見出し画像

婚活プレイをゲーム実況のように眺める

日曜日の午後。密かに楽しみしているテレビ番組はフジテレビのザ・ノンフィクション。

生きてーる 生きているー

いつもの音楽と共に始まる。今回のテーマは婚活ということで昨今の少子化・晩婚化に対する示唆があるような予感がして興味深く思った。
自分事に引きつけてみると、結婚生活約10年の末にバツイチ、子どもなし、40代といっても四捨五入すればアラフィフという自分は、結婚はリスクであることを家庭裁判所にお世話になることで学んだし、今後の人生で結婚することは2度とないとさえ思っているので婚活カルチャーの外側にいる人間だろう。

なぜ別れるため 人は出会う?

パートナーにお金を盗まれ、浮気され、浮気相手が妊娠し、その浮気相手は小学生の子を持つ専業主婦だったという地獄のドラマチックモードを経験した私はレアケースかもしれないが、だからこそ早めの損切りが大切だということを学んだ。
世の中には、平気で人を欺く人がいる。自分が信じたパートナーが自分を苦しめる障害になることもあるなんて若い頃は知らなかったが、家庭であれ、ビジネスであれ、裏切られたり騙されたり追い出されたり、そんなことは日常茶飯事どころか人間社会の前提条件でさえあるように今は感じている。

結果ほぼ人間不信のように仕上がってしまった私は、パートナーがいるからこそあるパワーや可能性は素晴らしいと思うが、これから結婚を希望することはないし、ビジネスは自分一人でコンパクトに、というのが今のモットー。

だからこそ結婚を希望する人たちの人間模様が、まるでYouTubeのゲーム実況を見ているように婚活という新しいリアル人生ゲームを視聴している気分になった。

まずは特徴的な外見。
男性の服装はリラックスめなビジネススタイルのジャケパンで、淡い色の襟付きシャツにトラウザー、革靴。登場する女性は花柄やパステルカラーの、いわゆる戦闘服と呼ばれるワンピースにパンプス、髪型はセミロング。これは婚活で戦うための基本スタイルとして定番だ。
なぜ私がこれを定番スタイルと知っているのかというと、友人が結婚相談所に登録した際、細やかに指導された内容を離婚した私にその知識をシェアしてくれたからだ。モテたかったらワンピースかスカートスタイル、スニーカーじゃなくパンプス、リュックサックではなくトートバッグ、でもハイブランドはダメなど細やかなルールがあるようだった。そのほかに髪型や化粧も指示があったが、その時点で自分のあるがままの姿を離れてしまうことに違和感を覚えて教えてくれた彼女を応援したが自分は実践することはなかった。
あれから10年近く経っているが婚活プレイのドレスコードは同じようだった。
婚活プレーヤーが登場するたび婚活コーディネーターがいちいち外見を褒めるところも見どころだった。この婚活プレイの最初のハードルはなんてったって外見なのだ。第一印象レベルへの向上心が高くなければ婚活プレイを進められなくなりそうでヒリヒリする。

次に会話。
初対面でいかに相手の地雷を踏まないよう細心の注意を払いながら、なおかつパートナーとしてマッチするかを判断しなければならない。
下ネタはNGであり、率直な意見も控えた方がいいようで、基本的には男性は聞き役、差し障りのない絶妙な深度で質問していく力が必要とされ、女性は朗らかにおしゃべりしながら相手を褒め尊重する姿勢が求められている模様。
会話内容は現在の仕事や、もしも旅行するならといった未来のことがメインのような気がするが妙齢のパートナーを選ぶときに過去の経験を掘り下げなくて大丈夫なのだろうかと見ているこちらはハラハラしてしまう。

今度の日曜日にも続編があるようなので楽しみにしておこう。

個人的にも周りには、いわゆる出会い系で知り合い結婚した友人がいる。
仲のいい夫婦として穏やかに暮らしている要因は、ふたりとも特別な出会いがなかっただけで、もともと友達みんなから愛されている人だったからという気がする。結婚してから家を買ったり、子どもが私立の学校に行くことになったり、経済的な不安な状況になりがちな時もお互いよく話し合っていたし、家事・育児はふたりが協力しあいながら暮らしてきた。それに親との関係も良好で、家族で一緒に実家に帰るときに独り身になった私を一緒に実家に連れて行ってくれたり、もともとキャラがいいふたりが、たまたま出会い系を利用して出会ったと言うだけだった。

ドキュメンタリーの婚活プレイは、どうも服装や発言に修正が入ることが多く見ていて痛々しいのだが、そのことで人間性そのものは修正されていくのだろうか。
一生のパートナーとして選ばれるため少しの失言も許されない状況だが、その後も婚活の時に演じた自分のまま一生生活できるのだとしたら、婚活プレイは新時代の人間力養成ギプスになり得るのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?