見出し画像

東京へアパートの下見(2)

駅からアパートまでの道のりは、高校生らしい沢山の男子学生たちとすれ違った。
以前はこんなに男子学生とすれ違った記憶がない。
忘れてしまったのかなと思ったが、昔の事を鮮明に覚えているタイプの私は、この数十年の間に近くに高校が一つできたのかもしれないと思った。
若い波動出しまくりの高校生たちを見ていると、アパートまでの15分の道のりは寂しくなさそうだ、と思った。
ただ結論から言うと、あのアパートに住みたい、という気持ちにはなれなかった。
若い頃に住んだときは、できてから5年も経っていない新しい状態だったし、1階の雰囲気はやはり2階とは違っていた。
そして、東京で新しく仕事を見つけようと思ったが、見つかるまで孤独感に襲われないか心配になった。
東京に知り合いはいるが、年賀状やたまにLINEするくらい。
というか、無職の状態で会いたくないという気持ちになった。
無職だと余計な気を遣わせてしまい兼ねないし、私の小さいプライドもあるのかもしれない。
帰り道、アパートのある駅から東京駅まで電車に揺られながら考えた。
入れ替わり立ち替わりたくさんの人が動めいている中、見知らぬ人と肌が触れる距離で電車に乗るのも少し抵抗を感じた。
私の田舎は人口密度が低く、他人と密着するような場面はほとんどなかった。
試しに一度来てみて良かった。
試しに来ないで一気にそのアパートを契約しようとも考えていたから。
私がしたいと思うことは東北からでもできるかもしれないし、また行動に移してみたときに違う展開になり、東京とまではいかなくとも新しい居住地に行き着くかもしれない。
新幹線代往復26,000円かけて、アパートの内覧のためだけに東京に行った帰りの新幹線の中、後悔はなかった。
行く前はずっと頭の中でどうしようかと考えていた。頭で考えていても答えが出なかったので、行ってみて感覚的に答えが出たのは良かったと思う。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?