2018年、山口市のチョコレート支出金額が大きすぎない?【チョコレート統計・後編】
当noteはこちらの記事をきっかけに書かれました
前編を読んでいただくとわかりみが増すかもしれません。
2018年の不自然な値
冒頭に紹介した記事より引用。
山口県がなぜチョコレートを大量に購入しているのか、その理由は不明。名産品にチョコレートに関連するものは見当たらず、話題に上るようなイベントや施設があるわけでも無い。
もっとも2018年分においては山口県と他の地域との差があまりにも大きなもので違和感を覚えるのも事実ではある(総務省統計局に問い合わせをしたところ、単身世帯で特異な値が出たようではあるが、記入や計算上のミスではないことを確認)。
2019年のデータと合わせてみてみましょう。
2018年、大きなヤマを作った山口市。
2019年には2017年と同レベルにまで下がっていました。
数字の由来を検証する
前編でも触れた通り、この2018年、山口市における大きなチョコレート支出金額は「総世帯」にみられるものでした。
総世帯におけるチョコレート支出金額(2018、山口市)
29,026円
一方、「二人以上の世帯」には認められません。
二人以上の世帯におけるチョコレート支出金額(2018、山口市)
7,235円
総世帯とは二人以上の世帯に単身世帯を加えたものなので、参照記事にある通り単身世帯が大きな数字の原因。
残念ながら、単身世帯については都道府県庁所在地別のチョコレート支出金額のデータが見つかりませんでした。
かわりに、全単身世帯を対象としたデータから大きな金額の原因となり得るデータを見つけました。
単身世帯、さらには「勤労者」に限ってみても、2018年に「34歳以下の女性」の金額が跳ね上がっています。
これは山口市だけでなく、各調査地域(主に都道府県庁所在地)全体の平均値です。また各月でなく各年の平均値でもあります。
山口市在住、単身世帯である34歳以下の女性が単独、あるいは複数でこの数字を作り上げたのではないか。
単身世帯ではどの月にどれだけ支出されたかのデータが見つからないため定かではありませんが、バレンタインの季節に集中してこのような状況が生じた可能性も。
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集計世帯数からの推測
ちなみに2018年、「単身世帯のうち勤労者世帯、34歳以下の女性」の集計世帯数は22でした。
22世帯 × 13,652円/世帯 = 300,344円
2019年は24世帯。
24世帯 × 7,142円/世帯 = 171,408円
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仮に、2018年に21世帯は2019年と同額の「7,142円」をチョコレートのために支出し、
21世帯 × 7,142円/世帯 = 149,982円
(「平均」でみれば、13,652円となるように)残り1世帯がとびぬけて高い金額を支出したとしたら…
300,344円 - 149,982円 = 150,362円
山口市在住、単身・勤労者世帯である34歳以下のある女性が2018年の一年間で約15万円分のチョコレートを購入した…
ありえない話ではないのかもしれません。
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また同様の計算を「山口市、総世帯」で実施すると、2018年、2019年の集計世帯数はいずれも102世帯、「山口市、二人以上の世帯」はいずれも94世帯。とすると、「山口市、単身世帯」はいずれも8世帯のみです。
[山口市の総額]
102世帯 × 29,026円/世帯 = 2,960,652円
[山口市の「二人以上の世帯」の総額]
94世帯 × 7,235円/世帯 = 680,090円
[山口市の「単身世帯」の総額]
2,960,652円 - 680,090円 = 2,280,562円
[山口市の「単身世帯」の平均]
2,280,562円 ÷ 8世帯 ≒ 285,070円/世帯
とんでもない金額になりますね。上記2種が整合しないのは計算自体がおかしいのかもしれません。おそらく、「世帯数分布(抽出率調整)」というデータが勘案されなければならない、のでしょう。
(適切な計算方法をご存知でしたらコメント欄にてご指摘ください)
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なんにせよ、100世帯ほどの平均で米(12,481円)とパン(18,894円)の合計とほぼ同額がチョコレートに支出されたとする2018年、山口市のデータ。「特異」であることは間違いないようです。
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