ

その年に公開され鑑賞した映画の個人的なランキングを作成するのは楽しい。メモが面倒と思われる方もいるだろうが、今は便利なウェブサービスやアプリも多いのでそれらを活用し習慣化さえできれば、その労力はさほど苦ではない。ふりかえりによって記憶が強化されるし、誰とどこで観たとか、観たあと何を食べたとか、映画だけではなく周辺の思い出も想起され、とても楽しいのでおすすめです。

いつからかは失念してしまったが、映画や読書の簡単なメモをとるようになっていた。理由は「いつ何を観たか・読んだか」をすぐに忘れてしまい、同じ作品を買ったり借りたりしてしまい、不便を感じたからだったような気がする。いや、そうじゃなかったかもしれない。すがすがしいくらい何もかもが忘却の彼方だ。

中年になって一番よかったと思うことは「無神経化」である。おどろくほどに自意識が萎縮した。血気盛んな若人時代だったなら、「こんな作品が好きだなんて公表したら馬鹿にされそう」とか「こいつ映画のことなんにもわかってねえなと嘲笑されそう」などと思っていたと思う。今はもう別にそう思われても平気だし、というかまあ事実そのとおりだろうし屁の河童だ。

実際にマイベスト10を伝えたシネフィルの先輩からは「通俗的な作品が好きなんですね、フッ(失笑)」というありがたいお言葉を、冷たい雨にうたれる薄汚れた仔犬を成層圏から見下ろすような視線とともに頂戴したが、たしかにそうだなあと思う程度で恥ずかしくもなんともない。おじさん最高。

ようやく本題の個人的「2019年映画ベスト10」がこちら。

『グリーンブック』…個人的に「構図の美しさ」といった映像的要素よりも「筋書きの面白さ」といった脚本的要素を重視してしまうきらいがある。最初は反発しあってた者同士が一緒に旅を続けていくうちに相互に好影響を与えあい成長していくロードムービーだなんてもう最高でしかない。

『宮本から君へ』…監督や豪華キャストによる舞台挨拶付きの先行上映で観られたというバイアスは否定できないが、終盤はアドレナリンが過剰分泌され両脚がずっと痙攣していた。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』…これから観られる方は絶対に「シャロン・テート事件」の予備知識が必須。ラストはもう大興奮間違いなし。

『アクアマン』…ふりかえりはたいてい年末なので、2月公開だった本作はかなり不利。なのでぼくは鑑賞直後にこの大興奮を必ず優先しよう、あとで思い返してぱっとしなくても絶対に上位に入れるんだと決心したことを覚えている。爆発は正義。

『アベンジャーズ/エンドゲーム』…こういう長く続いたシリーズものはどうしても単独作品としてのみの評価がむずかしい。シリーズ最終作という加点があることは否定できない。

『愛がなんだ』…JKからシネフィルまで多層レイヤーにヒットするズルい(上手い)作品。最強かつ理想。

『女王陛下のお気に入り』…今までのランティモス作品は「一部のマニア受け」という感じだったが、本作ではそのマニアックさをうまく残しながらもメジャー街道に一気に躍り出た感がある。

『お嬢ちゃん』…同監督作品『枝葉のこと』の糖衣バージョンに感じた。こういう邦画をもっと観たい。

『ジョーカー』…前評判の高さからハードルを上げすぎたせいもあり、観た直後はそれほどではなかったが、ボディーブローのようにあとからじわじわ効いてきた。

『スパイダーマン:スパイダーバース』…2次元アニメともCGアニメとも異なる斬新さに感嘆。アニメ表現の新領域が開拓されたと感激した。

いろいろな番組や企画、雑誌でランキングが発表されたが、個人的に一番フラットで平均的で世間一般の意見に近いのではないかと思っているのが、破壊屋ギッチョさんがツイッターのハッシュタグ「#2019年映画ベストテン」をプログラムで集計してくれた以下の結果だ。

10作品中7作品が一致したってことは、やっぱりぼくの好みは世間一般的なんだろう。誰も挙げないような作品を入れるほうが尖っててかっこいいのかもしれないけど、先に述べたように中年のぼくにはもうそんな自己顕示欲はない。

さいごに、映画記録のウェブサービスとしてはフィルマークスがデザインや使い勝手がよいのでおすすめです。それではまた。


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